ブログトップ | ログイン

ミクロネシアの小さな島・ヤップより

suyap.exblog.jp

伝統カヌーもヤップデイの準備

伝統カヌーもヤップデイの準備_a0043520_19471114.jpg

先月パラオまで航海し、陸に上げて修復中だった2艘の大きなカヌーのうち、マソー・メラム(Mathow Maram)号がきょう再び水に下ろされた。

伝統カヌーもヤップデイの準備_a0043520_21465137.jpg伝統カヌーもヤップデイの準備_a0043520_214855.jpg
上の写真は左がヤップ島製のマソー・メラム号で、右がヤップ州の離島サタワル島製のシメヨン・ホクレア号(Simion Hokulea)だけど、こうして見ると、ヤップのカヌーのほうがスリムなのがよくわかるでしょ。

伝統カヌーもヤップデイの準備_a0043520_21492970.jpg伝統カヌーもヤップデイの準備_a0043520_21504052.jpg
船体の彫りもヤップ島製(↑写真左)は角がはっきりしているのに対して、離島製のは丸っこい。

伝統カヌーもヤップデイの準備_a0043520_2082012.jpgマソー・メラム号を下ろすのと並行して、航海中に破損したシメヨン・ホクレア号の舳先が糊付けされた。そのパートをチェックしていたナビゲーターのアリさんが、「な~んだ、この部分は以前にも折れいて、誰かが糊付けしたあとがあるじゃないか」と言っていた。これはカヌーの進路を星の位置とあわせるのに使われる大事なパーツだけど、形的にも位置的にもなんたって折れやすい。全とっかえするには舳先の大掛かりなパートを彫りなおさなければならないので、強度には全く関係ないし、こうして簡単に糊付け(もちろん現代の強力な接着剤で)すればOKなのだろう。

伝統カヌーもヤップデイの準備_a0043520_2085916.jpg接着部分を完全に乾かすためにシメヨン・ホクレア号はヤップデイ初日の早朝に下ろすことになり、既に水に下りたマソー・メラム号に艤装が施されていく。やはりカヌーは水に浮いてこそなんぼのものだなあ...

クルーも嬉しいらしく、われ先にいろいろな作業にせっせといそしんでいる。カヌー大工棟梁のサラガンさんによると、マソー・メラム号のこの帆柱は、オオハマボウを使ったそうだ。軽くて丈夫な木材であるとともに、その繊維は織物にも使われる。現在では帆布はヨット用のものが使われるが、かつてはハイビスカス繊維で織った帆布が使用されていた。

伝統カヌーもヤップデイの準備_a0043520_2093732.jpgやがて帆布が積み込まれると、作業をじっと見ていたサラガンさんが、「お~い、おまえら、ちょっくら帆走して調子を見て来い」と叫んだ。

マソー・メラム号ではパラオへの航海中に、帆布を支える片側の竹が破損している。今回はそれを修復したわけだけど、その調子を見るためもあるだろうが、再び水に浮いたカヌーに取りつくクルーの活気を感じてのこともあるだろう。ほんと、みんな嬉しそうだわ!

伝統カヌーもヤップデイの準備_a0043520_20103843.jpg

というわけで、再び帆をあげたマソー・メラム号、カヌー建造場の前は深い入り江に囲まれているとはいえ、きょうは15ノットくらいの貿易風が吹いているから、帆を立てるのも相当の力仕事だったろう。

伝統カヌーもヤップデイの準備_a0043520_20111895.jpg

湾の奥からゆっくりとわたしのいる建造所の突堤の前を通り過ぎ、

伝統カヌーもヤップデイの準備_a0043520_201154100.jpg

すぐ近くで帆を返す作業が始まった。あら、これは、転帆作業の写真を撮る良いチャンスだわ!

伝統カヌーもヤップデイの準備_a0043520_20123018.jpg

ミクロネシアのカヌーには舳先(船首)も艫(船尾)もない。カヌーの真ん中に立つマストで三角帆を上げ、そのひとつの頂点をカヌーのどっちかの先っぽに移動することで帆を返す。

伝統カヌーもヤップデイの準備_a0043520_2013539.jpg

ご覧のように、カヌーのアウトリガーを風上に向け、帆から風を逃がしながらバランスをとって反対側に持っていく。

伝統カヌーもヤップデイの準備_a0043520_20133971.jpg

舵取りは新たに帆が置かれる場所の反対側に向かって、船べりを素早く走る。

伝統カヌーもヤップデイの準備_a0043520_20141319.jpg

転帆作業は、うっかり気を抜くと落水や転覆さえ招くので、クルー全員の息のあった集中力と共同作業が要求される。

伝統カヌーもヤップデイの準備_a0043520_20145010.jpg

重い帆を持って船べりを移動するのは大変な作業だ。

伝統カヌーもヤップデイの準備_a0043520_20153310.jpg

風を逃がしながら、用心深く帆が運ばれる。

伝統カヌーもヤップデイの準備_a0043520_20161698.jpg

もう一息、ロープが引かれた。

伝統カヌーもヤップデイの準備_a0043520_2016547.jpg

さあ、新たに風を受けて、カヌーは反対側に走り始めた。

伝統カヌーもヤップデイの準備_a0043520_20173188.jpg

その後カヌーは入り江を出て、白波の立っている風上に向かってゆっくり帆走していった。サラガンさんの「ちょっくら行ってこい」に、クルーは久しぶりのマソー・メラム号とのときを、たっぷり楽しんできたようだった。



最後までお読みいただき、ありがとうございました。
よろしかったら人気ブログランキング地域情報 & にほんブログ村海外生活ブログにクリックを!



◆◇ヤップの情報はこちらでもどうぞ◇◆
http://www.naturesway.fm/index2.html
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
by suyap | 2009-02-26 22:58 | ヤップの伝統文化
<< じゃんけんぽん ブ~ゥッと忙しい... >>