ヤップデイは2日で終わっているのだけど、まだまだレポートは続きます(笑)。
きょうは「女の仕事」、とくにヤップの食材を使った伝統料理の実演と試食をさせるブースから、①と②に分けて10のレシピを紹介をしたい。実は、わたしはなんだかんだとこのブースのまわりをうろつきまわり、ここの試食で毎日お腹いっぱいにして過ごしてしまったのだった^^
ヤップでも急激な伝統食離れが成人病を招き、いまでは病院が後押しして「もっと伝統食を見直そう」という運動を推進している。今回はヤップデイということで、道具もいでたちも昔のまんまにこだわって作っていたので、知っているつもりのレシピでも新たな発見があって楽しかった。
ガリップ(オオオカガニ)のスープ:
上の写真右は、このスープの材料を展示しているところ。金網の中には生きたオオオカガニが入っている。その他の食材は、ターメリック(うこん)ひとかけ、ココヤシの果肉(コプラ)、レモングラス、地の野菜なんでも(オオタニワタリ、カボチャの花と穂先などなど)、それにヤップに自生(?)しているバジルなど。今回は「伝統にのっとる」のがテーマだから、味付けも店から買った食塩ではなく、「海水」を使っている。99%NACLの化学薬品を「食塩」として売っているニホンのような国から輸入した塩を使うより、海水のほうがよほど健全だ。作り方のコツは、カニを捕まえてから1週間くらいコプラだけ与えて泥を吐かせておくことくらい。あとは普通のスープの要領でどうぞ。
スモーク・フィッシュ:
冷蔵庫もなかった昔は、大量にサカナが取れたら干物か燻製にして保存した。ヤップ州の離島では今でもよく作られている。
(注:写真の女性は離島出身だから腰「蓑」ではなく腰「巻」姿なのです)。
赤身のサカナは切り身にして海水を少し入れた水で下ゆで、白身のサカナは3枚におろして海水で塩味した水に一晩つけ、ドラム缶の上にネットを引いて並べ、下から薪やココヤシの外殻で両面をいぶす。サカナの上にはバナナやタロイモの葉をかぶせて煙をまわす。ドラム缶がなかった時代は、丸太を組んで燻製していた。出来上がりの写真(左)の白いものはコプラ。塩味の効いたサカナと一緒に食べると美味しく、主食のかわりにもなる。
サワーサップと芋の煮合せ:
ちょっと離れたブースで、なにやら美味しそうな匂いがしてきた。鍋の中では、ドォグ(ヤムイモの一種)とラック(水田のタロイモ)とシャウシャウ(サワーサップ)が煮えているのだそうだ。そばで子供が削りおろしたコプラに水を加えたものを、「古式にのっとって」(笑)、ココヤシの木の皮を使って絞っていた。絞り汁がココナッツ・ミルクで、これを出来上がり直前に鍋に混ぜる。
完熟したサワーサップをフルーツとして食べることしか知らなかったので、熟れる前に調理して食べられることを知ったのは大収穫だった。出来上がりにはまだ時間がかかりそうだったので(伝統食作りには手間暇時間がかかるのです)このブースを離れてしまい、完成品の写真を撮れなかったが、最後に残ったものを少しだけ試食できた。炊いたサワーサップは、なかなか美味だった。近々じぶんで作ってみよう。
さまざまなマール:
マールというのは、ヤップ州離島のパンノミ発酵食品だ。標高が数メートルしかない小さな環礁島では、タロイモなどを耕作する地面は限られるし、大きな台風がくるとすぐに高潮になって芋畑は駄目になってしまう。だから、こういう島では樹高数十メートルにもなるパンノキの実・パンノミが重要な食料となった。しかしパンノミにはシーズンがあり生の実は持たないので、収穫した実は皮を剥いて、バナナの皮を敷き詰めた地中に埋めて翌年まで保存される。そうすると、それは1ヶ月もすると発酵してきて、酸っぱくて匂いの強いものになる。これがマールだ。
ここに載せた5枚の写真は、地中のマールを掘り出して、さまざまな方法で調理したものだ。チューク州にも同じようなパンノミ発酵食品があるが、それはえらく匂いが強い(臭い)。ヤップ州の離島の人にいわせると、「彼らはちゃんと洗わないからよ」となる。まあ、郷土の味は様々だから、チュークの人には、あの強烈な匂いのほうが口に合うのかもしれない。
ヤップ州離島のマールの作り方は、掘り出したパンノミを、まず一晩水につけて柔らかくほぐし、その後よく水気を絞りとる。それをコネ板の上に載せて、ココナッツ・ミルクや、好みでココナッツ・シロップなどを混ぜながら、柔らかいペースト状になるまでこねていく。もし長期保存を考えるなら、ここでは必要最低限のココナッツ・ジュースだけを加え、他の混ぜものは一切しない。そうやって作ったものが、写真上から2段目左のマール。長い航海に持っていっても1年は持つそうだ。
それ以外のマールは、コプラのフレークを混ぜ込んだり(2段目右)、甘くしたり、ココナッツ・ミルクの量を多めにして柔らかくしたり、いろいろなバリエーションができる。こねたあと、火や日にかざして柔らかくしておいたバナナやココヤシの葉で包んで、パンダナスの葉から作った細紐でチマキのようにしばり、沸騰した大鍋の湯に入れて1時間から1時間半ゆでる。
写真のボール状の数品は、丸めて素のまま茹でたものにココナツ・クリームやココナツ・フレークをまぶしてある。いずれも、チュークのパンノミ餅のような強烈な匂いを感じさせない、お団子のような美味しい食べ物だ。
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