ヤップ島あげての「祭り」ヤップデイが始まった。
かつては仲良しこよしの村同士で行われていた親睦行事を、アメリカの時代になってヤップの暮らしがどんどん変わるのを憂え、
年に1回くらいはヤップの伝統行事を思い出す日として州政府主導で始まったものだ。いちおう関連する各政府機関やNGOを代表したヤップデイ委員会が組織されているが、毎年、土壇場まではっきりしたことは決まらない。今年はとくにヤップデイに当てられた州予算が1万7千ドルに削減されたので、ヤップデイを2週間後に控えてもまだ、州議会で予算の割り振りがケンケンガクガク論議されていた。

まあ州議会やおエライさんたちがでどういう結論を出そうと、今までの慣行から予算が削減されれば、日当目当てで出てくる人は減るわけで...
ヤップデイが金目当てになっていいんかい?と憂えている人には、これも良い勉強だろう-と思えるのだ。
予算のせいかどうかは知らないが、例年のごとく二転三転したプログラムが出来上がってみると、3月1日は「プリ・ヤップデイ」となっていた。それで「ヤップ・デイ」は3月2日に。でもオープニングのセレモニーがないだけで、1日のプリ・ヤップデイもやっていることは同じなんだけど。
今年も場所は去年、一昨年と同じく
マキ村に設営されたイベント会場。
マキ村の住人にとっては、
なんでうちの村だけ...という感じで、他の有力な村に押しつけられた感が否めない。あらかじめ断っておくけど、この会場の集会場は3年前に伝統建築で建てられたものだが、この場所はマキ村の伝統的な集会場ではない。ランクやグループの違ういろんな村の人や踊りが出されるヤップデイでは、特定の村の伝統集会場は使えないという事情があるからだ。
そういうヤップデイの変遷を意識したかどうか、口開けの
トミル地区は
ボゴル村の踊りは、その名も
ヤレン(Yalean)-ヤップの伝統/カスタム-だった。最近はヤップデイの踊りに参加する(させられる)年齢層が若者の中心になっているなかで、ドーンとオバサン年齢層が頑張って参加していたので、なかなかに迫力のある踊りだった。しかも彼女らの首には、先祖代々伝わる家宝の
ヤール(貝などで作ったのネックレスで、伝統的な価値のあるもの)がかかっていた。長いのは三重巻きにもなるほどなので、さぞかし重かったことだろう。

もうひとつ今年のヤップデイの特徴は、女の座り踊り(プルブット)の最後に立ち踊り(サキ)を加える傾向。このことは先日紹介した
マキ村の踊りの検分式でも述べたけど、この
ボゴル村の
ヤレンも最後はサキでしめていた。まあヨソモノには辛気臭い座り踊りよりも、立ち踊りのほうが受けるけど、伝統芸能をヨソモノに受けるように変える傾向には、なんだかな~て感じだ。たぶん、そこらへんを大勘違いしているのがヤップデイ委員会にいるのだろう。

次に始まったのが、島内各地の公立小学校生徒による、いろいろな伝統生活術のコンペティション。上の写真は、ココヤシの葉で編むバスケット作り、いかに早くきれいに仕上げるかがミソです。

上はヤップのおじゃみ。2個のボール(ふだん遊ぶときはオレンジの実などを木からもいで使うが、会場で何を使ったかは不明)を、独特の歌(歌詞はなんでもいいみたい。ふつうヤップの村の名をず~っと挙げていったりする)にあわせて、誰が一番長く続けるかを競う。

お次↑はヤップの男の子の日常の役目、完熟したココヤシの実(コプラ)の皮むき。規定時間内に何個むけるかが勝負です。コプラの実は、料理につかうココナツ・ミルクや油、それに毎日の豚さんのエサになるので、これをさっさとできない子はヤップで生きるには肩身が狭くなる(笑)。
この他にも、女の子は帽子やうちわやボールなどをココヤシの葉で編んだり、竹いかだ作りを競ったり、投てきをしたりと、いろんなローカル・スキルのコンテストが延々とつづいた。

いっぽう近くのカヌー建造場では、先日パラオに行ったカヌーへの無料体験乗船が行われていた。わたしは朝早くゲストをそこへ案内していらい戻らなかったが、ヤップデイ会場の進行状況とはまったく無関係に事が進められていて、両方を見たかった人はちょっと困っただろう。


予算が削られてもヤップ州農業課のブースはしっかり設営されていて、品評会に出された自慢の農産物が販売されていた。ちょっと行くのが遅かったせいか、残っていたのはこの6つのアイテムのみ。↑左は元祖ヤップの主食である田んぼのタロイモ、ラック。右はヤムイモの一種であるドゥオグ。


↑左はお化けカボチャに、右はタピオカ芋。


バナナもパパイヤも残りわずかだった。

スタッフの
G嬢の出る踊りが午後からあるので、ずっと彼女らの側で過ごしていたのだけど、いよいよ着付けの仕上げが始まった。
G嬢のお祖母ちゃんが、最後の仕上げにターメリック(うこん)の粉をていねいに歯ブラシで身体に振りかけている。ヤシ油にターメリックを溶かしこんだものを身体に塗るのがヤップの女のおしゃれだが、踊りに出るときはとくに念入りに身体がオレンジに光るまでていねいに塗りあげる。その上に粉を振りかけるのだ。ターメリックには肌に良い成分があるし、清めの意味もあるので、踊りなどの晴れの舞台には欠かせない。

と、
G嬢が自分の腰蓑の横に、若いココヤシの葉で作った飾りをつけ始めた。踊りのリーダーから、
これを結べと先ほど指示が出たのだという。何のために?と聞くと、
G嬢らしいソフトな皮肉も込めて、
たぶん雨よけのおまじないじゃないの?とのことだった。

さて、その本番は...?検分式よりも上出来だったけど、押しつけられたグンカンチョウの羽カザリが重そうだ。実際、2枚の羽を束ねるために針金が使われているのだそうだ。

その次に踊られたのは、
ファニフ地区ウル村の座り踊り。この村に伝わるカメと鳥とネズミの民話を踊りにしたものだけど、最後はずるがしこいネズミの一人勝ちで終わるこのストーリーの悲しさを、よく表現していたと思う。

そしてこの悲しい踊りも
最後は立ち躍りでしめていた。このときまで気づかなかったけど、まだ小さな女の子まで、首に黒い紐をかけているではないか!この黒紐は成人女性がつけるもので、本来こんなに小さな女の子はつけない。敢えてこんな出で立ちをさせることで、この踊りの何かを表しているのかもしれない。この村の人に聞いてみようと思う。
>>
2009年のヤップデイ-2日目
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