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ミクロネシアの小さな島・ヤップより

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2008年のヤップデイ-2日目

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ヤップデイ1日目よりもさらにお天気の良くなった2日目、約1時間半遅れでプログラムはスタートした(ヤップデイとしては上出来!)。午前中に予定された踊りが終わると、中央の広場ではいろいろな作業や服装のディスプレイが行われる。

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石貨運びは初日に行われたので、2日目は丸太運びだ。ニホンにもかつていろいろな作業(労働)に歌があったように、ヤップの労働にもそれぞれの歌があった。ニホンのように木挽き歌や馬子唄がNHKのど自慢(まだやってるのかな?)で歌われるだけになっちゃオシマイだけど、ヤップデイでは、短い距離とはいえ男たちは全員伝統衣装で実際jに丸太を引いてみせる。たった300mくらいの距離に何度も休憩をいれ、ヤシ酒を振舞うパーフォーマンスには笑ってしまうけどね。

この丸太引き唄はまんざら実生活で廃れてしまったわけではないかもしれない。あるとき、ある村を島内観光中、遠くのマングローブの林の中からこの歌が聞こえてきたことがある。最近では集会場を建てかえるのにブルドーザーで道をつくってトラックを入れることに疑問を持たない村も出てきたが、そうではない村も多いことを祈りたい。

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上の写真は、50年くらい前までのヤップの男女のいでたちを再現したもの。男女とも写真右から左へと年少者から年長者の服装になるが、大人の女性がカラフルなハイビスカスの腰蓑姿なのは、彼女らが次に控える踊りに出るためで、いわばこれは晴れ着で、もちろん普段着はもっと地味だった。




右上の写真で中央に立っている女の子はココヤシの葉で編んだ帽子をかぶっているが、彼女は初潮を迎えた女の子がダッパル(女の家)に数ヶ月こもったときの服装を再現している。初めてダッパルに入る前、女の子は髪の毛をきれいに剃られたそうだ。ダッパルで暮らしている間は、ときおり海に身体を洗いに行く以外はずっと屋内で過ごし、彼女の世話係の女性以外には親にも姿を見せてはならなかった。そうして数ヶ月後にダッパルから出たときには、まわりもあっと驚くほど色白でなめらかな肌と、輝くような黒髪をもった美女に生まれ変わっていた-というわけだ。

このダッパルでの数ヶ月間は、身だしなみや女の仕事はもちろんのこと、男の扱いも世話係の女性から習ったに違いない(ヤップ以外の近隣の島々にも似たような仕組みがあった)。ニホンを含めた外国の男世界の下卑た価値観からダッパルをネガティブに記した文献が多いが(アメリカが入ってくる前まではあったダッパルはいまだに建物すら復活されていない)、わたしは当時の社会では、とても大事な女の教育機関であったと思っている。

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上の写真の老人は、ココヤシのロープで魚網を編んでいた。ヤップ州の離島ウォレアイより東の大きなラグーン(環礁)では、毎年決まった時期にマグロやカツオが礁湖に入ってくるという。それらを捕る網だそうだ。

ちなみに、この老人が白い布1枚のフンドシ姿なのは、ことしのヤップデイが開催されている場所がガギル地区であるためだ。もともとフンドシもハイビスカスやバナナの繊維で織ったものだったから、昔は色などついていなかった。色つきのフンドシは「おしゃれ着」という感覚で、敬意を表する(フォーマルな)場合には、離島の男は古風な白のフンドシ姿になるのだ。いまではこういうTPOも知らない離島の若者が増えているのだけれど...

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さて上のご両人はヤップの男、ココヤシの繊維からロープを作っている。ヤップの成人した男はフンドシの上に化粧まわしのようなものをつけるのがフォーマルだ。

2008年のヤップデイ-2日目_a0043520_87336.jpg左の写真は、出来上がったヤシロープでシャコ貝の削ったのを腕木に結びつけたもの。時間がある限り、わたしが熱心にヤップデイに行くのは、毎年なにかしら新しいことを教えてくれるからだ。たとえば今年の収穫のひとつは、ヤシロープ作りのこんなコツを聞けたこと:
〇ココヤシの成熟した実の外殻を、すぐに海水に漬ける(時間を置いて漬けると弱くなる)。
〇漬けおく期間は1ヶ月半から4ヶ月まで(短くても長すぎても品質にかかわる)。
〇ロープの色は漬けた水の質による(品質に関係なし)。

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さて隣のブースでは、離島のお兄さんたち4人がかりでわっせわっせとヤシロープ作りを実演していた。あらあら、フンドシはいてこなかったの?(左上は繊維をほぐす係、右はそれをこよりのように紐にする係)。

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右上はこよりにした紐を2本取りで膝の上で綯っているところ。右はロープからはみ出た繊維をナイフで切っている。確かに彼らの作業はスピーディだけど、出来上がったロープはなんとなく弱そうな... それに、やっとフンドシがいたと思ったら色つきだし(笑)。

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実演ブースを離れて、学校ごとの展示即売ブースに行ってみた。今年のヒットは写真左上のネズミ捕り器(tafich ko boroq)と、オオオカガニ捕り器(tafich ko galip)。子供がこういうのを工作すると、実際に使ってみたくなるものではないか。

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左上は去年も出ていたマングローブガニを取る網で、右上はヤップの子育てにかかせない赤ん坊用のバスケット。ヤップの母親は子供が生まれる前から新生児用を編んでおき、成長にしたがって大きいのに変えていく。授乳も運搬もあやすのもすべてこの中で、寝せるときには吊るして揺りかごになる。最近は味もそっけもないプラスティックのベビーバギーを買っている親がヤップでも増えつつあるのは、まったく嘆かわしいことだなあ...


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by suyap | 2008-03-02 22:29 | ヤップの伝統文化
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