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ミクロネシアの小さな島・ヤップより

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ミャンマーとチベットとヤップの暮らしと

ミャンマーとチベットとヤップの暮らしと_a0043520_651546.jpgヤップではおだやかな春の日々が続いているが、石油の高騰とともに光熱費がシャレにならないくらい値上がりし、生活に大きな影響が出始めている。

ときどき店のパソコンを使わせてあげているビルマ人の若い友人が、読んでいたメイルから顔を上げて、軍政府がまた僧院を包囲しはじめているようです-と悲痛な声をあげた。チベットの騒ぎと関係があるのかしらね...と、わたし。

日本でもチベット人への中国政府の弾圧は大きく報道されて、中国政府のやり方に非難が寄せられているが、なぜこの時期にチベットでこのような騒ぎが起きているのかという問題の核心に触れる記事が表に出てこないのは不気味に思う。わたしもビルマ人の友人も、昨年の夏から秋にかけてミャンマーで起きたことと今回チベットで起きていることに、同じ臭いを感じているのだ。

昨年のミャンマーのムーブメントについては、わたしもFree Burma! 追記ありという記事を書いたが、なにか腑に落ちないものがあったので、「追記」として少し書き足しておいた。ミャンマーやチベットの人々が、表現信仰教育結社通信などの自由(基本的人権/ヒューマン・ライツ)を武力によって奪われているのは事実であり、彼らがヒューマン・ライツと取り戻せるようにサポートするのが、国際社会(他の地域に住むわたしたち)の義務だと思う。それはまた、わたしたち自身のヒューマン・ライツを向上させることでもあるのだから。しかし、どうやって?

去年のわたしの中では、オノ・ヨーコさんのメッセージが強烈に響いた。
彼女は事態の真相を知っている。だから、こういうメッセージを発表したのだ。
と思った。命を差し出してまで「自由」を求めて闘っている純粋な僧侶や民衆に、祈るような気持ちで発せられた悲しく重いメッセージである。

オノ・ヨーコがミャンマーの僧侶たちへ“生きる”というメッセージ
http://www.latina.co.jp/html/topics/
topics_disp.php?code=Topics-20071005113237
メッセージは、反政府抗議行動を行った僧侶のリーダーたちに送られ、ヨーコは多くの志をもった僧侶たちが「平和と健康のうちに生きること」を願っていると伝えた。
「私は行動を忘れはしません。今、あなた方(僧侶たち)のやってきたことを世界中に伝える仕事がはじまりました。あなた方が生きて健康でいてくれることを願います。世界は、知性と優しさのスピリットを必要としています。あなた方は、シンプルに生存するという事実を通して、世界中の人々を助けてあげて下さい。お願い、この世で生きるということを大切にして下さい。私も同じことをします」(オノ・ヨーコ)
今回は、ダライ・ラマさんが同じようなメッセージをチベットの民衆に送っている。

ダライ・ラマ、「チベット情勢悪化なら引退」
http://www.afpbb.com/article/politics/2362740/2752459
【3月18日 AFP】(3月18日 写真追加)チベット仏教最高指導者のダライ・ラマ(Dalai Lama)14世は18日、亡命先のインド北部ダラムサラ(Dharamshala)で記者会見し
   ~~中略~~
チベット独立は「問題外」
 チベット独立については「問題外」との見方を示し、チベット人と中国人の共生を呼びかけた。
われわれは中国人と良い関係を構築しなければならない
暴力は誤りだ。反中国的な感情を煽るべきではないし、中国人とは共生しなければならない
 一方でダライ・ラマは、暴動を陰で操っているとの中国政府の主張は否定している。




ミャンマーとチベットとヤップの暮らしと_a0043520_654452.jpgどんな政治運動にも急進派は存在する。問題は、その急進派を焚きつけているソースがどこか-ということだ。運動の末端はみんな純粋で素朴な人々だろう。先頭で闘って殺されるのも、みなそういう人たちだ。では、なぜいままるで示し合わせたように、一気に急進化したのか?

いつもながら、田中宇の国際ニュース解説はなかなか鋭いことを書いている。とくに今回の配信は日本の将来を考えるうえでも非常に大事な情報だと思うので、かなりの部分を引用・紹介させてもらいます(文中の太字・色字はsuyapによる):

ドルの崩壊が近い
http://www.tanakanews.com/080318dollar.htm
ドル安が進む中で、米当局が日本の当局に対し、何らかの協力を要請してくる可能性は大きい。世界の投資家が手放しそうな米国債を日本政府が買ってくれとか、円売りドル買いの介入をやってくれとか、最終的にドルや米国債の価値が大幅下落したまま元に戻らないとしたら、日本にとって大損失になる要請である。

日本の政界では、日銀総裁人事をめぐって与野党が対立し、総裁が決まらず、金融の政策決定に支障が出そうな事態になっている。これはひょっとすると、日本に損をさせるアメリカからの要請を断るための芝居として、福田首相と小沢民主党代表が事前に談合して演じていることではないかとも勘ぐれる。福田と小沢は、従来の日本の基本戦略である対米従属には未来がないと思っている点で意見が一致しており、日本を対米従属から引き剥がしていくための与野党大連立を、以前に画策している。
   ~~中略~~
チベット人による独立・自治拡大要求の運動は、中国共産党が政権を取った直後の1950年代から、冷戦の一環として米英の諜報機関が亡命チベット人を支援して持続させている、米英の諜報作戦でもある。その歴史から考えて、今回の騒乱も、北京五輪を成功させて大国になっていこうとする中国政府の戦略を壊そうとする、米英諜報機関の支援・扇動を受けて行われている可能性が大きい
   ~~中略~~
日本人の多くは中国が嫌いなので、チベット騒乱で北京五輪が失敗したら「ざまあみろ」と思うだろう。しかし、実はそれは自滅的な間違いである。北京五輪の失敗は、中国をドルから自立させて、ドルの崩壊、ひいてはアメリカの覇権崩壊を早めることにつながる。中東大戦争が起きた場合のGCCの反応と同じで、中国に関しても、米中政治対立が通貨のドル離れを引き起こす。ドル崩壊でアメリカは弱体化してアジアから撤退し、日本は唯一絶対の後ろ盾を失い、中国に頭を下げて友好国にしてもらうか、自閉的に衰弱をしのびつつ鎖国するしかなくなる。

▼通貨の多極化
チベット騒乱が早期に下火になり、五輪開催に影響が出ない場合、中国は親欧米を維持し、米国債を売ってドル下落に拍車をかけるようなことはしないだろう。中東が大戦争にならない場合も、GCCはドルペッグを維持しようとするだろう。しかしこれらの場合でも、ドル下落とインフレ悪化はひどくなるばかりなので、早晩、いずれ中国やGCCはドルを見限り、自国の資産を背景に、通貨に自前の価値を持たせていくだろう。
   ~~中略~~
この時期になっても、日本が「どうしても」というなら、太平洋をまたいでアメリカの属国であり続けることはできるかもしれない。だが、そのころの日本は、除夜の鐘が鳴って昨年を忘れるように、1945年8月15日に軍国主義をきれいさっぱり忘れたように、対米従属の「戦後」を忘れ、気分を一新して「アジア重視」になっているのではないか。そのころには、アメリカよりアジアの方が儲かる地域になっているだろうからである

ミャンマー軍事政権は、5月に新憲法制定のための選挙を予定している。隣国のタイを中心にアセアン諸国ではそれを支持する様子だが、国内では反対を表明する動きも出てきた(ミャンマー:民主化グループが新憲法案に「反対」呼びかけ)。
自分たちは、ヒューマン・ライツを求めているだけなんです。
とりあえず、どんな政体でも良いから、ヒューマン・ライツを認めてくれと。
と、ヤップにいるビルマ人の若い友人は言う。
また去年の夏のようにならなければ良いけど... ビルマの資源を狙ったり武器を売って設けてる外国の連中が、あっちからもこっちからも、よけいなことをするんです。それに腐敗した軍政がくらいつく。
大変な状況に生きている人でも、まともな感覚を持っていればちゃんと構図が見えているみたい。メディアの垂れ流す誘導記事に踊らされないで、世界の構図を読み解く努力が必要なのは、じつはわけのわかんない平和をむさぼっているわたしたちのほうだったりして...



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by suyap | 2008-03-20 05:16 | 戦争はビジネス(怒)
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