うららかな午後、水路際の浅いリーフは明るい日差しに包まれていた。
アケボノチョウチョウウオ(
Chaetodon melannotus)も連れだって、せっせとお食事中。この辺はサンゴも程よく育っているから、食べ物捜しには困らないだろう。
わたしも水中でボーッと日向ぼっこしていたら、ふと、あるお方と目が合ってしまった。誰だかわかります?
わしは石っころじゃなんて、ムリに自己主張するから、見つかっちゃうんだよね~、
セムシニライカサゴ殿(
Scorpaenopsis diabolus)。英語ではデビル・スコーピオン(Devil scorpionfish)なんて、おっかなそうな名前がついているけど、
性格はそんなに悪くない...と思う(笑)。完璧に近いカモフラージュにすごく自信もってるから、ちょっとやそっとじゃ動かない。けっこう緊張しているはずなのに、そんなことおくびにも出さず、目の先、20センチくらいまでカメラを近づけるわたしに対して、顔色(?)ひとつ変えずに耐えている。(赤い矢印の先に目、黄色の先に口があります。)
このサカナの名前(標準和名)は、去年の1月末まで
セムシカサゴだった。それが、日本魚類学界の日本産魚類の
差別的標準和名の改名最終勧告により、他の「差別的」名前をもったサカナたちと共に改名を申し渡された。同時に日本のサカナの名前から、
メクラや
オシや
バカ、
テナシや
アシナシ、
イザリや
セッパリ、
ミツクチが消えた。
コトバを追放すれば差別が消えるのか?
そんなことはない。差別やイジメを生むような社会のしくみが存続する限り、より隠微な形でそれらは生き残る。あからさまなコトバが無い分、疎外される側にとっても、抗する力がそがれて不利である。
たかがサカナの名前、とはいっても、慣れ親しんだ名前が消えていくのはさびしい。そのうち、
ノートルダムのせむし男も、
耳なし芳一も、改名される時代が来るのだろうか。と思ったら、リンクしたページによると、ノートルダムのほうは改名したのもあるようですね。やれやれ...
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