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ミクロネシアの小さな島・ヤップより

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流行病の正体

流行病の正体_a0043520_17331693.gif6月15日の記事再びデング熱?で書いたとおり、ヤップでは今、手足が突然むくんだり、関節痛、発疹がでる病気が流行っている。

症状はデング熱にそっくりなのだけど、「熱」がほとんど出ないから、医者は長いことデング熱と発表するのをためらっていたが、やっと、

Zika fever(ジカ熱)と診断されました~!

(ネッタイシマカの写真は感染症情報センターこちらのページより借用しました)

グアムの新聞パシフィック・デイリー・ニュース(Pacific Daily News)の本日(07/06/24)付記事から:
Zika virus outbreak hits Yap
ヤップでジカ・ウィルス発生

A mosquito-borne virus, which was first isolated in Africa and is similar to dengue, has found its way to Micronesia.
デング熱に似て蚊が媒介するウィルス-アフリカで初めて分離培養された-が、とうとうミクロネシアにやってきた。

"An outbreak of illness on the island of Yap in the Federated States of Micronesia caused by the Zika virus has been confirmed," according to a World Health Organization statement made on behalf of Dr. Marcus Samo of the FSM national government and Dr. Martin Bel of Yap State.
「ミクロネシア連邦ヤップ島でジカ・ウィルスによる病気が発生したことが確認された」-ミクロネシア連邦政府のDr. Marcus Samoとヤップ州(政府)のDr. Martin Belの報告に基づき発表された世界保健機構(WHO)の声明による。

~~中略~~

Symptoms of Zika fever include a skin rash that starts on the face and then spreads throughout the body, conjunctivitis, more commonly known as Pink Eye; and pain in the smaller joints of the hands and feet, according to WHO officials.
WHO当局の話では、ジカ熱の症状には、顔から始まって体中に広がる発疹、一般には「ピンク・アイ」として知られている結膜炎、手や足の小さな関節の痛み、などが含まれるという。

As of Friday, 73 patients who were processed by the outpatient department at Yap's public hospital exhibited at least two of the three symptoms of Zika fever.
金曜日(6月22日)の時点で、ヤップ州立病院の外来で診療された患者の73人が、ジカ熱の3つのうち少なくとも2つの症状を呈している。

Control measures similar to those for dengue are already being taken in Yap. Officials said quarantine measures are not necessary since this is a milder form of dengue.
ヤップではデング熱と同様の管理対策がすでに取られている。当局の話では、これはデング熱を軽くした型なので隔離の必要はないという。

流行病の正体_a0043520_17361772.gif(ヒトスジシマカの写真は感染症情報センターこちらのページより借用しました)
Zika, named after the forest in Uganda where the virus was first isolated, is a flavivirus similar to the dengue virus. Zika causes similar but milder symptoms, according to WHO's Office for the South Pacific. While commonly found in Africa, the Zika virus has also been found in Malaysia.
初めて分離(隔離)培養されたウガンダの森の名前から命名されたジカは、デング・ウィルスと同様、フラビ・ウィルスの仲間だ。WHOの南太平洋オフィスによると、ジカはデングと同じだがより軽い症状をおこすという。ジカはアフリカではごく普通に見られるが、マレーシアでも見つかっている。

The outbreak in Yap reportedly started in April and peaked in late May. Zika fever symptoms are mild, according to WHO, and generally last for two to four days.
報告によるとヤップでの発生は4月に始まり、5月下旬にピークに達した。WHOによると、ジカ熱の症状は一般的に軽く、2日から4日続く。

"Some (Yap) patients also have low grade fever," according to the WHO statement. "No patients had to be admitted to the hospital and there have been no deaths. Because the disease is mild, many more infections are thought to have occurred in the community that did not seek medical attention. An initial assessment in the community indicates that a significant proportion of the population has been affected. Geographically, cases have occurred all over the island."
「(ヤップの)患者には微熱の出るものもいる」とWHOの声明はいう。「入院が必要な患者はおらず死亡者もいない。症状が軽いので病院に来なかった相当数の感染例の存在が考えられる。すでに人口のかなりの割合が感染したことを、最初に行われた調査も示唆している。地理的に見ても、症例はヤップ中でくまなく発生している。

Public Health officials said a joint investigation is being carried out by the public health authorities of Yap State and the FSM national government, the U.S. Centers for Disease Control and WHO.
公衆衛生当局の話では、ヤップ州とミクロネシア連邦の公衆衛生関係者、米国疾病予防管理センターならびにWHOによる共同調査が行われているそうだ。

"The investigation is continuing to better characterize the clinical presentation of the illness, the magnitude of the outbreak and the mode of transmission in order to determine the best control measures," the WHO statement said. "We continue to see new cases, and the neighboring islands are under active surveillance."
「この病気の臨床的所見、伝染の規模や伝染経路をより明らかにし、もっとも適した管理方法を決定するために、調査は続けれらている」とWHOの声明は述べる。「まだ新しい患者が続いており、近隣諸島も監視体制にはいっている」
というわけだけど、ジカ・ウィルスはアフリカ、マレーシアからピョンピョンと飛び火していきなりヤップに来たわけじゃないと思う。症状がマイルドだし、かかったときに媒介する蚊に刺されて、その蚊がまた誰かを刺さなければウィルスはそこでチョンになるから、今までに何人もの人が感染しながら世界中を行き来してたけど、たまたま今回ヤップで一気にブレークしちゃった-ということだろう。

わたしはデング熱にもジカ熱にもかかってみたからわかるけど、ジカにかかった体内実感というのは、ほんとうにデングに似ていた。高熱がないのと手足の浮腫みがきたのを別にすれば、ジカはデングの兄弟分、デングがティーンエージャーの暴れん坊のお兄ちゃんとすると、ジカは小学校に入ったばかりの弟って感じだ(笑)。

媒介する蚊も同じ、ネッタイシマカヒトスジシマカ、ニホンではヤブ蚊といわれている蚊だ。それでもわかるとおり、これらの蚊は朝方や夕方のまだ明るいうちがお食事時で、日中でも薄暗い湿気のあるところにたむろして餌の血が来るのを待っている。

驚いたことに、ネッタイシマカの原産地はアフリカで、西洋人の大航海時代に人と共に船に乗ってアジアや世界中に広まり、ニホンにも熊本県天草地方や沖縄にもいたらしいが、1970年以降は見つかっていないという。一方、ヒトスジシマカのほうは東南アジア原産で、ニホンでは沖縄から東北地方まで分布しているが、1980年代から北米、中米、南米、オーストラリア、ニュージーランド、地中海沿岸地域、マダガスカル、アフリカという具合に、かなり広範に分布を拡大し続けている-という。
参考:デング熱媒介蚊の生態(東南アジアを例として)-感染症情報センター
http://idsc.nih.go.jp/iasr/25/288/dj2887.html
これらの事実からわかることは、交通機関の発達でニンゲンの往来が地球規模で広がり、頻繁になるにしたがって、これらの病気を運ぶ蚊などの動物も移動して伝染が広まっている-ということ、悪いのは病気やそれを媒介する動物たちじゃなくて、それらが広まる元をつくってるのは結局ニンゲンだってことだね。

熱帯の伝染病というと過剰反応してしまう人が多いけど、ジカ熱より症状の重いデング熱にしたって、適切な処置をすれば、そんなに心配な病気じゃない。こちらのサイトが、デング熱への対策と心構えをわかりやすく述べていると思うので紹介しておく:
デング熱の話
http://www7a.biglobe.ne.jp/~doctorn/hakajyo/dengue.html
というわけで、ジカ熱にはかかりたくないけどヤップには行くぞという殊勝な方々は、しばらくは万全なヤブ蚊対策をお願いしま~す。

まっ、そのうえでジカ熱にかかっても、「珍しい病気にかかって良い体験したなあ」くらいに思って楽しんでください。デング熱のようにはつらくないから、どうかお気楽に(笑)。


最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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by suyap | 2007-06-24 17:39 | ヤップな日々
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