8月29日の
きっこのブログ「死刑廃止論を廃止しろ!」を読んだときには、
きっこさんの表現を借りていえば、ビックルを一気飲み、ほんとうに驚いた。
きっこさんも書いているとおり、人のブログの内容をつべこべ言っても意味がないことは認めるけれど、100%じゃないけどかなりわたしと考え方が近いと思っていたきっこさんに死刑容認論を書かれちゃうと、やっぱり悲しくなってしまう。
彼女は以前から山口県光市の母子殺人事件の容疑者には極刑を主張していた。それに加えて今回は、イタリアの放火魔らや覚せい剤密輸の罪で中国で捕らわれ死刑が確定した日本のヤクザなども含めて、
片っぱしから死刑にすべきという。イタリアの放火魔に火をつけられて放たれた可愛そうなウサギたちのことを思うといたたまれなくて飲みすぎちゃってたのかなとか、いまこんなこと書いてても富戸のイルカの件
※のように、後できっとフォローアップしてくれるだろうとか、いや待てよ、これはきっこさんがよく使う「
方便」に違いない...etc.とか、 いろいろ考えをめぐらせてみたけど、それにしてもタイミングが悪すぎる... (
※記事は
世界で孤立するニポンから
イルカに乗ったアベシンゾーとなり、
イルカはキューキュー、牛はモーモーと変遷した)
折りもおり、長勢甚遠前法務大臣が離任直前の8月23日、新たに3人の死刑を執行して、1年足らずの任期の間に10人の死刑を執行した(10人という切りのいい数字にしたかったのだという説もある)最悪の法務大臣として世界に名をとどろかせたばかりなのだ。
☆保坂展人のどこどこ日記:「長勢法相・11カ月で10人の死刑執行」に抗議する
http://blog.goo.ne.jp/hosakanobuto/
e/c2c113a5c90f7c2b1eb2ec06b2d84e5b
☆ダイイン:長勢執行は最後まで異常だった
http://blog.so-net.ne.jp/die-in/2007-08-23
きっこさんが取り上げていたオムライス社民党の
福島みずほたんの、中国で死刑宣告された日本人受刑囚をなんとかせよという言い分は、確かに説得力に欠ける。いまだに死刑が存続している日本が中国の法制度をとやかく言うのは、やはり難しいだろう。それにこの受刑囚のやってたことがヤクザ絡み... それだけど、なぜこの時期に、まるで長勢前法務大臣の死刑執行を援護するかのようなタイミングで、こんな記事を書いちゃったのだろう...ホントに悲しいよ>
きっこさん。
どんなに小さなブログでも、いったん投稿してしまうと、ありとあらゆる考え方の人に読まれる可能性を覚悟しなければならない。だからといって世の大勢に迎合するような記事にする必要はないけどね。わたしもよく、多くの人からはまだ受け入れられにくいようなことを書いたりもするが、
こう書いておけば、いつか、わかってくれる人には伝わるだろうという希望を込めて書いている。きっこさんのように1日にウン10万単位のアクセスをもつようになると、その影響力は甚大だ。彼女がよく使う
方便も、自分の考え方への理解者の層を広げるという意味では大切だと思うが、今回の
凶悪犯には死刑も当然というようなメッセージには、どうやっても方便では救えない、やりきれなさが残ってしまう。
わたしを含めて死刑制度に反対している人たちは、だいたい次のような理由で反対している。
① 裁判官とはいえ人間であり100%完璧な判断は不可能で、そういう「人間」が「人間」を極刑=死刑で裁くということの危険性(冤罪の危険性)
② 目には目を!の「制裁」的な刑で、ほんとうに被害者は救われるのか?まして殺しには殺しを!で加害者を殺してしまっては、今度は被害者(あるいは死刑にかかわった司法関係者)が、殺しの罪を負うことになる。たとえ社会的にそれが受け入れられたとしても、果たしてそれで断罪者の魂(心)は救われる(進化できる)のか?(倫理的な側面)
③ 権力を持ったものが都合の悪いものを「消す」道具に使われる。これは日本を含めて世界中で多く起きた例を挙げればきりがない(権力者に乱用される恐れ)
死刑制度に反対する根拠を、とてもわかりやすく述べているブログをご紹介します。まだ
死刑制度を廃止するのはちょっとねーと思っている人は、ぜひ読んでみて!:
☆言ノ葉工房「死刑考」
http://hizjihizji.blog85.fc2.com/blog-entry-53.html
☆村野瀬玲奈の秘書課広報室「1981年9月17日、フランス国民議会、死刑廃止法案の審議における、法務大臣ロベール・バダンテールの演説全文訳」
http://muranoserena.blog91.fc2.com/blog-entry-250.html
民主主義の社会を本気で実現させようと思うなら、それを構成する「
民」ひとりひとりの
心のレベルをも上げていかないと、人類はいつまでたっても
劇場型民主主義=>
衆愚政治=>
独裁者の出現=>
破滅という悪のスパイラルから抜け出せず、今の時点でそれが進行すると、
最終的な地球の破滅も近いと感じる今日この頃なのだ。
善人なおもて往生をとぐ、いわんや悪人をや※ (歎異抄 by 親鸞)
この言葉とその裏にある思想を、憎しみにまみれたとき、つらさのどん底にあるときこそ、よくかみ締めておきたいと思う(苦しみの渦中にそれは無理であっても、頭の片隅には残しておきたい)。
※全文は「善人なほもて往生をとぐ、いはんや悪人をや。しかるを世のひとつねにいはく、悪人なほ往生す、いかにいはんや善人をやと。」
投稿当初、後半部分だけうろ覚えで引用してました。おお恥ずかしい...
(追記)
上記の引用について、
Mr.RadishさんからDMでコメントをいただいた。
親鸞も法然(彼も悪人正機説を示していますが、微妙な表現の差があることから、学者によって、悪人正機説は、親鸞が最初とする人、法然が最初とする人など、多少見解が分かれるようです)も、悪人が往生することは認めていますが、悪人が生存中に救われる、許されるべきである、或いは死刑をすべきではない、というような、死刑の是非については論じていません。あくまで、往生できるかどうかという、死後の分かれ道について述べているのです。死罪になった悪人でも、いや、死罪になった悪人で、もはや自力作善(自分の力で良い行いをする)の機会が失われているからこそ、他力本願、一心に念仏を唱えるのであって、刑の執行後、弥陀があわれみ、往生する、というものです。
ですから、「この言葉とその裏にある思想を、憎しみにまみれたとき、つらさのどん底にあるときこそ、よくかみ締めておきたいと思う(苦しみの渦中にそれは無理であっても、頭の片隅には残しておきたい)。」というコメントをつける引用としては、私は、そぐわないものを感じています。
貴女のコメントを読んで私は、キリスト者(といっても多種多様ですが)の許しの心の方が引用には適しているのではないかと感じました。
以前御紹介した書籍で、フィリピンで住民を虐殺した日本兵が戦後、フィリピンを訪れ、生存者に、それとなく自分が虐殺の実行行為者であることを打ち明け、それを聞いたフィリピン人が、キリスト者であることからその元日本兵を許す内容の回答をしている場面がありました。私はキリスト者ではないのですが、加害者が贖罪の気持ちをもち、被害者が加害者を許すことができるようになることは、加害者にも被害者にも、大きな救いとなると実感しています。
死後に往生するか否か、という点で悪人に触れているより、現世での許しを説くキリスト教(多様ですが)の教えの方が、貴女のコメントにぴったりくるのではないでしょうか?
以下は
Mr.Radishさんへわたし
suyapからのお返事です。
ご指摘のとおり、キリスト者の贖罪の気持ちは、わたしの死刑反対理由のうち②に相当するものをよく表していると思います。
実は親鸞の引用を思いついたとき、仏教の死生観やムズカシイ論議に入ると困るな、でもキリスト者でもないわたしがキリスト教系のものを引用するのはちょっとやだなと思いながら、つい親鸞に頼ってしまいました。私的には、仏教やキリスト教などの解釈を超えて死後の魂の進化などという夢想も入ったりしています(笑)。だから上記の引用はあまり適切ではないことも承知の上でそれを残しながら、Mr.Radishのご意見も掲載させていただきたいのですが、よろしいでしょうか?
わたしたちの、社会や政治を良くするための言動、運動、行動は、
〇〇反対!とは言っていても、それは相手の
生存権まで否定するものではないこと、その根底には感情的な憎悪ではなく、
感情からもっと進化した意識レベルの愛にもとづいたものであること、
そのような意識をみんなで持てるように助け合うことが、いつまでも続く平和を実現するには絶対不可欠だと思う。そしてそれは今、平良牧師をはじめとして辺野古で頑張ってるたくさんの人たちひとりひとりが、共に目指そうとしている理念だと確信している。
感情レベルでの好き嫌いや憎悪から生まれたパワーでは、いまの日本も地球も、絶対に良くならない。少しでも多くの
ヒトの意識レベルが向上できるかどうかが、これからの人類や地球の存続にかかわっていると思うのだ。
というわけで、きっこさん、「
死刑廃止論を廃止しろ!」について再考をお願いします。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
よろしかったら
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