ヤップの固有種、
Giigiy (ギギイ)のまともな写真がやっと撮れた。といっても、カメラと撮影者はゲストのFUさん。
(FUさん、写真のご提供ありがとうございました)
ギギイの学名は
Monarcha godeffroyi Hartlaub, 1868となっている。19世紀の後半、外国人としてヤップに初めて支店を置いたドイツ商人
Godeffroyの名前を取っているから、彼が「発見」して報告したのかもしれない。それを1868年に
Hartlaubという学者が新種と同定し登録した-というふうに読める。このHartlaubさんは同じ年(1868年)に5つの新種を登録していて、それには
ギギイの他に、パラオ固有種のメジロやメラネシアのツカツクリの仲間などが含まれる。
(追記:参考)
〇Monarcha godeffroyi
http://www.iucnredlist.org/search/details.php/13677/all
〇Monarcha godeffroyi Hartlaub, 1868
http://www.itis.gov/servlet/SingleRpt/SingleRpt?search_topic=TSN&search_value=178683
〇Taxon author(s): Hartlaub, 1868
http://www.itis.gov/servlet/SingleRpt/RefRpt?search_type=author&search_id=author_id&search_id_value=18390
ところで
ギギイの英名はYap Monarch、和名はカササギビタキと紹介されているサイトを見かけるが(鳥類の場合は日本にいなくても和名がつくみたいだね)、これが果たして正式なものかどうかわたしは知らない。
(追記)
このほかにもギギイの記事を書きました:
クモの巣の巣
http://suyap.exblog.jp/6294899/
国際的には
Near threatenedとなっていて絶滅が危惧されているが、実はここ数年、わたしは
ギギイの数が増えているような気がしている。ただし、これは学術的な調査の結果ではなく、わたしや、わたしのまわりのヤップ人の感覚的な経験によるものだけど。
ギギイは一時期、ほんとうに少なくなった。絶滅が危惧され、いろいろな方策を政府・非政府団体が模索していたが、90年代後半に州鳥として指定されたのを機会に、
ギギイ保護のための予算がついた。そこで各団体協賛で
ギギイ保護のポスターが作られ、そしてGigiyの歌まで作られた。
やがて、その
ギギイの歌はなんとヤップのヒット・チャート上位にのぼり(笑)、大人から子供まで、その歌を知らぬ者はいないまでになった。そして、いまでもよく歌われている。
では、その歌を紹介しよう。
Giigiy (ギギイの歌) (C) Composition & Song by Rudolf Rodol
Qaraay yu waqab ni karimus, ea taqreeb daakuriy u baang
ここヤップの島にだけいる、地上でたったひとつの種類
Daariy u baang ko faeyleng bineey, ni taqa miit ni karimus
世界のどこにもいない、それはここだけにいる種類
Weeniig ngom, gu bea siroeq naag, nga da qayuweeged ea bineey ea yafas
お願いだ、おれの話を聞いてくれ、この生物を助けてやろうじゃないか
Ri bea faan faalngiin yu waqab, ni taqa miit ni karimus
ヤップにしかいない貴重な生物を守るのは、すっごく大事なことなんだ
Gigiy fa qachiigiigiy, ga ba qachiigiig ma ka ga maa taang
ギギイ、アッチギギィ、おまえは小さいくせに、でかい歌声だ
Ri ga maa puw, ri ga maa puw ni taan madaadbiy
いつも夜の明ける前、おまえの歌声はおれを起こす、起こしてくれる
Gigiy fa qachiigiigiy, ga ba weach weach ma ga ba talimar
ギギイ、アッチギギイ、おまえのからだは真っ白と真っ黒だ
Ri ga ba t’uuf, ri ga ba t’uuf ko naam rodaed
おれたちの島では、おまえはだいじなやつ、だいじなやつさ
Mu qayuweeg tabnaew roek, yae ngea yog ni ngea yooqoor
あんたもやつらの家を守ってやってくれ、そうしたらやつらも安心して子を増やせる
Daab kun koel, yae raa maath miit, yae taqa miit ni karimus
ぜったいに捕まえたりしないでくれ、そんなことしたらすぐに消えちまうぜ、やつらはここにしかいないんだから
Mu qayuweeg ea naam roem, yae ngea paer ni gilbugwaan
あんたの島を大切にしなよ、そうするとずっとカッコよくいられるんだぜ
Yae naam roem ngea yafas riy, qaram guur ni karimus
あんたの島には他の生物も住んでいるし、あんた自身もここっきりいないんだから
Gigiy fa qachiigiigiy, ga ba qachiigiig ma ka ga maa taang
ギギイ、アッチギギィ、おまえは小さいくせに、でかい歌声だ
Ri ga maa puw, ri ga maa puw ni taan madaadbiy
いつも夜の明ける前、おまえの歌声はおれを起こす、起こしてくれる
今は絶版となった素晴らしいポスターForest and Land Birds of the Federated States of Micronesiaに使われたDouglas Prattさんの
ギギイのイラストは、ポスターや切手やいろんなマテリアルにつかわれて大活躍だ。今回写真に撮れたのは襟元だけが白いメスの成鳥。オスは胸から腹全体に白が広がり、幼鳥は茶色だ。
ギギイは、繁殖期になると番で木の上に巣をつくり、1回に1~2個の卵を産んで幼鳥が自力で飛べるようになるまで、カップル交代で餌を運ぶ。巣にした場所の環境が良ければ、何年にもわたって同じ場所に巣を作るようだ。
→の写真はsuyap撮影-とほほ(笑)
ギギイの鳴き声はよく通る。特に、まだ夜が明ける前や雨の前に、コッケゥッ、コッケゥッ、と高い声が木の上から聞かれる。そのほかに、ギギギーという注意音や騒ぐ声もよく聞かれる。そんな声を想像しながら、この
Gigiy (ギギイの歌)を聞いてもらえば、さらに雰囲気がつかめるかもしれない。
この歌がこれだけヤップで流行ったのは、
ギギイを通して、ヤップ人は自分らの境遇を見てしまうからかもしれない。
taqa miit ni karimusを直訳すると「たったの一種、これっきりで終わり」という意味だが、世界中で1万人にも満たないヤップ語をしゃべりヤップの歴史・文化遺産を引き継ぐヤップ人も、その境遇は
ギギイと大差ない。
それにしても、
風前の灯火なのは、世界に誇る我が日本国憲法も同様。
この憲法の精神と格調を、手遅れになる前に、できるだけ速くできるだけ多くの人に伝えるためには、ギギイの歌のような素晴らしい歌を流行らせるのも大きな戦術ではないか?
どなたか、歌心のある方、作詞・作曲お願いしますよお~~~!
歌・Tシャツ・漫画・映画、こうなったら、何でもありで、ハチャメチャに、ハートで訴えて騒ぐしかありません!
↑ ↑
追記:もしかしてジュリーもこれ読んでくれたの?
沢田研二のわが窮状、出ましたねえ!
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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