先週のある日、うちのボートに敷いてあるデッキ・マットの1箇所が、何モノかに食いちぎられたように切れていた。堅牢なおかつ柔らかいので重宝しているマットなので、ショックだった。
どうしたものかと思案しているうち、どんどん噛み跡が増え続けていくではないか。高いんだよ、このマット(悲)。マリーナにボートを置くようになって15年、同じタイプのマットを使い続けて10年以上になるが、こんなことは初めてだ。
とう考えても犯人はネズミしかいないだろう...ということになって、早速、3個のネズミ捕り器とエサを買ってきた。それにしても、食べ物も何も置いてないボートに、なぜネズミが乗り移るのだろう。しかも被害は26フィートのボートだけだし...
確かに、近年、物資とともに大きな船でやってきた巨大ネズミが増えている。彼らはあっという間にヤップ中にはびこり、ネコがネズミに追いかけられたという類の話が、冗談や笑い話ではなく、あちこちから聞こえてくる。
たぶん奴らも腹が減ってるんだろう。
と、スタッフの
チョメは平然とネズミ寄りのこと言う。
ネズミ捕り器の強力なバネを反対側に倒して、エサ台にソーセージを乗せる。エサ台に少しでも重みをかけると、わずかに引っかかっている針金のストッパーがはずれて、バネがパーンッと戻る仕組みだ。
実はテスト中にバネが外れて、わたしは自分の右手親指をしたたかに打たれてしまった。バネとギザギザがつけてある台に挟まれなかったのが不幸中の幸いだったけど、しばらく指の感覚が無くなるほどの衝撃を受けた。
以来、毎夕方これをボートの上に仕掛けておいたのだが、翌朝見てみると、なぜかエサだけがきれいに消えて、バネが返った様子のない仕掛けが、そのままで残っているばかり。そんなことが3日も続いて、4日目の今朝早く、
チョメから電話がかかってきた:
あんたの友達がボートで待っとるぞ。
ここから先の画像を見たくない方はパスしてください。
3つある仕掛けのどれからもエサはきれいに消えていたが、最後のひとつで、哀れなチュー公が首を打たれて即死していた。巨大ネズミのまだティーンエージャーというサイズだ。
キャーキャー言いながら写真を撮っていると、ヘルパーの
Jがご丁寧にもひっくり返してくれた。うわ~、目がこっちを見てる、ごめん、ごめん...、ねえねえ、
チョメ、はやくこれを処分してよ。
イヤだね。オレだってそんなの見たら反吐がでる。
ボートから離れたネズミの見えない場所で、大男の
チョメが、こんなことをブツブツつぶやく姿を想像できるだろうか?そして、
J、素手で触るなよ、ネズミは病気を持ってるからな。棒を探してこい。
かわりに若い
Jに、遠くから処分の仕方を指図している。
Jのお陰でネズミの葬儀も無事におわり、仕掛けもきれいに洗われて次回に備えることができたけど、マットにネズミのかじり跡を見つけて以来の
チョメの非協力的な態度をつらつら考えているうちに、ハッと思いあたることがあった:
そういえば、ネズミはチョメのご先祖さまだった!
ヤップ人は、「ご先祖様(あるいは守護神)の動物」を母方クラン(家系)で受け継いでいる。それはサメだったり、イルカだったり、ムカデだったりするが、ネズミがご先祖の人もかなりいるのだ。ネズミはヤップの伝説には必ず登場する動物で、天上界から来たともいわれ、多産で子孫繁栄のシンボルなのかもしれない。
サメがご先祖のあるヤップ人は、ハワイで中国人にフカヒレ・スープを薦められて閉口したそうだ(もちろん、彼はスープを口にしなかった)。ムカデがご先祖の人は、忍び寄るムカデ様にお願いすると、刺されずに迂回してくれるという。
チョメがネズミのご先祖様の非業の死を見るわけにはいかなかったのは、そういうことだったのだ。うちのボートのマットをかじらないように、ご先祖様にお願いしてくれないかなあ>
チョメ?
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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