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ミクロネシアの小さな島・ヤップより

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経済協力開発機構(OECD)国際学力調査の結果について

経済協力開発機構(OECD)国際学力調査の結果について_a0043520_21333287.jpg夜来の雨も上がり晴れ渡った空の下、ヤップ島の南の高台から南西方向に海を眺めるの図。この高台を最後に、これより南はフラットな緑が続く。ああ、良い海だなあ...潜りたいっ(せっかくの潜り休みなのに-笑)。

さて、久しぶりにmixiにアクセスして、長い間ご無沙汰していたマイミクさん(mixi内で相互リンクを認め合った関係をそう呼ぶ)たちの日記を拝読した。カナダde日本語の美爾依ちゃんの日記から、mixiのニュースでは朝日や地方新聞が読めないどころか、日刊ゲンダイを削除しろという要望がいま一番多いってことを教えられた。ま、わたしはmixiなんかでニュース見ないから関係ないけど、mixiしか見ない人も多いようだから、これは知っておいたほうが良い。

それから、このブログにもよくコメントをくれるノリタケさんの日記に、こんな傑作を見つけた:
国際学力調査への反応への反応
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=645890151&owner_id=1665264
mixiのメンバーでログインしてないと、クリックしても読めません)
しばらくニホンで報道されるニュースからも遠ざかっていたので?だったけど、なるほど、ゴミウリ ヨミウリ(別称ナベツネ)新聞を漁ると、12月4日から5日にかけて、関連記事がわんさか見つかった:
学力転落ショック、指導要領・理数一部を前倒し実施へ
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20071205i204.htm
国際学力調査 結果を新指導要領に生かさねば(12月5日付・読売社説)
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20071204ig90.htm
日本「お家芸」理数系で順位転落、OECD学力調査で判明
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20071204it12.htm
現場教師ら、理数離れに危機感
http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/news/20071205ur04.htm
学力転落ショック、指導要領・理数一部を前倒し実施へ
http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/news/20071205ur21.htm
日本、数学応用力が10位 読解力は15位に
http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/news/20071205ur05.htm
考える力どう養成
http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/news/20071205ur03.htm
(以上すべて近々リング切れするでしょう)
なんじゃ、こりゃ?(ゴミウリ・ナベツネは何の目的でこんなキャンペーンを?)

去年の今頃は教育基本法を守ろうとブログでも盛り上がっていたが、その教育基本法が殺されて一年後に、これですか...

それで、ノリタケさんの国際学力調査への反応への反応という記事は、とても軽妙に鋭くオモシロくこの問題の本質とメディアの空騒ぎを突いているので、mixiという偏った閉鎖社会の中だけに置いておくのはモッタイナイと思い、著者の許可を得て、ここに転載させていただくことにした。

それでは、どうぞ:
国際学力調査への反応への反応

OECD(経済協力開発機構)が行った国際学力調査の結果に、大手メディアが祭り状態になっているみたいです。とりあえず、数ある中からナベツネ新聞の論説記事を取り上げて、遊んでみようと思います。


■国際学力調査 結果を新指導要領に生かさねば(読売新聞 - 12月05日 01:23)
http://news.mixi.jp/view_news.pl?id=354954&media_id=20
(suyap注)mixiにログインしてない方はこちらで:
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20071204ig90.htm

> 理数系も、もはや世界のトップクラスとは言えない。

冒頭の一文、いきなりセンセーショナルですね。でもこれは、嘘、とは言わないまでも、強迫観念めいたものであるように私は思います。







学力調査の対象となったのは、OECD加盟30ヶ国と非加盟の27ヶ国・地域です。OECDって国際組織は、「金持ちクラブ」と揶揄されることもあるくらいで、経済的に豊かでなおかつ「民度」も高くないと(藁)加盟できません。

OECDについてはこちら↓
http://ja.wikipedia.org/wiki/OECD

そんな国々の間で、どこが一番賢い国なのか。それを決めるのが、OECD主催の国際学力調査です。言うなれば、金持ちセレブのボンボンが集まる超有名進学校の校内テスト、それがOECDの国際学力調査なのです。

このテストに参加できているいうこと自体、すでに「トップクラス」の証です。その中で1位2位と言えば、これはもう東大医学部現役一発首席合格100%間違いなし、みたいなもんです。だから、

> 経済協力開発機構(OECD)が昨年実施した国際学習到達度調査
>(PISA)の結果が公表された。世界の57の国・地域中、日本は、
>科学的応用力は前回の2位から6位に、数学的応用力が6位から10位
>に下がった。14位だった読解力も、15位になった。

と言っても、なにも悲観することはありません。東大医学部現役一発首席合格とはいかないまでも、旧帝大や早慶、関関同立クラスなら寝てても余裕で受かるでしょう。そう考えれば、

>改めて学力向上への取り組みを迫る結果である。

とか

>理数系の落ち込みに対し、危機感が足りないと言わざるを得ない。

なんて言い方、まるでお受験狂いの教育ママの小言にしか聞こえてきませんよね・・・


え、そんなん納得できひん? じゃあもうちょっと真剣に遊んで見ましょう。でもそのためには、ある程度の道具が要ります。そこで今回、私は実際にOECDの報告書を当たってみることにしました。

The Programme for International Student Assessment
Analysis: http://www.oecd.org/dataoecd/30/17/39703267.pdf
Data : http://www.oecd.org/dataoecd/30/18/39703566.pdf
Summary : http://www.oecd.org/dataoecd/15/13/39725224.pdf

分析編381ページ、統計編310ページととんでもないボリューム。要旨編でさえも54ページもある。これを全部読むのはさすがに無理です。ということで、ナベツネ新聞で言及のあったところを原本で拾っていくという形で、遊んでいきましょう。

> 数学について、文部科学省は、首位から6位に転落した前回、まだ
>「1位グループ」と説明していた。今回さらに下がったにもかかわら
>ず、「OECD加盟国の平均と比べれば、高い得点のグループにいる」
>としている。

文科省の言い分は、全くもって正しいです。

報告書では、科学、数学、読解力のそれぞれに応じて、学力調査に参加した全57国・地域を「平均を上回っている国々」「平均的な国々」「平均を常に下回っている国々」の3つに分類しています。

全ての科目で平均を上回っている国に分類されたのは、総合1位に輝いたフィンランド、イギリスの植民地だったカナダやオーストラリアやニュージーランド、お隣の韓国や香港などでした。日本は台湾と同様、読解力のみ平均的な国々に分類されていますが、他は平均を上回っている国に分類されています。しかも読解力が平均的な国々には、イギリスやフランスやドイツといった、伝統的な先進国が名を連ねています。明治維新以来目標としてきた西洋文明発祥の地の人々と、遂に同じ読解力を持つに至ったという事実、それに何の負い目を感じる必要がありましょうか(笑)

ちなみに唯一の超大国アメリカは、科学、数学のいずれも平均を下回っている国々となっています。そしてどういうわけか、読解力については分類されていません。詳しく中身を読まないとはっきり言えませんが、ひょっとしたら、スペイン語話者の急激な増大に教育現場が対応し切れていないという現状がアメリカにはあって、それが考慮されたのかもしれません。いずれにせよ、アメリカは偉そうにしてるけど実はただのアホボンだ、ということが言えてしまいますね(爆)

> 科学では、順位だけではなく得点でも水を開けられている。トップの
>フィンランドの563点に対し、日本は531点で32点も差がある。

この調査の「得点」ですけど、報告書要旨編の14ページにはこうあります。

「科学的活用力の得点基準は、OECD加盟国の平均的な生徒の得点を500点とするように構成された。2006年国際学習到達度調査では、3分の2の生徒が400~600点を記録した。」

詳しいことはわかりませんが、これは要するに偏差値のことです。どのように偏差値化したのかはわかりませんが、私たちになじみの深い50点を基準とする偏差値にそのまま置き換えると、フィンランドは偏差値56、日本は偏差値53となります。もしこの置き換えが妥当だとすれば、フィンランドと日本の差ってそんなに大きいと言えるんでしょうか?

とにかく、この調査の「得点」が実得点ではなくて偏差値であることは、注意が必要だと思います。

> 科学の価値や楽しさを感じられない。理科の授業で意見発表や討論を
>重視したり、実生活に密接にかかわっていることを解説したりする授業
>をしてくれる先生が少ない――。学力調査と同時に行われた意識調査で
>は、多くの生徒はこう感じている。

これについては、実際の統計を見るととても面白いことがわかるんですよ。日本に限らず、韓国、台湾、香港などアジアの国・地域は、いずれも「平均を上回っている国々」なのに、これらの項目に関しては総じてポイントが低い傾向にあるんです。

逆に、「平均を下回っている国々」のアメリカやメキシコなんか、もう自信満々なんですね。特にメキシコ。得点はOECD加盟国中最下位なのに、科学理解に対する自己評価ポイントはOECD加盟国中1位なんですよ。つまり、「ぜんぜんわかってないのにわかってると思い込んでる」んですね。

「科学? んああ、大好きさ。勉強だってちゃんとやってる。何だって? 地球は平らで、その周りを太陽が回ってるってんだろ? そんなことぐらいちゃーんと知ってるさ。それよりこれからテレビでルチャやるんだ。一緒に見ないか?」

なんて言ってるホセ・サントス君の笑顔が浮かんでくるよw

・・・それはともかく、こんな風に見ると、これって「学力調査」じゃなくて、実は「お国柄調査」なんじゃないかと思えてしまいます。


ナベツネ新聞の論説はさらに、やれ理工系学部の学生の割合が減ってるだの(文系学部の新設による定員増が相次いだから当たり前)、やれ技術立国日本の将来が憂慮されるだの(そんなに心配なら超優秀な科学者を外から呼んでくればいい)、学力調査とは関係のないことをグダグダ述べているんだけど、こんだけ遊んだから、私はもう十分満足しました。

どうもご馳走様でした。
なあ~んだ、そういうことだったのか...(笑)。

この記事のコメントには、著者のノリタケさん直々のお返事があるものと思います。


 最後まで読んでくれてありがとうございました!
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◆ヤップの旅の情報はこちらでどうぞ
http://www.naturesway.fm/index2.html


経済協力開発機構(OECD)国際学力調査の結果について_a0043520_13544829.gif柏崎刈羽原発の運転再開は危険です!

経済協力開発機構(OECD)国際学力調査の結果について_a0043520_20152150.jpg沖縄はもうだまされない
http://www.ryukyu.ne.jp/~maxi/
やんばる東村 高江の現状
http://takae.ti-da.net/
「やんばる」の森にヘリパッドはいらない
http://www.wwf.or.jp/activity/wildlife/
news/2007/20071003.htm

経済協力開発機構(OECD)国際学力調査の結果について_a0043520_0462420.gifジュゴンの海を海洋保護区に!
http://www.greenpeace.or.jp/campaign/
oceans/dugong/index_html
辺野古から緊急情報
http://henoko.jp/info/
基地建設阻止
http://henoko.jp/fromhenoko/
ちゅら海を守れ!
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「への子とたか江アワー」(インターネット放送局)
http://www.stickam.jp/profile/
henokoandtakaehour
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経済協力開発機構(OECD)国際学力調査の結果について_a0043520_116104.jpgもし、世界貿易センターに激突したのは民間航空機ではなかったら?世界貿易センターが爆破解体されていたら?ペンタゴンにボーイング757型機は激突していなかったら?93便が撃ち落とされていたら?

『911の嘘をくずせ ルース・チェンジ・セカンド・エディション』

日本語版 by Google Video:
http://video.google.com/videoplay?docid=
4377032998245988095&q=Loose+Change+2nd+Edition


ダウンロード版:
http://store.globalpeace.jp/index.php?main_page=
product_info&products_id=85

by suyap | 2007-12-06 23:06 | ちょっと情報
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