先の記事でも書いたとおり、ことしのヤップデイは、ニホン統治時代のマキ公学校跡で行われた。公学校というのは、ミクロネシアを統治していたニホンの機関「南洋庁」が、島民の子弟のために設けていた学校のことで、義務教育の3年と高等科2年があった。左(上)の写真は、1930年代のマキ公学校。
跡地は戦後ずっと潅木に覆われジャングルの中に埋まっていたが、今回のヤップデイのために、数ヶ月前から切り開かれていた。ヤップ州歴史保存局が米国公園局と森林局の援助を得て、学校跡地のまわりの潅木ぜんぶを切り倒さず、写真のように雑木林の雰囲気にとどめてくれたのは幸いだった。ここには、ヤップとパラオにしかない
Cycas micronesia、ヤップ語でファルティールといわれるシュロの仲間など、珍しい植物がたくさん生えている。
さて、今回のタイトルに「男の仕事」とつけたのは、ヤップデイで展示されていたいろいろな伝統的仕事を、便宜上カテゴライズするためだ。ヤップでは昔から「海や建設」関係の生産活動は男の仕事、「畑や炊事」関係の生産活動は女の仕事とされていた。もちろん、どんな社会にも例外はあるわけで、そんな例外的活動を決定的に排除しない共生性が、このような小さな社会の特徴でもあるから、いまのニホンのように目を三角にしてジェンダー・フリーを叫ぶ必要は、まだない。
小学生の作品を展示したブースで見つけたカニ篭(上左)と、ヤップ語でケフといわれる、浅いリーフでサカナを取る道具(上右)。カニ篭は、中に餌を仕込んで水中に置き、マングローブガニを取る仕掛けだ。ケフは2つを同時に使い、足でリーフの上の石をゆすって、その下に潜んでいるサカナを追い出して、両側からすくい取る。いまでも使っている人はいないだろうが、これを作った小学生のおじいちゃんが子供だった頃は、まだ現役だったはずだ。自給自足の生活では、道具は原始的なほうが資源を保全できるのだ。
1日目のレポートに登場した離島のおじさんたちがヤシ・ロープを作っているブースでは、出来上がったロープがスダレのように下げてあった。ロープは目的に応じて細いのから太いの、よりの甘いのからきついの、いろいろできる。ロープは直径60センチくらいのわっかにして、わまりをグルグル縛ってある。
こっちはヤップ島のおじさんたちのヤシ・ロープづくりの作業場。上から順に、洗って乾かした繊維をまとめているところと、その繊維を指先で撚(よ)ってところ。
そして上の写真は、よって紐になったものを膝の上で綯ってロープにしているところ。毛深い男は、あらかじめ毛をそっておくのだそうだ。ちなみにヤップの男の毛深さ加減は、ニホンの男なみ、というか個人差はニホン人なみかな。
このブースには、ヤシ・ロープを使ったいろいろなロープ・ワークが展示してあった。左右の写真は、大きな集会場の柱をくくる基礎にもなる、2本の木の縛り方。
こちらは、カヌーのパーツや道具、または建築の細かい部分で多用される様々な縛り。
ヤシ・ロープは、引っ張りの力に対して非常に強い特性があるので、こうしてしっかり縛った柱や道具は少々のことではビクともせず、長い使用に耐えられる。もし緩んできたら、縛りなおす、あるいはロープを交換することによって、また新品と同じものが出来上がる。これを釘などで固定していると、長い使用の果てには本体の木まで傷めてしまい、道具の寿命は短いものになる。
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