きょうも晴れたり曇ったりパラリと降ってきたり、なんとなく落ち着かないお天気だった。さいわい東海上の雲は緩くなりつつあるので、とりあえず熱低発生の心配はなさそうだ。
ところで写真は、収穫時期ちょっと手前の
パンノミ。2004年4月の大型台風Sudalで島の大きな
パンノキの半分以上が倒れ、残った木々も大きなダメージを受けていたので、04と05はまったく実がならず、06年(去年)にようやく少し実をつける木が出てきた。そして今年、まだパワー全開ではないが、写真のような実がたわわになっている
パンノキを多く見かけるようになった。
パンノミの形や大きさにはいろいろあって、ラグビー・ボールほどの細長いものや、子供の頭ほどの丸いものもある。完熟した実の重さも1.5キロから3キロにもおよぶ。その名前から、噛むとパンのような食感や味がしたりするのかと期待する人が多いが、実はパンとは似ても似つかない味である。名前の由来は、大航海時代に南太平洋に来て初めて
パンノミを見た西洋人が、南の島の住人が「パンのように主食」にしているものだからと、
ブレッドフルーツ(Breadfruit)と名づけたことによるという。それをニホン語では
パンノミ、その実のなる
木を
パンノキと呼ぶ。学名は
Artocarpus altilis、クワ科パンノキ属の植物だ。
パンノキの品種はたくさんあるが、大きく分けて種子のある系統と種子のない系統がある。今回の写真は種子のない系統のもので、これらがヤップ島のパンノミの主流だ。種子のある系統はヤップでは非常に少ない。
水の豊富な所では3ヶ月ごとに1年中実をつけるらしいが、ヤップでは4月あたりから10月ころまでが
パンノミのなるシーズンだ。写真の実に白い筋が入っているけど、これは花茎から滲み出てた乳液で、収穫の目安となる。同じクワ科のイチジクのように、この白いネバネバは手につくとなかなかやっかいな代物だ。パンノキを傷つけても同じようなネバネバの樹液が得られるので、カヌーの木と木の隙間を塞ぐのり(防水剤)としても利用されている。
タロイモやヤムイモなどパンノミ以外の食べ物が豊富に育つヤップ島では、パンノミは季節のサブ的な主食で、実のあるときには食べるがその保存まで工夫する必要がなかった。したがって丸ごと蒸したり、炊いたり、ココナッツミルクで煮たりと、食べ方もいたってシンプルだ。食用油が簡単に手に入るようになってからは、薄くスライスしたものをカラリとあげるパンノミ・チップスもパーティなどの人気レシピだ。
ところが同じヤップ州の多くの離島-小さなサンゴ礁島-では、ヤムイモ耕作は無理だしタロイモもなかなか育ちにくいので、パンノミへの依存度がきわめて高くなる。しかも生のパンノミは収穫して数日で腐り始めるから、なんらかの保存法が必要だ。そこで工夫されたのが、収穫直後のパンノミを地面に掘った大きな穴に埋め、チーズのように発酵させる方法。それを様々に調理したのが、こちらで紹介した
さまざまなマール(maar)だ(ページの半ば以降をご覧ください)。
http://suyap.exblog.jp/5196595/
パンノミは太平洋中の島々で長い年月にわたって大事な主食の役割を果たしてきた。そういう食べ物の名前を比べてみると、人々の移住のルートやつながりが見えてきたりもする。ちなみにヤップ島ではパンノミのことをソウ(thow)というが、ヤップ州の離島からチュウク、ポンペイ、コスラエあたりまで、マイ(mai)という。
参考:
ブレッドフルーツ/ウル
http://www1.plala.or.jp/maui/starch/bread.htm
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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