天候: 曇
風向: 東北東
風力: 9ノット
気圧: 1009hPa
湿度: 82%
気温: 27.9℃
過去24時間の最高気温: 31.1℃
過去24時間の最低気温: 22.8℃
(4月25日午後8時53分現在のヤップ気象データ)
ちょっと前までのヤップをご存知の方に驚かれることがある。それは、この写真のように毎日豊富なヤップ産の「野菜」が手に入るようになったことだ。手前から、インゲン、カボチャ、トウガン、ゴーヤ、ダイコン、トウモロコシ、丸いスイカ(黄)、細長いスイカ(赤)、チンゲン菜、青ネギ、ニラ、etc. これらは島の南部で土地を借りてやっている中国人の農園の産物だ。彼らは去年の1月までヤップで中国人ワーカーを何百人も抱えて操業していた「縫製工場」専用に野菜を作っていたが、その工場がカナダに移っていった後(この経緯もおもしろいテーマであるが、今日は話題が煩瑣になるので取りあげない)、こうして商店に野菜を卸すようになった。
少々お高い値段にもかかわらずヤップ人の間にも結構な売れ行きみたいで、これもひと昔前のヤップでは考えられないことだった。「もっと野菜を食べましょう」という病院のキャンペーンがじわじわ浸透しているのと、外の情報を自分でキャッチできる世代が家計の主流になってきたせいもあるかもしれない。それに
2004年の台風以来、ヤップで急速に進んだキャッシュに依存する生活の影響も大きいだろう。家のまわりやジャングルに入れば今でも美味しい自然の野菜が豊富にあるのに、こうして他人が作った野菜を買う生活がヤップでも普通になっていくのだろうか?島に土地を持たないわたしのような外国人には嬉しいことではあるが、あまりにも育ちの良いこれらの野菜に、ときどき不安を覚える。中国人が作ってるし、、、この件も今後調べて報告しようと思う。
それで、今日の話題は、スイカ。
この中国農園の野菜がヤップの市場に出回るまで、わたしの16年のヤップ生活の中でスイカを見るのは非常に稀なことだった。そのスイカはアメリカから輸入されてベラボウな値段で売られていたので、もちろん買って食べたことなど一度もなかった。それが上の写真のように、毎日ばんばん出荷されてくるようになり、値段も手が届く程度になったので、「やっぱり夏はスイカでしょう」ってことで、時々買って食べる。今日の買い物はこの青ネギとスイカ、両方で6ドルちょっと(地野菜に比べると、やはり高い)。
このスイカは知り合いのヤップのおばあちゃんも大好きで、時々この店で買って食べている。彼女によると、日本時代にもスイカはヤップでたくさん作られていたそうだ。ところで、ヤップ人のスイカの食べ方は、ちょっと変わっている。なっなっなんと、
煮て食べるのだ~~~!
わたしがこのことを知ったのは、うちのスタッフと一緒にスイカを食べようと思って仕事場に持っていったとき。「さあ、冷えたスイカがあるから切って食べよう」というと、一同「ゲエ~ッ」という顔をして、「俺たち、生のスイカなんて食わないよ」。今度はわたしが「ゲエ~ッ、生のスイカを食べないってことは、煮て食べるってか?」。長いこと人生をやっていても、まだまだ知らないことがたくさんある。人生ってほんとうにオモシロイって思うのは、こういう瞬間だ。この「スイカを煮て食べる人がある」という事実の発見は、遠い昔、日本で「キュウリを味噌汁の具にする人がある」ということを知ったとき以上の、強烈なパンチだった。
キュウリ事件の後で、わたしも加熱されたキュウリが美味しいものだと「発見」したので、この煮西瓜もやってみない手はない。早速、料理法の調査を開始した。といっても、レシピは至極簡単。スイカが丸ごと入る鍋でトウガンを茹でるようにゴトゴト茹でて、切って中身をすくいだして食べるだけ。ココナッツミルクを混ぜるとなおヨロシ。聞き取り調査の過程でわかったことは、①煮西瓜派はお年寄りに多い。②若い世代には(特に中国農園スイカが出回って以後)生で食べるのが浸透している。③ヤップ島でも田舎出の連中は若くても煮西瓜の伝統(笑)を保っている。④ヤップ州の離島出身者は煮西瓜の習慣を知らない。
③に関しては、おそらくヤップ島では、細々とスイカを自家用に作っていた家もあったことを思わせる。だから、そういう家庭で育った連中は、由緒正しく「煮て食べる」というヤップの伝統を引き継いだ。
④では、離島の人たちがスイカの食べ方を知ったのは、アメリカに行ったときとか、こうして最近ヤップで出回り始めたスイカを通してのことだろう。昔はヤップ同様、煮て食べていたかもしれないが、島でスイカを作っていなければ、その伝統は途絶えた。
まあ、そんな調査の後で、いよいよ意を決して煮西瓜に挑戦した(笑)。キュウリも完全に煮えるにはかなり時間を要するので、その何十倍も大きな丸ごとスイカだから、ガスコンロにかけて沸騰後30分も中火で煮ただろうか。竹串がスーッと通るようになったところで火を止めた。
二つに割ると、こんな感じ。
中身をスプーンですくいだして、ココナッツミルクをかけてみました。お味は?
びっくりしたのは、赤い部分が意外にシャキシャキした歯ざわりを保っていたこと。スイカの風味は若干マイルドではあるが、「スイカ食べてるんだ」と思える程度には残っている。お年寄りが煮西瓜にこだわるのは、「生のスイカのあの臭いが嫌だから」とも言っていた。ふ~ん、こんな味かあ、、、
わたし的には、赤い部分より外皮に近い部分のお味が美味しく感じられた。生のスイカの白身をガシガシ人前で食べるのは恥ずかしい(というふうに言われてわたしは育った)けど、これなら平気だもんね。
今回は丸茹でしてみたけれど、切って煮るという手もある。これも、いつかやってみるつもり。
◆ヤップの旅の情報はこちらでどうぞ
http://www.naturesway.fm/index2.html
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