準備完了!
毎年12月24日には世話になってるヤップのファミリーをまわって、ささやかなギフトを届けることにしている。ニホンでいうと「お歳暮」のようなものだ。毎回どんな品物にしようかと悩むが、数年前から子供のたくさんいる2つのファミリーへは、写真のような特製ケーキを届けることにした。といっても自分で焼くわけではないけどね(笑)。
そして左の写真はスタッフや親戚へ配るギフトの山。これも
絶対に便利に使ってもらえて、いくらあっても困らないものという視点で、大人へはアメリカ製の厚手のバスタオル、浴用石鹸、
サラックスのセット、子供へは学用品セット、と決めている。ただし離島の友人宛(下のダインボール箱)のは、コーヒーやらビスケットやらタバコやらの雑貨も入るけど。
こうしておくと、後で何やかやと食材などが届くわけ。特に離島から届くギフトがヤシガニだったりすると、すごく嬉しい(笑)。わたしの場合はほんのささやかなもんだけど、島の生活はこんな持ちつ持たれつでまわっているみたい。
それでサンタ巡業の最後に立ち寄った
Tおばあちゃんの家でちょうどお昼になったので、おばあちゃんと一緒にご飯をいただくことになった。86歳の
Tおばあちゃんは現在一人暮らしで、実の息子夫婦と孫たちはグアムに住んでいるが、まわり中の親戚縁者がそれとなくスープの冷めない距離を保ちながらケアしている。昼間はいないが、夜には甥の息子が泊まりにやって来る。
Tおばあちゃんはヤップで最高齢の現役の踊りのお師匠さんだから、踊りの指導があるときや、ちょっとした買い物や教会にお参りするときには、今でもスタスタ外出している。何にでも好奇心旺盛で考えも若々しく、なおかつ長年の敬虔なカソリック信者でもある。
以下はお昼を食べながらの
Tおばあちゃんとの会話の一部である。ニホンの人には想像できないかもしれなが、米軍に入っている若者の誰か彼かが身近におり、イラクにも行っている者もいる状況では、テレビも見ないお年寄りといえども、島のラジオ・ニュースで毎日、世界情勢を欠かさず聞いている。
Tおばあちゃん: たくさんの人が殺された、このあいだのテロリストの爆発はどこの国であったのですか?
suyap: ごめんなさい、わたしはそのニュースをまだよく見ていないのですが。あちこちで殺し合いやってますからね。(あとで調べてみると、どうやらパキスタンの爆弾テロのことらしい)
Tおばあちゃん: どうしてテロリストはあんなに人を殺しますか?だからアメリカのピルング(ヤップ語で長老、この場合は大統領の意味)は、デモクラシーをこの人たちに教えようとしてイラクに兵隊を送ったのですね?
(おばあちゃんの情報源はVOAを元にした島のラジオ・ニュースだけである)
suyap: いや、そうではないと思います。アメリカのピルングが、どうして地球の反対側の他国に自分の国の兵隊を送って、たくさんの人殺しをしなければならないのでしょうか?もし日本やアメリカが、ヤップのやり方が気に食わないからと勝手に兵隊を送ってきてヤップ人を殺し始めたら、どんな気持ちがしますか?人を殺してデモクラシーが作れるでしょうか?
Tおばあちゃん: (太平洋戦争中のことを思い出している様子)人殺しや戦争はいけないよ。でもテロリストを成敗しなければ、イラクの人も困るのでしょう?どうして(テロリストは)爆弾や鉄砲で人を殺しますか?
suyap: いまテロリストと言われている人たちはね、みんな貧しい人たちのようですよ。そういう貧しい人たちが、どうして鉄砲や爆弾を持っているのでしょう?それはね、アメリカや大きな国の大金持ち一味が、陰でこっそりテロリストに武器を売っているからです。ドラッグも売ってるよ。
それで実際に戦争にやられて死んでいくのは、敵も味方も、みんな貧しい者たちです。ヤップの人もたくさんアメリカに行って働いているけど、みんな貧しい。アメリカの人もほとんどが貧しい。イラクの人も貧しい。でも、世界のほんの少しの大金持ちが、金儲けのために武器を売り、ドラッグを売り、石油を売って、銀行を作って金儲けしているのです。そういう奴らは、金儲けのために戦争がずーっと続くように望んでいるのです。これが戦争がなくならない理由です。
Tおばあちゃん: それでは、アメリカのピルングのブッシュもそういう人ですか。ブッシュがそれをやらせていますか?
suyap: 誰かに騙されているのか、わかってやっているのか、わたしはブッシュに会ったことがないからわかりませんが、とにかく戦争で世界中の貧乏人をたくさん殺している連中のひとりには違いないですね。戦争で金儲けしている連中から褒美をもらっているのでしょう。
Tおばあちゃん: (ローカルな政情を思い出しながら納得した様子で)ああ...駄目だねえ。みんな金や欲に目がくらんで、ピルングまでも金に目がくらんで... それでは世界はほんとうに駄目になるよ。ヤップも駄目になっている... どうしてそんなことが出来る?どうやったら人殺しを止めさせられるのですか?
suyap: さあ...、わたしたちは力のない貧乏人です。彼らは聖書に出てくるデビルのような奴らだと思います。わたしたちが今すぐできることは、世界がもっと平和になるように、お祈りすることではないでしょうか?(と、おばあちゃんが安心できるような言葉を選んだと思って、ちょっと得意なわたし...)
Tおばあちゃん: (そんなわたしの言葉の中に「聖書」と「お祈り」という文句を見つけて、目をパーッと輝かせながら) そうですね!!!アダムとイブが間違いを犯して追放されてから、世はデビルでいっぱいになり、神は天国の門を閉ざされた。それからイエススを使わされて、神の子であるイエスス・キリストスを信じる者のみ、天国の門をくぐることが出来るようになった-と聖書にはあります。スーさん、そこまでわかっているのなら、あなたも早くクリスチャンになりなさい。死んだとき天国の門をくぐれるのは、クリスチャンだけなのですから。
suyap: あっ、はっ、はい... まあ、そのうちに...、まだ罪の多い身ですから... (門のところで迎えてくれる人があるなら、わたしとしてはお釈迦さんのほうが良いな、いや、もっと身近で愛してくれた人のほうが良いな...なんて不謹慎ことは、Tおばあちゃんの前では言わない-笑)
Tおばあちゃん: 誰でもたくさんの罪はあります。それをイエスス様は救ってくださるのです。人は誰でも最後には死ぬ。そのときにクリスチャンであれば、イエスス様が天国の門のところで迎えてくださいます。そうでなければ、門をくぐれない魂はずーっとずーっと、さ迷い続けなければならないそうです。スーさんも、これからよーく考えて、早くクリスチャンになりなさい。
そうそう、明日の朝は仕事ではないんでしょう?それなら、今夜のミサに行きましょう!わたしは11時からセント・ジョセフ(コロニアの教会横の建物)に行っているから、必ず来たらいい!
suyap: (心の中で) うへ~~~!
小学校に入学した頃から、わたしは毎晩、就寝前に祖母と一緒に仏壇に線香をあげて手を合わせるようになった。最初は真似事が面白くてやっているうちに、そうすれば祖母が喜び褒めてくれ、叔母どもが「あの子は違うね」と囁きあい、ちょっと得意な気分になれたのと、あまりにも習慣化したので、1日でも欠かすと罰が当たるんじゃないか-と恐かったからだ。毎日けっこう長いこと手を合わせていたが、お経を唱えているわけではなく、頭の中では「(亡くなった)おじいちゃん、どうかあの子と友達にならせてください。早く大きな家に引っ越せますように」などと、もっぱら現世利益を願っていたわけだ(笑)。その習慣は小学校高学年まで続いた。
それから疾風と怒涛の(笑)ティーンエージを迎え、いろいろ悩む(爆)ことあって、20歳頃から禅寺に通うようになった。専用の袴までそろえ、毎週末北鎌倉まで通ったものだ。数年そうしてみたけれど、な~んにも悟れなかったし、坐っている自分を
嘘くせ~~っと冷ややかにみている何かを、いつも自分の背中に感じていた。まっ、思春期特有の自意識過剰とでも言いませうか(爆)
それから、あーだかーだ人生いろいろありまして(笑)、いつの間にか親の法事を仕切る立場にもなり... まだ元気な叔母どもからは、服装、数珠の持ち方、焼香のやり方、線香の立て方(わたしが幼少の頃と違って、線香を立ててはいけないとお寺の指導が厳しいらしい)、お布施の作法まで、「違うっ」と厳しい
叱責指導が毎回飛んでくる。わたしとそんなに歳の違わない僧侶のお経もボーっと聞き流し(配られた経文を開きもせず)、
宗教ってのはエンターテイメントの要素がなけりゃ、広まらないよなあ。そうだ、新興宗教と老舗宗教の違いは、やっぱエンターテイメントのプロとしての熟練度の差かなあ...お説教聴いて、坊主のパーフォーマンスによって気持よく前向きになれた人はその場で救われてるんだし... どんな宗教にハマルかは、やはり人次第だなあ... 衆生みんなが哲学者になるわけじゃなし、哲学が魂を救えるわけじゃなし、救いを求めない者にはその必要はなし...、やっぱ既成仏教の僧侶も宗教家としての目覚めが必要だなあ、これじゃ檀家も減るばかりだろう... そうだ、檀家/檀那寺制度から見直さないとなあ... でも、叔母ちゃんたちのいる間はこれは禁句だよなあ...etc.
なんて不謹慎なことを考えているわけである。
それくらい、どの宗教によっても度し難い性格のわたしであるので、いままでヤップの葬式や法事は何度も経験したけれど、教会のミサには一度も参列したことがなかった。興味はあったが、やはり信者でもなく信者になる気もないのにノコノコ覗きに行くのは、ほんとうの信者さんに失礼なような気がしていたからだ。
でもまあ今回のような流れができたので、せっかくの
Tおばあちゃんのお誘いでもあるし、クリスマス・イブのミサには行ってみようかな...という気になった。友人/パート・スタッフの
タマちゃんに相談すると、キャッキャッと大笑いされ、
そりゃ~グッド・アイディアだよ。スーも明日からはピュリファイド(purified:清らかになる)だ、わっはっはだって。
それはさておき、左右の写真は今日のサンタ巡業で集まったお返しの品々。サカナは捕りたて、ヤムイモも掘りたて、でっかいパイナップルに完熟直前のバナナ、それにTおばあちゃんからもらった調理済みのイモやサカナ... ありがたし、ありがたし。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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