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ミクロネシアの小さな島・ヤップより

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「新型」インフルエンザ、ヤップと日本とアメリカと

「新型」インフルエンザ、ヤップと日本とアメリカと_a0043520_163171.jpg今回は、7月3日の記事に掲載したポスターに再び登場してもらうことにして...

はじめは豚インフルエンザ(Swine Flu)という名前で登場したのに、いつのまにか「新型」インフルエンザ(Novel H1N1)となり、いまは米国疾病予防管理センター(CDC)では2009 H1N1 Fluと呼ばれ、次には09-10 Fluとなりそうな雰囲気の不思議なインフルエンザの流行で、ヤップ島のすべての学校(公私立の幼稚園から高校まで)は、3週間の一斉休校に入っている。

もちろん生徒たちは、学校が休みだからといって大勢が集まるところに繰り出すことは禁じられており、子供らも、せいぜいキョウダイやイトコらと、家や村の中でひっそりたむろって過ごしているようだ。

この9月28日からの休校措置と直接関係があるかどうかはわからないが、この9月20日未明、知り合いの高校生の娘さんがインフルエンザが元で急死した。前日に高熱などインフルエンザ様の症状があったので、ヤップ州立病院に行って薬を処方してもらい、家に帰ってそれを飲んだ夜、症状が激変して再び病院に担ぎ込まれたけれど、助からなかったそうだ。

5年ほど前にも、インフルエンザの症状>病院でもらった薬>翌未明に死亡という同じパターンで、アメリカで働いていたわたしの親友の息子さんが亡くなっている。当時20代半ばだった彼は、就労中にインフルエンザ様の症状がひどくなったので、休みをもらって職場から病院に直行して薬をもらい、家に帰ってからそれを飲んで休んでいたところ、翌朝未明に突然ベッドから起きだしてリビング・ルームに行ったという。一緒に暮らしていたガールフレンドが、マミーッという叫び声に起こされて意識を失っている彼を発見し、すぐに病院に運ばれたが助からなかった。両親の離婚により、幼いときに母親と離れ離れになった息子の最後の叫びがマミーッだったと知った友人の悲しみは、いかばかりであったか。母親も3年後に病気で他界し、いまでは二人ともあっちで再会しているだろう。

また別のヤップ人の知り合いによると、やはりアメリカで暮らす親戚の子供さんが同じようなケース=インフルエンザの薬を服用した直後に急死し、現在、両親は病院を訴えているのだそうだ。

この3つのケースにタミフルリレンザが関係していたかどうか知らないが、ここ数年来、抗インフルエンザウイルス薬として使われる薬のダントツは、やはりこのふたつだ。それに、人口がたった7千人ちょっとの地域に暮らすわたしでさえ、数年のうちに3件も似たようなケースを聞き知るというのは、ちょっと確率が高すぎるではないか?インフルエンザそのものではなく、実は抗インフルエンザウイルス薬の副作用で命を落としたケースは、ほんとうはもっとたくさんあるのではないか?アメリカでも日本でも、その他の国でも?

とくに日本の場合、厚生労働省国立感染症研究所感染症情報センターの「新型」インフルエンザへの対応を見ていると、かなり怪しく怖くなる。ここはひとつ、原田和明さんの豚インフルエンザ報道を検証するシリーズをじっくり読んでみていただきたい:

第15回「国内初の死者」はタミフルの副作用か?
http://archive.mag2.com/0000083496/20090914061000000.html
第16回死者続出もタミフルの副作用?(1)
http://archive.mag2.com/0000083496/20090915064000000.html
第17回死者続出もタミフルの副作用?(2)
http://archive.mag2.com/0000083496/20090916050000000.html
第18回リレンザでも副作用?
http://archive.mag2.com/0000083496/20090920053000000.html
第19回米政府「タミフルの投与、原則不要」
http://archive.mag2.com/0000083496/20090925070000000.html
第20回NHK「プロフェッショナル仕事の流儀」
http://archive.mag2.com/0000083496/20091004070000000.html
 ↑ ↑
※明日(5日)深夜、再放送があるようです。

アップデートを経ているが、第19回米政府「タミフルの投与、原則不要」のネタ元はこちら:

Updated Interim Recommendations for the Use of Antiviral Medications in the Treatment and Prevention of Influenza for the 2009-2010 Season
http://www.cdc.gov/H1N1flu/recommendations.htm
Most healthy persons who develop an illness consistent with influenza, or persons who appear to be recovering from influenza, do not need antiviral medications for treatment or prophylaxis.
日ごろ通常健康な人で、現在インフルエンザの症状を発しているか、またはその症状から回復しつつある人は、抗インフルエンザウイルス薬治療またはその予防/予後的措置は必要としない。
この推奨ではそのあと、2歳以下の幼児、65歳以上の高齢者、妊婦、慢性疾患/免疫不全のある者、19歳以下で長期のアスピリン治療を受けている者は、できるだけ早期の抗ウイルス薬投与を受けるべきと続く。

CDCタミフルリレンザに対する見解はこちらからも伺える:

Questions & Answers: Antiviral Drugs, 2009-2010 Flu Season
http://www.cdc.gov/h1n1flu/antiviral.htm
Media Briefing: Update on 2009 H1N1 Flu (unedited)
http://www.cdc.gov/media/transcripts/2009/t090903.htm

上掲したCDC推奨から読み取れることは、なんとなくモゴモゴと口ごもりながらも、こういうことを言ってるのじゃなかろうか:
いまんとこ2009-2010 Fluに効くかもしれへん抗インフルエンザウイルス薬はタミフルリレンザなんやけど、フツーに元気な人やったら、治療にも予防にもそんな薬はやらんでええで。乳児や妊婦や免疫力の衰えとる患者には、症状が出たらすぐに使いや。これらを投与するときは、できるだけ入院管理したほうがええんやけど、そうせんときでも、症状が変わったとき、すぐに医者と連絡がつくようにしとかなあかん。それから薬の量を間違うてはあかんで。他の薬やらなんやらとバッテンせんかも、よう気をつけて処方しいや。そいでな、いまはこう言うとるけど、CDCは、いつなんどきこの推奨内容を変えるかもしれんから、よう気をつけといてや。(下手な関西弁でスミマセン)
なお上の3例のうち2例には、患者は10代後半と20代半ば、比較的肥満タイプ、薬を服用して24時間以内に症状激変、未明に死亡、という共通項がある。

アメリカでさえ、控えめではあるか、タミフルリレンザの限界というか使用の注意を発表しているのに、かたやWHO厚生労働省はいまだにイケイケドンドン、備蓄たくさんあるわよ~、熱が出たらどんどんタミフルリレンザを使いましょ~、って感じだね。おそらく、な~んにも考えてないか、後ろで算盤はじいているか、その両方か、そういうヤツラのごっちゃまぜだろうけど:

新型インフルエンザの診断と治療について
政府において備蓄した抗インフルエンザウイルス薬(タミフル及びリレンザ)の都道府県への放出手順について(再周知)

こんなのをもらった都道府県衛生局は、いえ~い、クスリど~んどん使ってえ~となるわなあ...。それにしても、WHO厚生労働省国立感染症研究所感染症情報センターのサイトを見ても、「新型」インフルエンザの脅威をあおる記事や発表が並んでいるばかりで、各方面のちゃんとしたデータやベーシックな指針といったものが、ほとんど見えてこない。

わたしは米国疾病予防管理センター(CDC)のやり方に全面賛成しているわけではないが、研究者の層の厚みというか、カネや圧力でコロンとしきれない人たちもいるようで、ちょっとホッとした。

最近のラジオ放送によると、ヤップの病院でもほぼ上のCDC推奨にそった治療方針のようである。子供たちが学校に戻ってくるのは、10月19日以降になりそうだ。



最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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by suyap | 2009-10-05 00:54 | 新聞捨ててテレビを消そう
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