フセイン元イラク大統領の死刑が執行されたようだ。
また、就任して3ヶ月しかたっていない長勢甚遠法務大臣は、早速4人の死刑執行命令書に署名した。そしてこの12月25日、刑は執行された。クリスマスの日に死刑執行を行う「国際感覚」は、さすがだね(
秘書課、村野瀬 玲奈嬢のル・モンド紙の記事訳をぜひ参照されたし)。
毎年執行の実績を積み重ねることで、死刑制度の維持を確かなものにしたい法務省の強い意向を反映している。杉浦正健前法相が死刑執行命令書への署名を拒否したまま退任したことから、同省としては今月の執行を逃せば14年ぶりに「死刑執行なし」になるという事情があった。(毎日新聞 2006年12月25日 11時54分)
森政権誕生以来、法務大臣の席はずっと森派(現町村派)で占められており、「なんだかなー、絶対何か裏があるぞ」と思っているが、こと死刑執行に関しては、前任者の
杉浦正健氏は、(死刑制度の是非について語ることは避けたにせよ)少なくとも態度で意志を示す見識はお持ちだったようだ。
国連では1989年には死刑廃止条約が採択され、法律上・事実上の死刑廃止国の合計は既に128ヶ国にのぼっている(
アムネスティ・インターナショナル)。いまだに死刑執行の継続実績にこだわるニホン国=法務省は、世界の趨勢から、甚だしくハズレているのである。このことの意味を、国民はしっかり頭に刻んでおかなければならない。
アムネスティ・インターナショナルが発表した
死刑廃止国と存置国によると、いまだに死刑制度を「存置」している国(69ヶ国)は以下のとおり:
アフガニスタン、アンティグアバーブーダ、バハマ、バーレーン、バングラデシュ、バルバドス、ベラルーシ、ベリーズ、ボツワナ、ブルンジ、カメルーン、チャド、中国、コモロ、コンゴ民主共和国、キューバ、ドミニカ、エジプト、赤道ギニア、エリトリア、エチオピア、グアテマラ、ギニア、ガイアナ、インド、インドネシア、イラン、イラク、ジャマイカ、日本、ヨルダン、カザフスタン、朝鮮民主主義人民共和国、大韓民国、クウェート、ラオス、レバノン、レソト、リビア、マレーシア、モンゴル、ナイジェリア、オマーン、パキスタン、パレスチナ自治政府、カタール、ルワンダ、セントクリストファーネビス、セントルシア、セントビンセント・グレナディーン、サウジアラビア、シエラレオネ、シンガポール、ソマリア、スーダン、シリア、台湾、タジキスタン、タンザニア、タイ、トリニダード・トバゴ、ウガンダ、アラブ首長国連邦、米国、ウズベキスタン、ベトナム、イエメン、ザンビア、ジンバブエ
このうち、韓国(大韓民国)では既に9年近くも死刑が執行されておらず、あと1年頑張れば、このリストからはずされる。このリストの中には、他にも韓国のように既に数年にわたって死刑が執行されていない国も含まれている。
それら過渡期にある国のことも踏まえて上記リストを眺めると.....
いまだに死刑制度を維持しようとしているのは、激しい紛争や政情不安定な国か、それでなければ
言論の自由度が保証されていないあるいは、
思想・信条・言論の統制を試みる独裁的な政権や国体を持っている国がほとんど、といえるのではないだろうか。
死刑制度が廃止された国で、凶悪犯罪が増えたという話は聞かない。
死刑制度はむしろ、時の権力者に反対する者/都合の悪い者を排除する手段として効果を発揮してきた。大量殺人兵器を隠し持っているという「疑い」でアメリカは強引にイラクを侵攻し、その結果囚われたサダム・フセインが、その「疑い」がデッチあげだったことを当のブッシュ大統領自身が認めたにもかかわらず、なおも死刑を執行されるというこの不条理が、よく死刑制度の本質を現している。
翻ってわがニホンでは、この期に及んで、毎年死刑執行の実績づくりに励む法務省の姿勢から、この国を独裁国家として維持していこうという現政権の意志が、はっきり垣間見えてくるのだ。
◆共謀罪にNO
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以下、12月25日の死刑執行を受けて発表された
日本弁護士連合会・会長の声明をコピペしておく。
死刑執行に関する会長声明本日,東京拘置所において2名,大阪拘置所において1名,広島拘置所において1名の死刑確定者に対して死刑が執行された。
日本弁護士連合会は,死刑制度の存廃について国民的な議論が尽くされるまで死刑の執行を停止するよう,これまで再三にわたって法務省に対し要請し,本年 12月13日には,長勢甚遠法務大臣に対し,96名の死刑確定者に対する死刑の執行を行わないよう要請した。しかるに,当連合会の事前の要請にもかかわらず,死刑が執行されたことは,誠に遺憾である。
死刑については,死刑廃止条約が1989年12月15日の国連総会で採択され(1991年発効),1997年4月以降毎年,国連人権委員会(2006年国連人権理事会に改組)は「死刑廃止に関する決議」を行い,その決議の中で日本などの死刑存置国に対して「死刑に直面する者に対する権利保障を遵守するとともに,死刑の完全な廃止を視野に入れ,死刑執行の停止を考慮するよう求める」旨の呼びかけを行った。
また,国際人権(自由権)規約委員会は,1993年11月と1998年11月の二度にわたって,日本政府に対して死刑廃止へ向けての措置を取ること及び死刑確定者の処遇を改善することについて勧告を出している。
さらに,欧州評議会は,2001年6月26日,アメリカと日本に対して死刑執行の一時停止を行い早急に死刑制度を廃止するように促す旨の決議を採択し, 2002年6月13日には,欧州議会が,日本,韓国,台湾における死刑廃止に関する決議を採択し,早急に死刑を廃止するか,もしくは死刑の執行停止を実現することを要請している。
このように,死刑廃止が国際的な潮流となっている中で,当連合会は,2002年11月「死刑制度問題に関する提言」を発表し,死刑制度の存廃につき国民的議論を尽くし,また死刑制度に関する改善を行うまでの一定期間,死刑確定者に対する死刑の執行を停止する旨の時限立法(死刑執行停止法)の制定を提唱した。
また,一昨年の第47回人権擁護大会においては,「死刑執行停止法の制定,死刑制度に関する情報の公開及び死刑問題調査会の設置を求める決議」を採択し,死刑の執行停止を求めた。
当連合会は,政府に対し,死刑制度に関する情報を広く公開することを要請するとともに,死刑制度の存廃につき国民的議論を尽くし死刑制度に関する改善を行うまでの一定期間,死刑の執行を停止するよう,改めて強く要請するものである。
2006(平成18)年12月25日
日本弁護士連合会
会長 平山 正剛
秘書課、村野瀬 玲奈「クリスマスの死刑執行を報じるル・モンド紙の記事」より、翻訳記事をお借りしてコピペします:
クリスマスの日、日本は死刑の事実上の執行猶予期間に終止符を打つ
ル・モンド(フランス) 2006年12月25日
12 月25日の月曜日に、殺人罪で死刑を宣告された4人が、アメリカと並んで工業国で死刑を廃止していない唯一の大国である日本で絞首刑に処せられた。そのうち二人は70代である。これらの死刑執行は15ヶ月以上前から続いていた事実上の死刑執行猶予を断ち切った。死刑執行はクリスマスの日に行われたが、宗教的には仏教と神道に属する日本人の多数派にとってはクリスマスは神聖な日ではない。
日本ではいつものことであるが、死刑囚が誰であるかも死刑執行場所も権力は明らかにしない。この最大の「不透明性」が日本の死刑囚の運命を支配していて、そのことは人権擁護機関が定期的に告発の対象にしている。死刑囚自身も死刑執行の日にぎりぎりになって執行を知る。また、死刑囚の親族も執行を知らされない。
日本のマスメディアによれば、死刑を執行されたのは、東京で拘禁されていた秋山芳光(77歳)、藤波芳夫(75歳)である。あとの二人は、義理の父親と義理の妹を含む3人を殺したとして有罪になった福岡道雄(64歳)、一人の少女と三人の女性を殺して有罪になった日高広明(44歳)である。
日本での一番最近の絞首刑は 2005年9月にさかのぼる。それは、仏教徒としての信条から死刑に断固として反対する弁護士でもある杉浦正健が法務大臣職につく数日前に行われている。日本では死刑執行の決定には法務大臣が署名する必要があるが、死刑賛成派が多数をしめるこの国で杉浦法相はいつも署名を拒否してきた。しかし、小泉純一郎が首相を退いて安倍晋三が政府のトップについてからは、極刑賛成派である新しい法務大臣が指名されていた。
この四件の死刑執行に対して、早稲田大学の法学教授である水島朝穂は、司法権力は「2006年を絞首刑執行のないままに終わらせないことが必要であるという判断のもと、政治的理由と治安のためにこの死刑を決定した」とみている。
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