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ミクロネシアの小さな島・ヤップより

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香りのアート:ヌーヌー(レイ)の組み合わせ

今年の貿易風のシーズンは、風は強いがそこそこ雨が降ってくれるので、草花もわりと豊富だ。きのうはG嬢が、店番の合間になにやらヌーヌー(ヤップ語で花のレイなどのこと)を作っていた。チョイ(パンダナスの葉)から作った4本の紐で編みこむ本格的なやつだ。

香りのアート:ヌーヌー(レイ)の組み合わせ_a0043520_1591678.jpg香りのアート:ヌーヌー(レイ)の組み合わせ_a0043520_1595359.jpg
筒状の白い花は、バラウGuettarda speciosa、和名:ハテルマギリ、英名:Zebrawood)といい、ヤップの海岸近くにたくさん自生している樹高数メートルに達する常緑樹のもの。とても上品な香りを持つが、早朝に咲いて日が高くなる頃には落ちてしまう。左右の写真は午前9時過ぎにとったものだけど、もう花は残りわずかだった。大きな実はフルーツ・バットの好物だ。

香りのアート:ヌーヌー(レイ)の組み合わせ_a0043520_15103791.jpg香りのアート:ヌーヌー(レイ)の組み合わせ_a0043520_15111030.jpg
どの花とどの葉を組み合わせると良い香りになるか、ヤップのヌーヌーづくりには香りあわせみたいなものがある。とくに早朝に摘み取った(あるいは地面に落ちたのを拾った)繊細なバラウの花にの香りには、ゴブと呼ばれるシダの仲間(一番上左の写真で、G嬢の膝の上にある葉っぱ)か、

香りのアート:ヌーヌー(レイ)の組み合わせ_a0043520_15115855.jpg香りのアート:ヌーヌー(レイ)の組み合わせ_a0043520_15123163.jpg
アールPremna corymbosa var. obtusifolia、和名:タイワンウオクサギ)のと葉の組み合わせが良いという。アールの和名を漢字で書くと台湾魚臭木となって、あまり良い香りを想像できないかもしれないが、食物の嗜好と同じく、香りにも地域や民族なりの嗜好があるものだ。アールの葉は柔らかいので、若い葉っぱを揉んで耳に引っかけて香りを楽しんだりもする。

アールゴブは、グチョルCurcuma longa、ウコン)やモンAngiopteris palmiformis、ナンヨウリュウビンタイ)のように香りが強くないので、同じくかすかな香りのバラウの花と釣りあうのだろう。

香りのアート:ヌーヌー(レイ)の組み合わせ_a0043520_15135354.jpg香りのアート:ヌーヌー(レイ)の組み合わせ_a0043520_15142567.jpg
さてG嬢の作業は黙々と進む。この手の作業に不器用なわたしは(自分でも作ったことはあるが)、ひたすら側でおしゃべりをする人(爆)。右の写真でG嬢がつまんでいるのはソウル(赤いプルメリアの仲間)、白いプルメリアに比べて香りは弱いが、それがかえってバラウヌーヌーにはマッチして彩も添える。

香りのアート:ヌーヌー(レイ)の組み合わせ_a0043520_15145886.jpg香りのアート:ヌーヌー(レイ)の組み合わせ_a0043520_15155313.jpg
ヤップのヌーヌー作りも、この10年間で激変してしまった。以前は男も女も日常的にもっとヌーヌーを身につけていたものなのに、最近はずいぶん減ったなあ。それに材料がたくさん必要で編むのに時間のかかるこのタイプのヌーヌーではなく、簡単にチャカチャカ編めるタイプが主流になった。若い子にはこのタイプを作れないのがどんどん増えている。

香りのアート:ヌーヌー(レイ)の組み合わせ_a0043520_15163322.jpgそんなヤップの変化もどこ吹く風、読書家で手先の器用なG嬢は、本を読んでないときには、ビーズ編み、バスケット編み、ヌーヌー作りと何かしら手を動かしている。このヌーヌーは、ホテルで働いている妹にあげるのだそうだ。

そばでガチャガチャおしゃべりするわたしに付き合いながら、あっという間に20センチくらい編み進んだ。首にかけるヌーヌーなら、ひとつ作るのにG嬢のペースで20分から30分くらいかな。わたしがやると...?2時間かかります、ハイ(とうぜん花も葉もしおれます)。


最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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by suyap | 2008-02-16 19:06 | ヤップの伝統文化
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