ある村の小道で出会った子供たちが、
ブネネを捕まえていた。この鳥(
Egretta sacra)は英語でPacific Reef Heron、日本語でクロサギといい、白色型と黒(灰)色型がある。ヤップ語のブネネは白色型だけを指し、灰色型は数がうんと少ないが
コウと呼ばれている。また、この鳥にまつわる民話によって、ブネネがメスでコウがオスだと思っているヤップ人も多い。
ブネネもコウもヤップに一年中留まるものもいるが、毎年10月ころになると個体が増えるから、たぶん北の方から越冬にくるのものも多いのだろう。優雅な見かけのわりには動きが鈍い鳥で、こうして子供にも簡単に捕まってしまう。
子供たちに、この鳥をどうするのか聞くと、口々に「食べるのさあ」と言っていたが、はてさて本当だろうか?ヤップの誰に聞いても、「あんな痩せぽっちの鳥なんか、食えねえよ。それに奴らは死肉でもゴミでもなんでも食ってるからなあ」という。白い羽は、ときどき踊り手の頭飾りなどに使われる。
(後記)
ヤップでブネネと呼ばれる鳥にはもう1種類あって、
Bubulcus ibisすなわちアマサギがそれ。現在、数としてはアマサギのほうが多いし、海岸から離れたところで見られるのはほとんどアマサギだろう。上に書いた「何でも食べる」「動きが鈍い」習性は、アマサギのもの。だから、この写真の鳥も、アマサギの可能性が高い。下のブネネの物語は、色の黒いコウが登場するから、クロサギの話かもしれない。
ブネネの恋物語
あるときブネネの娘の両親のところにコウの男がやってきて、娘をお嫁にしたいと願い出ました。
ところが、ブネネの娘はコウの男にちっとも魅力を感じませんでした。というのは、娘は格好の良いグンカンチョウの男に夢中だったからです。
やがてグンカンチョウが旅に出ることになり、ブネネの娘は母親が止めるのも聞かず、グンカンチョウと一緒に旅立っていきました。
グンカンチョウは高い空を遠くまで飛ぶ鳥です。ブネネはそんなに高く飛べませんから、娘はグンカンチョウの背中に必死でしがみついていました。
2回夜がきて、2回朝がきても、グンカンチョウは飛び続けます。高い空をものすごく速く飛ぶので、ブネネの娘はつかまっているのに精一杯でしたが、どんなに喉が渇いてお腹が空いても、グンカンチョウは娘にお構いなしで飛んでいました。
あんなに美しかったブネネの娘の白い羽は、輝きを失い少しずつ抜け落ちていきました。そうすると渇きや飢えに加えて寒さも襲ってきました。つかまっている手もしびれて気も遠くなりながら、ついにブネネの娘はグンカンチョウに言いました。「あたしを家に連れて帰ってください」
グンカンチョウはブネネの娘の家の近くまで戻ってくると、娘を高い空から放り出しました。娘がやっとの思いでたどり着いたのは海の中の漁礁でした。そのとき娘は、羽は抜け落ち身体もやせ衰えて、見るも哀れな姿になっていました。
そこにやってきたのは、まえに求婚してきたコウの男でした。コウは変わり果てた娘の姿を見ても気持ちを変えず、優しくいたわりサカナをたくさん持ってきてくれました。
コウのくれるサカナで元気を取り戻した娘は、やがてこの誠実なコウの男と結ばれて、一生幸せに暮しましたとさ。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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