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ミクロネシアの小さな島・ヤップより

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週刊文春4月13日号のヤップ記事を斬る-その壱

週刊文春4月13日号のヤップ記事を斬る-その壱_a0043520_1217546.jpg一昨日の夕方ヤップを出てグアムに一泊して昨朝成田に着いた。予想していたより寒く桜もほぼ散っていて、かなり残念。今回は池袋のサンシャイン近くで今日(4月7日)から3日間行われるマリンダイビングフェアに出展するヤップ観光局の手伝いだ。そんなわけで、あと20分したらホテルを出なければならないので急いでこれを書いているので、この記事は今後時間ができ次第修正加筆します。

昨日発売の週刊文春巻末に「楽園を満たすもの」と題して、濱川聡一郎・写真、林文浩・文で、噴飯でっち上げ大嘘記事が4ページものカラーグラビアで出ている。実はヤップを発つ直前に情報が入ったので、ヤップ州政府歴史保存局に、この濱川氏と林氏がヤップ州のResearcher's Permitを取っているか確認してきたが、案の定、届けも出ていなかった。彼らは最近ヤップに在住してビジネスを始めたある日本人の知り合いだということはわかっている。以下に問題点をあげる。

最初の見開き
これはヤップのマアプ島オチョラップ村の男の集会場の写真だ。民家ではない。それにしてもわたしの目にはただの青くて解像度の悪い写真にしか見えないのだけど、こんなの載せちゃっていいの>文春さん?

グラビア3ページ目の写真上
貝貨(ヤール)を両手に掲げガウ貨を首にかけて、ベチヤル村の男の集会場の前で写真に納まっているのは、うちのチョメの親戚のおっさん。彼はこの出演料にいくらもらったんだろ(笑)。だけど文中ではヤールのことを「鯨の骨で作った貨幣」、ガウのことを「貝で作ったお金」だって。記者にはちゃんと目と耳があったのだろうか?

グラビア4ページ目の写真上
これは同じくベチヤル村の村長さんだったおじいちゃんの墓だ。これを載せるのにご遺族の許可を取ったのだろうか?ヤップに帰ったら早速聞いてみる。

グラビア4ページ目の写真下
オチョラップ村かウァロイ村のウヌベイとマラル(石貨を置く所)に見えるが、これも帰ってすぐに確認しよう。それにしてもヤップの石貨のことを紹介するには、もっと大きく立派なマラルが、記者が泊まったビレッジビューホテルの近くにもあるのに。それにベチヤル村のおじいちゃんの墓まで行きながら、すぐ近くのマラルと大きな石貨の写真は撮らなかったの?

3ページ目の記事
「日本から僅か五時間たらずの赤道直下に今や絶滅寸前と言っていいマンガ的なおおらかさに包まれた楽園がある」だって。
それじゃヤップの人は絶滅危惧種か?ヤップ人はマンガか?ヤップの人たちがこの記事を読めたら、決していい気持ちはしないだろう。

「資本主義と西洋文明を拒絶し」
記者の泊まった村にもある商店に並ぶ缶詰やコインランドリー、たくさんの車(ほとんどが日本からの中古車)が見えなかったのだろうか?思うにこの記者は資本主義とか西洋文明とかというコトバの定義さえできないのではないか?

「石器時代さながらの巨大な石の貨幣が流通し」
石でホテルに泊まれましたか?ビールが買えましたか?

「文明の利器である携帯電話にも、インターネットにも、テレビにも無縁の世界」
モデルのおっさんも携帯持ってるよ。わたしは今日本でこれを書いてるけど、このブログはヤップから発信してるし、いまヤップではNHKワールドも含めて20チャネルのテレビが地上派で24時間放送されている。わたしはテレビ持ってないから見ないけどね。

「”ウンドウカイ”、”ベントウ”という日本語がそのまま使われ」
ウンドウカイやベントウは、ヤップでは定着しなかった。だから日本語世代にしか通用しない。これらが現代の若い世代にもコトバとして定着しているのは、ミクロネシアの他の島のこと。

ちょうどヤップ観光局長と観光局副理事長がマリンダイビングフェアで来日中なので、記事を見てもらって内容を説明したところ。「すぐに出版社に言って訂正してもらえないか」って言われたから、「もう出ちゃったものはtoo lateだから、これはヤップ州政府として後日筋を通しておいたほうが良いですよ」と言っておいた。悔しいけどわたしの財布から3部を購入し、ヤップ州歴史保存局ほか各関係機関に報告する。

ともかく、この記事が巻末に載ってる文春4月13日号を、立ち読みで良いから見ておいてください。今後もっと時間をかけて「斬り」ますので。


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by suyap | 2006-04-07 09:01 | ヤップと日本のメディア
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