
ほんとうは別のことを書こうと思っていたのだけど、
沖縄駐留米軍のグアム移転とミクロネシアのコメント欄で、わがブログの熱心な読者のひとりと真剣なやり取りを繰り返すうち、これはお互いが持つ情報の違い、米軍あるいは米国抜きの将来を考えられるか、考えられないか、そういう将来を志向するか(できるか)、しないか(できないか)という根源的なスタンスの違いがあるんじゃないかと気づいた。
ニホン内地にいると、どうしても(嫌でも)大手メディアの垂れ流す「情報」が目や耳にまず届いてしまう。このブログごときで、いくらそういう偏向メディアを信じないでって書いても、沖縄の辺野古で何が起きてるのか知ってもらおうとしても、やっぱり内地は沖縄から果てしなく遠いんだろうなあ...
忙しい日々の生活の中で、自ら情報を求めるために時間を割くというのは、そうそうできることじゃないんだろうなあ... ガクッ
ちょっとへこんでいるときに、
宮城ヤスヒロさんのなごなく雑記:
回避・低減・代償の先へ
http://miyagi.no-blog.jp/nago/2007/05/post_e114.html
反対派ではなく未来への賛成派
http://miyagi.no-blog.jp/nago/2007/05/post_8990.html
を読んだ。
そうなんだよ、われわれは「反対派」じゃなく、「未来への賛成派」なんだ。
辺野古の今後に前向きに取り組む上で、現段階でとっても大事なマトメだと思うので、以下に全文コピペさせていただきました。

回避・低減・代償の先へ
http://miyagi.no-blog.jp/nago/2007/05/post_e114.html
本日、偶然、名護市東海岸の瀬嵩という集落でWWFジャパンのH氏にあった。H氏とは長い間、海上基地建設問題について折に触れ意見交換し、ジュゴン保護活動で共に駆け回り、数年前にはIUCN大会に参加するためバンコクまで一緒に行った。今日は短い時間だったが、これからの環境アセスのことなどについて話せた。ブヒ氏がブヒ字案合意というアホぶりを発揮してくれたおかげで、以来私は、きちんと考えるのもいやになっていた、が、久しぶりに環境の視点から考えてみた。H氏に感謝。
これからの問題を考えるのに、これまでを振り返ってみる必要がある。そのために思いつくままに問題点をスケッチしてみる。
以下はまったくの私見である。
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環境アセスの手続きで行わなければならない環境調査を、ただただ事業の進捗の滞りをおそれて、防衛省は無謀な事前調査として突っ込んだ。私には、自衛隊派兵などという大それたことが、ただただその目的のためだったとは思えないが、とにかく自衛隊まで動かして突っ込んできたのが現実である。
この調査はこのまま突っ走るつもりだろうが、しかし、早晩、環境アセスの手続きには入らなければならない。
施設局はすでに「方法書」を持っている。おそらく、前回の軍民共用空港と大差ないズサンなものだろう。
あの時、問題になったのは何だったか、急ぎ記録を整理しなければならないが、私の記憶では
1. 使用される航空機の機種等が明らかでない(オスプレイの配備をどのように考えるか)
2. 飛行時間帯および経路を厳守できる根拠がなく騒音影響評価が曖昧になる
3. 施設から排出される廃棄物等が明らかにされていない
4. ミティゲーションについての考え方が示されていない
そのほかにもいろいろあったが、あまりにもデタラメだったのは、施設局に世界中から届けられた意見書の多さが物語っている。
解決が困難な最大問題は、米軍基地の管理権は排他独占的に米軍が持っているという地位協定(第三条)の問題だ。日米が結んでいる安全保障条約上、日本国政府は建設する事業者だが、完成後の運用管理主体ではない。施設完成後の運用上の環境影響予測・評価は、すべてあやふやで空論でしかない。米軍基地建設に環境アセスは可能なのか、という根本問題が我々の前には壁となってある。
それ以外にも、立地場所の自然度の高さは並大抵のミティゲーションでは合意形成が図れるようなエリアではないという、立地選定で生じた困難さがともなう。
象徴的なのが絶滅が危惧されるジュゴンである。ジュゴンは国際的にはフラッグシップ スピーシーズ(種の旗艦)として種の保存の象徴にもなっている。人間の活動エリアである沿岸域の海草藻場を餌場とするジュゴンの生存は、人間の生存可能性にも深く関わる問題として意識されている。
建設予定海域に広がるジュゴンの餌場である海草藻場をどのように保全するのか。
海草藻場については、日本自然保護協会のジャングサウォッチなど、環境保護団体が市民参加でおこなってきた科学的調査のストックがすでにある。
事業を遂行しながら、海草藻場をどのように保全するのか、ミティゲーションできるかの知見はだれにもない。
ミティゲーションには本来なら五つの段階があるらしいが、次の三つに簡略化したとしても事業者はどのように考えているのか、評価を入れるまでもなくわかっていることについては「方法書」で方向性をしっかり示すべきである。
1. 回避
2. 低減
3. 代償
政府が示している図面をみても、すでに相当量の海草藻場が破壊されるのは明らかである。名護市の要求する沖合移動で計画変更したら、破壊が拡大するだけで回避にはつながらない。
1の回避は事業は埋立てであり不可能、2は埋め立て面積を減らすなどして多少はあったとしても、壊滅する部分があるのは避けられない。3の代償しか出口はない。そんなことは防衛省もよく知っている。
しかし、海草藻場の移植は、地球上何処でもことごとく失敗しており、アメリカの官僚で科学者でもアルマーク・フォンセカ博士の報告からもわかるように、埋立てで失われる生態系の代償は不可能だと断じざる得ないのが現実である。
政治的に決定したプロセスを、環境アセスを通じて、どのように科学的合理性に基づいた合意形成に持っていけるのか、困難なプロセスが市民側にも事業者側にも待っている。
野生生物の生息域(ハビタット)を定量的に評価し、事業による損失と代償の比較をする、HEPという手法を取り入れる必要があると思う。それほどには、ジュゴンの生息域である予定海域は貴重な海である。
HEPだけが、事業者にとっても、市民社会にとっても有意義な合意形成への道筋を示すことができるだろう。…こんなことをいうと「建設賛成なのか」とお叱りを受けそうだが、私は人間を信頼したい。損失と代償がワリに合わなければ、ゼロオプションしか出口はない。…政治的な差別構造がこの問題には深く埋め込まれており、ことはそんなに単純ではない、ということを重々承知しつつ、私はそれでもそう語る地点を手放したくない。
いずれにしても、なんでこんな自然度の高い場所に決めたのか。政治も官僚もそんなにアホでは務まらないないだろう。関西の大学で教えている海兵隊関係者のようなアメリカ人(名前忘れた)が言っている、《だれにも利益がない無理な案》と言うのは当たっている。10年もかけてできなかったのは、それなりの理由がある。
北海道でのサミットや温暖化対策(閣僚は全員6月から沖縄のかりゆしウェア着るってさ)なんかで、環境をウリにしたいらしいアベシンゾーが、沖縄で実現しようとしている環境破壊のむごたらしさを、しっかり情報発信していくべきだろうね。
【参考】
辺野古ジャングサウォッチ(日本自然保護協会)
ジュゴン保護活動(WWFジャパン)
HEPについては田中章(武蔵工業大学環境情報学部助教授)
反対派ではなく未来への賛成派
http://miyagi.no-blog.jp/nago/2007/05/post_8990.html
日米両国政府も加盟する、世界最大の自然保護機関である世界自然保護連合(IUCN)で、2004年11月「日本のジュゴン等の保全を求める勧告決議」がなされた。この勧告は、2000年にもなされており、その後の取り組みが不十分であるというIUCNの判断で異例の二度目の勧告決議となった。
そのジュゴンが生息する海に、国際社会の勧告も、我が国の法である環境アセス手続きも無視して、政府は好き勝手な蛮行を行なっているのである。
辺野古沿岸域でがんばるダイバーやカヌーイストや座り込みの方々は、いわゆる「反対派」ではなく、国際社会の勧告や民衆の声をまったく無視して米国に従属し孤立に向かって暴走する日本国に対して、身をもって共生と環境保護を呼びかける真に国/地域を愛する「市民」である。地球環境問題が人類(生命)の生存可能性にとって無視できない今日、彼ら彼女らは「反対派」ではなく、環境との共生社会という「未来への賛成派」である。
右傾化著しい現在の日本社会では、このようなまっとうな市民は、とても過激な反対派のように決め付け(レッテル貼りされ)られかねないが、それは社会全体が右に「安楽全体主義」に傾きすぎていることによって生じている現象/錯覚である。
2004年11月、私はタイ語と英語とウチナーグチと日本語を自在に操る友人の吉川や、SDCCのメンバーやWWFジャパン・日本自然保護会議のスタッフ、科学者の方々とIUCNの第三回世界自然保護会議が開催されるタイ・バンコクにいた。
IUCN日本委員会(第3回世界自然保護会議の報告)
日本のジュゴン,ノグチゲラ,ヤンバルクイナの保全を求める勧告(勧告全文等)
Iucn_1 IUCNでは、勧告案を提起している側(NGO)と、勧告される側(日米政府)が話し合うコンタクトミーティングという場がある。
コンタクトミーティングで、日本政府(外務省・環境省)はどのように、ジュゴン保全勧告案の修正を主張したか。一連の報告をまとめたレジュメがあるので、機会をあらためて紹介したいと思います。
外務省の担当者も、環境省の担当者も、名護市東海岸の沿岸域が、どのように重要な場所であるのかは十分知っている。外務省は、言葉(の表現)を操作することでその重要さを可能な限り薄めようと努力する。環境省は、思いっきり「役人」になって思考が定まらない。
それもこれも、日米安全保障条約という体制がなせるわざなのだろう。
しかし、このような思考行動様式は、科学的な合理性や環境問題という共通理解の中では、極めて特異なものとして浮きあがる。何一つあきらめることはない。この国の、私たちの精神の鎖国状態はやがて壊れる。そこに向かって様々な動きが起きていることを私たちはすでに知っているはずである。
友人の吉川が、まっとうな環境アセスを行なえ!という国際署名をネット上で仕掛けて動き出している。まだの方は、ぜひ署名をしてください。共生の未来へ賛成派のひとりになろう!ねっ:)
Call for a Sound and Transparent EIA to Save the Okinawa Dugong / ジュゴンを守るための環境アセスを!
署名サイトは英語です。
日本語で《署名の仕方の解説》がSDCCサイトで紹介されています。
署名サイトと署名のやり方について(SDCC)
以上、
宮城ヤスヒロさんのなごなく雑記よりコピペさせていただきました。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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