またまた、長い間ブログをさぼってしまいました。
実はこのページの写真だけは数日前にアップしていたのですが、書いてる今はもう... あっ、10日だ!
とらちゃん、
くろにーさん、
眠り猫さん、
Hirokuniさん、
きるりさん、萌える旅人さん
(こっそり) ありがとうございました!
先月のある日、今年88歳になる
Tおばあちゃんから、ジャングル・ワークのお呼び出しがかかった。実はわたしの仕事に関係することで、おばあちゃんの村の奥地の、今ではうっそうと草木が生い茂る熱帯雑木林になっている場所の草刈りを、村の若い衆にしてもらう段取りをお願いしていたのだ。それがいつの間か、孫たちを引き連れて、おばあちゃん自身が総指揮を取りに出向くということになってしまった。いつになく張り切っているおばあちゃんに、
あんたも、来るでしょ?と、(もちろん日本語で)言われたら、これはほぼ命令に近い(笑)のだから、駆けつけないわけにはいかない。
さっそく、いつも車に積んでいるわたしの蛮刀を取り出してみた(写真右)。長いのは刃渡り50センチ、短いのでも30センチはある。ヤップ語では、これらの刃物は
シッポウ(sipow)というが、このタイプの刃物は日本では鉈(なた)というんじゃないかなと思って調べてみたら、やはり鉈とは少し形が違うみたいだね(
なた・おの 河合のこぎり店)。
ヤップで売っている
シッポウはアメリカ製が多く、英語ではマチェテ(machete)と呼ばれている。たぶん日本語で
蛮刀と呼ばれているのは、この
シッポウ(ヤップ語)、マチェテ(南米インディオ・ルーツの?英語)のことだろう。これらは、バナナを切り倒したり、ジャングルを切り開いたり、ココヤシの実を割ったり、とにかく南の島の暮らしには毎日必要な道具だから、10歳にも満たない子供ですら、刃渡り50センチもある刃物を器用に振り回している。
ところで左の写真は、いつもわたしのバッグに入っている小さなナイフ。この手の刃物はヤップ語では
ヤール(yaer)と呼ばれ(なぜか貝貨と同じ名前だ)、やはりヤップの暮らしには欠かせないツールだ。これを失くしたり忘れたりすると、何をするにも誰かの道具に頼らなければならないから不便この上ないし、そんなことより、いつも自前のを持ち歩いていないのは恥ずかしい。しかし、こんな出で立ちのままで日本に上陸したら、いま流行の職務質問とやらに引っかかり、ヤバイことになるかもね(笑)。
それはさておき、ジャングル・ワークの現場では... おばあちゃんの孫や親戚の若い子に混じって、わたしもエッチラ・オッチラ、研ぎがあまく手入れの悪い自分の
シッポウを振り回していた。すると、わたしの怪しい動きを見たおばあちゃんの鋭い声が日本語で飛ぶ。
そんなに振ったら危ないよ、
そうじゃない、向きが違う、
ほれ、手を切るなっ。孫娘の中に長いことグアムで育ったのがいて、その子にもわたし同様におばあちゃんの声が飛んでいる(もちろんこっちはヤップ語で)。
あんたのシッポウの向きがどうも違う。刃はこうして下に向ける、そうしないと手を切るよ。それで(地上部分だけ切っていると切り株が残ってしまうので)人がつまづくよ。
無様な仕事をするわたしを見ておれなくなった
Tおばあちゃんは、ついに座っていた場所から立ち上がり、わたしのシッポウを奪って手本を見せてくれた。その手さばきの鮮やかなこと、速いこと!とても88歳の老女の仕事には見えない。おばあちゃんもやりだすと止まらないらしく、息をハアハアさせながら続けているから、彼女に安心して休んでもらうためには、わたしが集中してスキルアップを見せるしかない。すごい教育だ!
やっと
Tおばあちゃんが監督席に戻ったのでホッとして作業を続けていると、今度は他の子に、
その木は切るなと叫んでいる。今回、おばあちゃんが出陣することにこだわった理由のひとつに、
いまどきの子供は森の木を知らないからというのがあった。熱帯のジャングルにはものすごい種類の草木がいっしょくたに生えているものだけど、
どの木を残して、どの木を切り倒すか、それぞれにちゃんとした理由があり、それらを見分けて的確に判断していく、そういうスキルと判断力を、この年代の人は小さいうちから身につけているんだなあ、と心底、感心した。今まで見よう見まねで、いろんな人とジャングル・ワークをしてきたけれど、
Tおばあちゃんに見守られた数時間の作業は、その100倍以上の価値と訓練になったと思う。
根元の直径が15センチ以上もあった木も、みんなで協力しあって長短の
シッポウだけで切り倒し、ひつこく垂れ下がる蔓草との格闘にもなんとかケリがつき、あれほど鬱蒼としていたジャングルに明るい木漏れ日が差し始めたころ、切り倒した草や木が一ヶ所に積み上げられて、火がつけられた。
みんなでひと息つこうということになって、おばあちゃんのいる場所へ移動する途中、目の前に切り残した20センチほどの木があったので、
シッポウを振るおうとした途端、
Tおばあちゃんの声が飛んだ、
それはギンガンの木、残しておくよ! 結局わたしは、おばあちゃんの孫の誰よりも世話の焼ける、落ちこぼれジャングル・ワーカーだったのでした。とほほ。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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