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ミクロネシアの小さな島・ヤップより

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アリンガノ・マイスとホクレアがパラオにむけて出発

アリンガノ・マイスとホクレアがパラオにむけて出発_a0043520_21295769.jpg4半期の月末の上にいろいろなことが重なって、ブログの更新もままならない日々が続いている。きょうもまだ忙しいのだけど、マイスとホクレアがパラオに向けて出航したので、とりあえず写真を...

左(上)は曳航されるホクレアに続き、片帆(?)を揚げてゆっくりウォネダイ水路をいくアリンガノ・マイス。乗っているのはミクロネシア人ばかりだから、なんとなく嬉しそう?

到着のとき、帆をおろして機走してきたマイスを見ていた離島のおっちゃんも、わたしも、「マストが高すぎやしないか?」と思ったが、こうしてセイル・アップしてみると、しっかりバランスが取れている。やっぱり帆船は「帆」を揚げた姿を見なきゃね!

アリンガノ・マイスとホクレアがパラオにむけて出発_a0043520_21303180.jpgマイスの先を行くホクレア。曳航しているカマヘレは帆を揚げず完全機走で曳いている。重いだろうな、ホクレア。

ところで、ヤップ滞在中にヤップ>パラオ>沖縄という最初の予定がなぜか変更されて、3艇ともまたヤップに帰ってくることになったという。この風ならヤップ>パラオは2日でこなせるだろうけど、今の時期では、帰りのパラオ>ヤップは完全にアゲンスト(逆風)になるだろう。伝統的な航海では「風待ち」というのも大切なテクニックのひとつと聞く。まだ北東の貿易風の強い4月に、パラオからヤップを目指すようなカヌーはいなかったはずだ。まっ、2艇とも丈夫なファイバー・グラス製のカタマラン・ヨットだから、こういうことも問題なく出来るのでしょうけど^^




アリンガノ・マイスとホクレアがパラオにむけて出発_a0043520_21311093.jpg外洋に出てもしばらく曳航されていたホクレア。

きょうは貿易風がやや緩み、外洋の海況は北東の風15~20ノット(毎秒8~10メートル)、波高6~7フィート(2メートル前後)といったところ。ダイバーにとっては潜りたくない状況だけど(笑)、帆走にはベスト・コンディションだ。写真では様子がわかりにくいけど、波高2メートルというのは、ひとつの波の山を越えると、艇は4メートルの間を上下するということ。わたしの乗っているボートも同じように動いているのだから、小さなデジカメで遠くに揺れる船を撮るのも楽ではない。というのが、ピンボケ写真への言い訳です(笑)。

それにしても、こんなでかいカヌーが昔あったとしたら、それをリーフの外の、帆を揚げても安全な海域まで引き出すのも人力だったんだよなーと、ふと思った。沖縄のハーリー船のように、大勢で漕ぐ船でエッサホッサと曳きだしたのだろうか?

アリンガノ・マイスとホクレアがパラオにむけて出発_a0043520_21315937.jpg外洋に出てますます元気になる(笑)マイス。

マイスも水路から出てきた。こっちはマイスじゃなくてマイペースでゆったりと走っている。ホクレアとカマヘレの写真は暗いのに、どうしてマイスのは明るくてコントラストも良いのかって?それはひとえに、それぞれの艇との距離の違いにあります。

月末で大忙しのわたしは、YFTIの桟橋まで出航の様子を見に行くどころではなく、スノーケリングのゲストとウォネダイ水路に出ていたうちのボートが、マイスとホクレアが離岸して水路の広いところに出てきたら、わたしを迎えに帰ってくる手はずにしておいたのだ。それだもんだから、マイスの横や前後を邪魔しないように走る形となり、先を行くホクレアとは距離が開いたわけ。岸壁を離れた3艇を見送りにきたボートは、わたしたちの他にもう1隻、あるダイビング・サービスから出ていただけだった。

アリンガノ・マイスとホクレアがパラオにむけて出発_a0043520_21324238.jpgやっとホクレアからカマヘレが離れた。

できたら3艇とも全帆展開した姿を見たかったのだけど、波高2メートルの海に長いこといるのは、慣れないゲストにはつらいものがあるし、わたしにも午後4時までにSocial Security Office(社会保険庁のようなもの)に申告書と税金を持って駆けこまなきゃならないという理由もあり、残念だったけど、午後3時20分、3艇と別れて引き返してきた。

ヤップでのホクレア・イベントは、ヤップ州歴史保存局(HPO)とプロトコル・オフィスが中心になって歓迎レセプションや送別レセプションなどが行われていたが、忙しかったわたしは、到着と出発を見届けるほかには、かかわっていない。うちで働いているG嬢は、たまたま彼女の村の踊りが送別レセプションで指名され、きのうは欠勤するはめになり怒っていた。

G嬢の報告によると、踊りは午後2時からなので1時までに用意して集まるようにといわれ、指示通りに会場へ行って待っていたら、午後3時を過ぎてやっとクルーが到着し、それから延々とスピーチが続き、クルーやゲストに食事が供され、ようやく踊りが始まったのは午後6時半だったそうだ。集まった人数は、20数名のクルー、踊り手とその付き添い総勢40人を入れても、せいぜい100人程度だったようだ。会場はだだっ広い今年のヤップデイ・サイトだから、さぞかし閑散とした風景だっただろう。欠席するとペナルティがあるのに踊り手は12人しか現れず、これまた淋しい踊りだったようだが(ヤップの踊りは人数の多さも見所のひとつです)、出来はまあまあだったとのこと。

ところで、アリンガノ・マイスとホクレアがヤップに到着にコメントをくださっているかとう氏からのTBは削除させてもらった。ご自分のブログには正体が割れない工夫をしているのに、かとう氏が、わたしの記事をリンクしたりコメントしたりするたびに、執拗にわたしの名前や職業まで明かすのは、なぜ?(リアルなかとう氏に会ったことはないが、この人を知っている友人を持つわたしには、その理由は、だいたい想像ついてますけど-笑)tornosさんとこで横レスしながらかとう氏が晒したわたしの名前や職業は、tornosさんのご尽力でsuyapに変わったが、彼のこんなコメントを読むと、海やカヌーのことを頭ばっかでひねくり考えてるオタクが、たまたまリアルに近いところにいる者をひがみやっかんでいるとしか思えない。
これまでのところあなたの言説の全ては、パラフレーズすると「現地を知らない人が騒ぐのは問題である」「私はもっと深い事情を知っている」という二つの命題に還元出来るものでしかありません。(かとう at Tornos E-140「サタワル島到着」)
わたしは「現地を知らない人間が騒ぐ」のを問題にしているのではなく、「現地の人々の気持ちや事情を無視して、自分や自分の属する社会の立場と利益のために現地を利用する」やからに抗議しているのです(だから嫌われる-爆)。わたしは、知っていることだけ、はっきり書いたり言ったりしています。逆に、「私はもっと深い事情を知っている」という臭いをプンプン撒き散らして、ニホンの多くのカヌー・ファンを迷路に誘い込んでいるのは、かとう氏のほうだと思う。玉石混交の膨大な文献を駆使して言葉をあやつる人だけに、信じてしまう人も多いだろう。かとう氏は石川直樹氏と近しいと聞いて、今回のわたしに対する慇懃無礼で異常な行動の理由が、なんとなく想像できるようになった。石川氏は、かつてミクロネシアの人々とちょこっと知り合いゲストとして伝統カヌー航海をする機会を得たことを最大限利用して、現地の人々の肖像権を無視し現実とかけ離れた自分勝手なおとぎ話をでっち上げ、テレビや雑誌、インターネットなどのメディアへ、売文・売映像している人だとわたしは解釈しているから。

この記事には、ミクロネシア関係の研究者や、本を出したりした「有名人」の名前がたくさん連ねてあるが、かとう氏は、そのうちの何人と腹を割って話したことがあるのだろうか?文献や特定の人間の言説を離れて、「伝統航海術」とそれにまつわる人々の生活を、リアルに感受しようとどれだけ努力しているだろうか?そういうリアルな行動や体験に基づかない知識の寄せ集めでは、海を渡る者たちの実相は、とてもじゃないけどつかめるものではない。同記事に彼はこう書く。
 たとえその組織のありようがいくつかの問題を抱えているとはいえ、綺麗な言葉を語り、綺麗なことをしてみせている。そうしたことが、ポリネシア航海協会に一定の信用を付与しているはずです。人口100万ちょっとの社会で数千万円を集めて、それで航海カヌーを造ってポンと隣国に寄贈してみせるというのは、やはり賞賛されて然るべきことなのです。(航海カヌーマニア「ヤップ島から第一報」
まず、はっきりしておきたいのは、アリンガノ・マイスは、Polynesian Voyaging Society(ポリネシア航海協会)が寄贈したものではなく、Na Kalai Wa’a Moku o Hawai’iのメンバーが中心となって募金や製作に従事して完成したものであるということだ。ハワイ島まで行って、ファイバー・グラスの粉だらけになりながらマイスのハルにサンダーをかけたり、デッキを削ったりした人の中には、マイスの寄贈がホクレアのニホン航海イベントの美談のひとつとして挙げられることに違和感を覚える人もいるだろう。

次に、「たとえその組織のありようがいくつかの問題を抱えているとはいえ、綺麗な言葉を語り、綺麗なことをしてみせている」という捉え方だが、わたしはPolynesian Voyaging Societyのことは何も知らないし興味もないので、それには言及しない。そこで、この言い回しを、わたしの身近な例に置き換えると、「たとえヤップにいるマンタがいくつかの問題を抱えているとはいえ、綺麗な言葉でマンタを100%見せると語り、綺麗なマンタの写真をたくさん広告に使って客寄せをする。そうしたことが、そのダイビング・サービスに一定の信用を付与しているはずです。人口7000人ちょっとの島で年間1000人以上のダイバー客を集めて、大々的なビジネス展開をしてみせるというのは、やはり賞賛されて然るべきことなのです。」とはならないだろうか?

お客さんが増えることよりも、マンタのほうが気になるわたしには、やっぱりついて行けないなあ^^ ミクロネシアの現実やほんとうのことに蓋をして、何も知らない人を美辞麗句であおっても、所詮、嘘は嘘、いつかほころびが出るものです。

ちょっとだけ書くつもりが、つけ足しのほうが長くなってしまったので、きょうはこの辺で。


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by suyap | 2007-03-30 21:02 | ヤップの伝統文化
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