人を迎えたり送り出したりするときに、ヤップには、
ヌーヌーと呼ばれる花のレイを贈る習慣がある。香りの良い花や葉を編みこんであるので、これをつけるとエレガントな匂いに包まれて、なんだかハッピーな気分になる。
あるヤップ人一家が明朝4時のフライトでアメリカに行くので、写真のヌーヌーを用意した。わたしが作るともちろんものすごく時間がかかるので(笑)、こんなときにはヤップの友人の世話になることにしている^^
これから見送りに行く一家の主は、彼のお父さんが始めた商売をその死後も引き継いでやっている。ところが、この夏に14歳になる娘をアメリカの高校に入学させた。もともとこの夫婦の馴れ初めもアメリカ留学中であり、ダンナの父親が高齢で呼び戻されるまで夫婦はアメリカに住んでいたのだから、「子供の教育はアメリカで」と考えるのも仕方ないかもしれない。しかし、
14歳でアメリカに...早すぎるんじゃない?と思っていたら、案の定、彼女は毎日のように電話してくるし(今はスカイプという便利なものがある)、親も心配でたまらない。そんなある日、
あのね、わたしたち、アメリカに行くことにしたの。
ダンナは商売があるから行ったり来たりするけど、わたしは下の子(現在12歳)が高校を終えるまで向こうに住むわ。
オイ、オイ、オイ、オ~イ!
先代が亡くなったあと、彼らの商売が曲がりなりにもスムーズに続いているのは、ひとえに働き者のこのカミサンあってのことだと、わたしだけでなく、周囲のみんなが知っている。
そっそれで、あなたたちの商売はどうするのよお?大丈夫、わたしも毎日電話をするし、あなたもわたしたちの従業員や商売の様子をメイルで教えてよね。そうそう、早くスカイプに加入しなさいよ。頼りにしてるから。
Micronesian Seminarを主催する
Hezel神父の最近のレポートによれば(Micronesians Abroad)グアム、サイパン、ハワイ、米国本土へ移住するミクロネシア連邦の国民の数は90年代後半から急速に増え続け、現在では年間2000人に上るという。米国との
自由連合盟約(コンパクト協定-Compact of Free Association)のお陰でミクロネシア連邦の国民はビザなしで自由に入国・居住できるので、安い労働力の調達に米国側もからも期待される半面、グアム、サイパン、ハワイなどの地域ではミクロネシア人への社会保障の負担増から、コンパクト協定保証(ompact Impact funds )を米政府から支給されるようになった。
Hezel神父によると、現在アメリカ領内に住むミクロネシア人は総人口の4人にひとりだが、10年後にはおそらく人口の半分に上るだろう-という。
ミクロネシア人が豊かな自然がいっぱいの住みなれた島を離れるのは、決して「食べるため」ではない。彼らの中には、親戚縁者を頼ったり、リクルーターの甘い言葉に乗せられてフラフラ流れていく者や、病気治療が目的の者もいるが、アメリカでしっかりと根を下ろして働いている者の大半が、「子供の教育のため」という。明朝ヤップを離れる家族も、その典型だ。
あなたたちが過ごした時代のアメリカと、これからのアメリカは違うと思うよ。
それに子供の上級教育なら、せめて高校まで島で過ごさせてからでも遅くないでしょ?
あまり早いとヤップ人としてのアイデンティティを失くしてしまうんじゃない...?
と、わたしはいちおう、思いとどまるように説得を試みたのだが...
カミサンのほうは、やはり自分がいないと商売はうまくまわらないことは百も承知のようだ。ダンナのいない場所では「
わたしはアメリカに住むのは反対なんだけどね...」という。アメリカン・ドリームから覚めやらないのは、どうやらボンボン育ちのダンナのほうか...
See you soon!
See you next month!
と言って彼らを送り出そう。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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