パスウエイズ・ホテルに行くと、スタッフが
マングローブオオトカゲ(
Varanus indicus)のために大きなケージを作成中だった。ヤップ語で
ガルーフというこのオオトカゲは、すでに体長が80センチもあるけど、まだティーンエージャーってところみたい。1週間ほどまえに、ホテルのスタッフが尻尾に切り傷を負ったこのトカゲを捕まえてきて、それ以来、小さなオリに入れられ傷の手当てを受けていた。大きなケージが完成して引越しするまで見ていたのだけど、カメラを近づけると警戒して隅によってしまう。
以前も、
ガルーフにまつわる民話のひとつを紹介したが、ヤップには
ガルーフの話は他にもたくさんあるようだ。きょうは、また新たな話を2つ紹介しよう。
ガルーフとガプルーむかしむかし、ヤップのガルーフとガプルー(Micronesian Starling Aplonis opacaムクドリの仲間で真っ黒な鳥-日本時代には日本人にパパイヤガラスと呼ばれた)は大の仲良しでした。
ある日、ガルーフはガプルーに、自分の身体にきれいな模様を描いてくれないかと頼みました。そこでガプルーは、ガルーフの身体にとても繊細な模様を描き、周囲にとけこむ美しい色で染めていきました。
作業がすべて終わったとき、今度はガプルーがガルーフに同じことを頼みました。するとガルーフは、「いいよ」と言ったとたん、側にあった真っ黒な墨壷を持ち上げて、いきなりガプルーの頭の上から注いでしまいました。ガプルーは、そのときから全身が真っ黒になってしまったのです。
それ以来、ガプルーとガルーフは敵同士になりました。いまでも両者が出会うと、ガプルーはガルーフをつっつくし、ガルーフはガプルーに向かって威嚇するのは、そういうことがあったからなのです。
上の話の
ガルーフはなかなか
ズル賢い奴のように描かれているけれど、ヤップ語で
ガルーフといえば、
トンマの代名詞。
ヤップで相手を罵倒するコトバとして代表的なものには、
クス(犬)!と
ガルーフ!がある。
クス!って言うと、「他人のものをくすねる最低の奴、人間以下の奴」というような意味で、たとえばワタシのオトコに色目を使ってるけしからんオンナに向かっては
クス!と罵倒するのが正しい(笑)。一方、
ガルーフ!ってのは、わたしはまだ使ったことがないが(
ということはクス!は使った覚えがあり?)、「おまえってサイテー!こんなことしてバッカじゃないの!」みたいな意味らしく、なんかこう、ヤップ人としてはかなりプライドを傷つけられるらしい。でも言い放つほうとしては、相手を馬鹿にして笑うことができる状況...
それでお次は、
ガルーフのトンマの証明のようなお話を。
ガルーフ木から落ちる
みなさんもよくご存知のとおり、
ガルーフはニワトリの卵が大好物です。でも、草や枯れ木の上で卵を見つけて割って食べようとしても、中身のほとんどは草木の下へ漏れ落ちてしまい、チロチロと
ガルーフの舌先で舐め取れる量は限られてしまいます。そこで
ガルーフは、何か良い方法がないものか、と長い間考えていましたが、やっと名案を思いつきました。
それは、卵を丸呑みしてしまう-ということです!
でも、そのままではなかなか消化されないので、次に
ガルーフは高い木に登ります。卵でお腹がプクリと膨れた
ガルーフがエッチラオッチラ木に登る様子を想像してみてください。そしてその次は、
木のてっぺんからお腹を開いて飛び降りるのです!
するとお腹の卵は割れてグシャグシャ
だけど
ガルーフもバタンキュー(笑)
ねっ、
ガルーフというのは、それほどトンマなお馬鹿さんなのです。
ガルーフは追い立てられると木に登るらしい。木の上の
ガルーフを捕まえるには、オール(qoer)またはアウール(qawur)と呼ばれるココヤシの葉芯をヒゴのように細くしたものでループをつくり、それを棒の先に取り付けて、しずかにそろそろと
ガルーフに近づけていく。
ガルーフは下の方にばかり気を取られていて動かないので、ゆっくりやれば、うまく身体を輪にはめることができるのだそうだ。こんな捕らわれ方をするのも
ガルーフがトンマだといわれる理由のひとつになっている。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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