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ミクロネシアの小さな島・ヤップより

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公判・勝訴!

天候: 晴ところどころ曇
風向: 東
風力: 8ノット
気圧: 1007hPa
湿度: 80%
気温: 29.7℃
過去24時間の最高気温: 31.1℃
過去24時間の最低気温: 23.3℃
(6月26日16時57分現在のヤップ気象データ)
(注)「天候」「気温」に関しては、観測時間によってデータに大きく差がでます。一般的に夜は雲が多く気温も低いです。

公判・勝訴!_a0043520_16202171.jpg裁判所に行ってきた。何かとヤップのケイサツには縁の深いわたしだが(笑)、今日はDefendant(被告人)として登場、Plaintiff(原告人)はヤップ州(警察)。実は交通裁判だったのだ。

2週間前、日本の知人から入手した中古車が来たのでヤップ州警察交通課に登録に行ったところ、車検証に署名をする担当者が会議に出席中とのことで、諸手続きと支払いを済ませたのに車検証とナンバープレートをその場でもらえなかった。「じゃ、(ナンバープレートのない車を)どうしたらいいの?」と聞くと、警察窓口のオネエサンは、「良いわよ、乗ってて。もしオマワリに止められたら、車検料支払いの領収書を見せれば大丈夫よ」って。へぇ~、そーゆーもんかな、ヤップだもんな、と理解したわたしは、そのまま車を転がして帰ってきた。その夕方、窓口が閉まる前に再び訪ねると、もうひとりの窓口のオバチャン、「あっ、まだだねえ。明日来て」「それで、まだこの車を運転してて良いの?」「もちろんよ。止められたら見せられるように、領収書はいつも持っておいてね」

その翌日はずっと海に出てて、警察窓口の時間内に車検証とナンバープレートを取りに行けず、それでもナンバー・プレートをつけてない車を乗りまわしてたら、夕方、ついにパトに止められてしまった(笑)

公判・勝訴!_a0043520_16211774.jpgそれでも平然とケイサツのオネエサンやオバチャンが言ったとおりに領収証を見せたのだけど、これがぜ~んぜん通用しなかった。当たり前といえば当たり前だけど(笑)。おまけにもらった切符には車検証不携帯とナンバープレート不表示以外に、703 Negligent driving(不注意な運転)、703 Reckless driving(無謀な運転)て罪状までマークしてある。そりゃーないだろー!!!

それでも止められた路上でオマワリ君に文句言っても埒があかないので、あっさり切符にサインしておいて、ちょっとだけムッとした顔で、「裁判所で会おうぜ」と言っておいた。ヤップ州では交通違反で切符を切られたら、10日以内に罰金20ドルを支払うか、弁護士を通して不服申し立てをして裁判に持ち込むかしないと逮捕の対象となる。忙しいわたしとしては、あっさり20ドルを支払ったほうが時間も手間も取られず楽なのだけど、こんな不当な罪状を認めるわけにゃあ、いかないぜ。

公判・勝訴!_a0043520_1622521.jpgそこで翌日、公選弁護人のところに行って弁護を依頼し(無料)、裁判所に行って公判の申し込みをしてきた。日程は、ある程度こっちの都合に合わせてもらえたので助かった。おもしろかったのは、公選弁護人はもちろん裁判所の担当者までが、「こりゃあ、裁判に持ち込むべきだ。ぜったい勝てるよ」って、わたし以上に喜んで(?)いたこと。

それで今日がその公判の日。10時開廷の予定なので5分前に行ったら、警察側証人となる制服のオマワリサンたちが、大勢待合室に来ていた。交通裁判は件数が多いのでまとめてやるのだ。やがてわたしのような「被告人」もちらほらと集まってきた。わたしに切符をきったオマワリ君が、「ねえ、あの日うちの窓口の女の子が何て言ったんだっけ?」って聞いてきたので、うっかり答えそうになったが、いかんいかん、弁護人もなしで検察側とおしゃべりしちゃあ(笑)。

待たされること30分でついに開廷。今日の公判はわたし以外の関係者はみなヤップ島の人だったので、わたしの番がくるまですべてヤップ語で進行、開廷とともにテープ・レコーダーがまわってて、すべての発言は音声で記録されている。で、わたしの番が来て、呼ばれて弁護士の隣の被告人席へ。わたしをパクったオマワリ君は検察側の席へ。そして、わたしのために言語は英語に切り替わる。

裁判官「それじゃ被告人側、このケースの経緯を説明しなさい」

公選弁護人がわたし側の言い分をかいつまんで陳述。ついで、わたしが事の次第を時系列に補足して陳述。

裁判官「それで原告人の言い分は?」

ここでくだんのオマワリ君、「窓口の女の子に聞いたら、被告人は車の登録に来た後、車検証とナンバー・プレートを引き取りに来なかったことがわかった」っていう大嘘を炸裂。

裁判官「車の登録制度はちゃんと登録して税金を払っているかどうかを見るのが第一義である。その業務を担当する警察の都合で車検証とナンバー・プレートが迅速に整わなかったのを棚に上げ、むやみに被告人を起訴して時間をとらせてしまったのは、警察側の怠慢であ~る。よって、裁判所はこのケースを却下!」

という訳で、経過時間にして約5分、わたしの公判はシャンシャンとなった。弁護人が「もう行っていいよ」とわたしに言ったその目は、「君のケースは終わったんだから、早く席を立って行ってくれ。次のケースが控えてるんだよ」って訴えてた。なるほど傍聴席には、自分の番を待ってる被告人と彼らに切符を切ったオマワリサンたちが、まだ大勢控えていたのだった。

通常、公判は午前中いっぱい続くので、午後まで待って公選弁護人事務所にお礼の挨拶に行ったとき、「ずいぶん速い裁判で拍子抜けしちゃいましたよ」って言うと、「そりゃ、裁判官があの若造のオマワリの嘘を見抜いて怒っちゃったからだよ。あいつ、いつも嘘ついてるからね」なんだそうだ。

2年前の台風のあとヤップの車の数は3倍近くに増え、無免許で車を乗りまわして遊んでいる若い子たちがわたしのまわりにもたくさんいる。「外国では無免許運転は重大な犯罪なんだから、ちゃんと免許を取ってこなきゃダメだよ」といくら諭しても、彼らは聞く耳を持たない。何かの交通違反でパトに止められなかったら無免許でもバレないし、止められて無免許がバレても今の制度では罰金20ドルで片がついてしまうから、難しい学科試験(日本の運転免許試験なみの4択問題)があって$10.50と写真代のかかる免許を取りに行くのをみんな嫌がるのだ。

忙しいわたしのような人間を捕まえて裁判で時間をとらせる暇があったら、無免許運転の一斉取締りをしっかりやってくれ~!


最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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by suyap | 2006-06-26 22:18 | ヤップな日々
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