ものすごく細長いパイナップルをもらった。なんと世界には100種類以上のパイナップルの品種があるのだとか、この細長いのは栽培種ではなく、いわゆる野生種といわれるもののひとつだそうだ。
栽培種と野生種のおおまかな違いは、野生種の葉はギザギザが鋭くて中心が赤くなり、「実」は枝(?)別れするものが多い…らしい(上写真右)。
「野生種のパイナップルなんて大味でぜんぜん美味しくないよ」と思っている人も多いようだけれど、いやいや、そうとも限らないかも。このパイナップルをくれた人は、「
すごく美味しいよ」と自慢気だったので、しっかり完熟するまで数日待って切ってみたら…うわっ、まな板の上が洪水になるほどジューシーで、とてもさっぱりした甘さが良い感じで、酸味はほとんどなかった。
ところでパイナップルは「集合果」だ。あの表面のブツブツしたものが、実はひとつひとつの「実」なのだった。そして店番のG嬢は、「この細長いパイナップルは、すごく
ヌーヌー向きなんだよ」という。この甘い香りを放つ完熟したパイナップルの「実」を使って、ヤップの人たちはレイ(ヤップ語で
ヌーヌー)を作るのが大好きなのだ。それなら…というわけで、さっそく彼女にパイナップルのレイ作りを実演してもらった。
まず切り落とした皮から、ひとつひとつ「実」をばらしていく作業(上写真左)。この皮の厚さは1センチくらいだけど、パイナップルの熟れ具合や種類によっても変わってくるので、食べる都合で好きなように切り落としてかまわない。次に、ばらばらにしたひとつひとつの「実」を、まわりが丸くなるようにナイフできれいにトリムしていく(上写真右)。
さて「実」のトリムが終わったら、ウコン(英名はターメリック、ヤップ語は
グッチョル、沖縄語はウッチン)の葉を数枚(ヤップでは必ず偶数)採ってきて、葉芯を取り除いたあとよくもんで紐状にする。その紐を、笹か何かの硬めな枝先を針代わりにしてはさんで(つまりゴム紐通しの要領ですね)、先ほどトリムしたパイナップルの実を、適当な感覚を開けながら通していく。実と実の間隔はテキトーで良い。
このようにヤップ島では、身近な自然の香りを楽しむ文化が発達している。あの花とこの花、あの草とこの花、どれとどれを組み合わせると、どんな香りになるか、みんなほんとうに良く知っている。このパイナップルのレイも、
グッチョル(ウコン)の凛とした香りと
ゴンゴル(パイナップル)の甘い香りが合わさってかもしだす素敵な匂いを楽しむために作り、自分自身の首にかけたり頭に飾ったり、気軽に人にあげたりもする。ただしこのレイにはひとつだけ難点があり…パイナップルの甘い香りに魅せられるのはニンゲンだけではなく、ハエやアリンコまでうっとりと寄ってきてしまうのであった。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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