先週末、うちのスタッフG嬢の村(ガギール地区マキ村)で、4つの女の踊りの「踊り上げ」、あるいは「踊り納め」があった。これらの踊りを若い世代に引き継ごうと、この数ヶ月、村の女たちは自主的な練習を続けていた。ヤップの踊りはたとえ練習であっても、踊ったら手順にのっとって「納め」なければならない。だから今回は、「本番(お披露目)」なしで踊りを「納め」るというわけだ。
そこで、その成果を録画しておこうということになったのだけど、島のテレビ局に頼むと
放映されてしまうので嫌だという意見が強く、G嬢の縁で録画係はわたしにまわってきた。わたしのほうでもヤップのいろいろな踊りを映像に記録したいと思っているので
、ノープロブレーム! 腰蓑とカメラをもって村にかけつけた。ずっと雨がちな毎日だったのが、この日の日中だけは晴れ間もでてくれた。
今回は4つの踊りの3つまでが太平洋戦争時のつらい経験を語ったものだった。最後のひとつは、GPS以前に船舶や航空機のナビゲーションで活躍したロラン・タワーにまつわる話を踊りにしたもの、90年代初めまで、ヤップにはアメリカ沿岸警備隊が管理するロラン基地があったのだ。
ヤップではときたまイヌも踊りに飛び入り参加します(笑)。
踊り手の後ろの建物はこの村の女の集会場で、アメリカ時代以降あちこちの村にできたもののひとつ。マキ村の正式な集会場(ぺバイ)は別なところにあるが、そこには若い女の子は入れない場所もあるので、男の踊りだけが行われるという。
踊りが好きであれば年齢に関係なく参加できるが、まだ小さいと気が散るのかな?この子、こっそり小石で遊びはじめちゃった...
ところで気になる踊りのストーリーだけど、うちのパソコンを使ってヤップ語の謡を文書化し、せっせとプリントしていたG嬢にしても(若い世代のヤップ人はこれからこうして伝統を引き継ぎます)、
意味?う~ん、チンプンカンプンなのだそうだ。まるでいまの日本人が古事記を読むようなものらしい。
おばあちゃんに聞かないとわからないよ。
そこで踊りのストーリーはG嬢がおばあちゃんから聞いてくるのを待つことにして、ここからの写真は
ガン ヌ アルチェ(直訳すると「鳥の食物」)の様子。
納めの踊りには、踊り手に縁のある見物人が、こうして色々なものを持って登場する。持ち寄られたものが
ガン ヌ アルチェと呼ばれるわけだけど、これらは特定の踊り手にあげるために側に置いておかれる場合もあるし、縁のある踊り手に「触れて」そのまま退場し、他の見物人に「投げ」られることもある。
写真左のおじさんが持っているのは貝貨だが、こういうものは踊りを取り仕切ったそれなりの人に渡るのだろう。右は同じおじさんが今度はビールを持って登場。もちろんビールを踊り手たちに振舞うつもりではなく、踊り手のまわりを一巡りしたら、「男の場所」から見物している男たちのところに帰っていく。
ガン ヌ アルチェをもらうのは、日本人の感覚でいうと神仏のお供えのお下がりのようなものかもしれない。
あれっ、G嬢のおばあちゃんがパイナップルを持って登場したよ!と思いきや、そのパイナップルはカメラの側に座っていたわたしの膝の上に置かれていった。
写真右上はこの日わたしのところにきた
ガン ヌ アルチェ。このほかにキャンディやビスケットもあったのだけど、それらは近くにいた子供にあげちゃった。写真のように、小さいものは、パンやラーメンやコーラにいたるまで、紐(写真のはパンダナスの葉の繊維)でくくってある。
いま、G嬢のおばあちゃんからもらったパイナップルがだんだん熟れてくるのを、楽しみに待っている。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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