先月パラオまで航海し、陸に上げて修復中だった2艘の大きなカヌーのうち、
マソー・メラム(Mathow Maram)号がきょう再び水に下ろされた。
上の写真は左がヤップ島製の
マソー・メラム号で、右がヤップ州の離島サタワル島製の
シメヨン・ホクレア号(Simion Hokulea)だけど、こうして見ると、ヤップのカヌーのほうがスリムなのがよくわかるでしょ。
船体の彫りもヤップ島製(↑写真左)は角がはっきりしているのに対して、離島製のは丸っこい。
マソー・メラム号を下ろすのと並行して、航海中に破損した
シメヨン・ホクレア号の舳先が糊付けされた。そのパートをチェックしていたナビゲーターのアリさんが、「な~んだ、この部分は以前にも折れいて、誰かが糊付けしたあとがあるじゃないか」と言っていた。これはカヌーの進路を星の位置とあわせるのに使われる大事なパーツだけど、形的にも位置的にもなんたって折れやすい。全とっかえするには舳先の大掛かりなパートを彫りなおさなければならないので、強度には全く関係ないし、こうして簡単に糊付け(もちろん現代の強力な接着剤で)すればOKなのだろう。
接着部分を完全に乾かすために
シメヨン・ホクレア号はヤップデイ初日の早朝に下ろすことになり、既に水に下りた
マソー・メラム号に艤装が施されていく。やはりカヌーは水に浮いてこそなんぼのものだなあ...
クルーも嬉しいらしく、われ先にいろいろな作業にせっせといそしんでいる。カヌー大工棟梁のサラガンさんによると、
マソー・メラム号のこの帆柱は、オオハマボウを使ったそうだ。軽くて丈夫な木材であるとともに、その繊維は織物にも使われる。現在では帆布はヨット用のものが使われるが、かつてはハイビスカス繊維で織った帆布が使用されていた。
やがて帆布が積み込まれると、作業をじっと見ていたサラガンさんが、「お~い、おまえら、ちょっくら帆走して調子を見て来い」と叫んだ。
マソー・メラム号ではパラオへの航海中に、帆布を支える片側の竹が破損している。今回はそれを修復したわけだけど、その調子を見るためもあるだろうが、再び水に浮いたカヌーに取りつくクルーの活気を感じてのこともあるだろう。ほんと、みんな嬉しそうだわ!
というわけで、再び帆をあげた
マソー・メラム号、カヌー建造場の前は深い入り江に囲まれているとはいえ、きょうは15ノットくらいの貿易風が吹いているから、帆を立てるのも相当の力仕事だったろう。
湾の奥からゆっくりとわたしのいる建造所の突堤の前を通り過ぎ、
すぐ近くで帆を返す作業が始まった。あら、これは、転帆作業の写真を撮る良いチャンスだわ!
ミクロネシアのカヌーには舳先(船首)も艫(船尾)もない。カヌーの真ん中に立つマストで三角帆を上げ、そのひとつの頂点をカヌーのどっちかの先っぽに移動することで帆を返す。
ご覧のように、カヌーのアウトリガーを風上に向け、帆から風を逃がしながらバランスをとって反対側に持っていく。
舵取りは新たに帆が置かれる場所の反対側に向かって、船べりを素早く走る。
転帆作業は、うっかり気を抜くと落水や転覆さえ招くので、クルー全員の息のあった集中力と共同作業が要求される。
重い帆を持って船べりを移動するのは大変な作業だ。
風を逃がしながら、用心深く帆が運ばれる。
もう一息、ロープが引かれた。
さあ、新たに風を受けて、カヌーは反対側に走り始めた。
その後カヌーは入り江を出て、白波の立っている風上に向かってゆっくり帆走していった。サラガンさんの「ちょっくら行ってこい」に、クルーは久しぶりの
マソー・メラム号とのときを、たっぷり楽しんできたようだった。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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