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ミクロネシアの小さな島・ヤップより

suyap.exblog.jp

2006年ヤップデイ・2日目

天候:本曇り
風向:北東
風力:6ノット
湿度:84%
気温:26.8℃
気圧:1010hPa
(ヤップ気象台午後10時50分発表のデータ)

ダイバーうじゃうじゃマンタもびっくりの早朝ダイビング2本をこなして明日の準備をなんとか終えると3時半をまわってしまったが、お客様でヤップデイに行きたい人もおられたので、わたしも腰蓑(こしみの=ヤップの女性の着物)を抱えて会場に駆けつけた。今日のスケジュールはわりとサクサク進んでいるようで、4時過ぎの私たちの到着の時点では、すでに最後から2番目の踊りが始まっていた。

2006年ヤップデイ・2日目_a0043520_191959.jpgマアプ地区の男の立踊り・ガシュラウの列の端(子供たち)を後ろから撮ったもの。踊り手の前のひな壇は貴賓席。ヤップの踊りにはそれぞれストーリーと名前があって、この踊りにはソボウという名前がついている。ソボウはヤップ語でイ○キ○タムシのこと(ここまで書いていいものだろうか)。昔は男の踊りを女は公然と見られなかったし、女の踊りも男は公然と見ることはできなかった。まして、これらの踊りを真昼間にやるなんてことはなかったのだけど。

2006年ヤップデイ・2日目_a0043520_195027.jpg踊りが終わって舞台から下がっていく少年。興味をしめす子には、最初はちゃんとできなくても3歳くらいから混ぜて躍らせる。

2006年ヤップデイ・2日目_a0043520_110236.jpg今年のヤップデイのトリを飾るトミル地区のガシュラウ。この踊りの名前と意味は残念ながら聞き漏らした。人数も50人以上はいたろうか、しっかりそろっていて上手だった。ヤップでは踊りは人々の口によって厳しく「審査」される。ヤップデイの実況放送は島中で聞かれていて、それを聞いてお年寄りは若い者に色々と講釈をする。ちなみに昨日のトリのルムングの男の立踊りは高得点だったようだ。わたしもラジオを聞いていて、その雰囲気は伝わってきた。今日のこの踊りも良い線いくと思う。

2006年ヤップデイ・2日目_a0043520_111660.jpgここでも真剣に踊る少年たち。踊りの列の中心は年長者で上手い人、それからだんだんに年齢が若くなって端っこのほうはまだ年端もいかない子供たちになる。真ん中には貴賓席が設営してあるので、わたしの座れる位置は頑張っても少年地区どまり。それでもかえって初々しくて楽しい。

最後のほうをちょろっと見ただけだけど、今年のヤップデイは屋台も少なくてマジメ系(ちょっと意味不明だけど)。そして確かにヤップ人も伝統衣装姿の人が多かった。わたしも腰蓑着るのは大好きだから、やっぱり堂々と着れるヤップデイは嬉しい。でも今年は上を脱ぐのは止めといた。忙しくてヌーヌー(レイ)をあつらえる暇がなかったし、目立ちたがり屋に見られるのも嫌だしね。こっちの習慣じゃ、わたしがペロっと上着を脱いでも、オトコは眉ひとつ動かしゃしない。オッパイはただの母乳製造機だ。そしてわたしのはそれもできない欠陥品だし、、、(爆)

ヤップデイ会場を午後6時前に後にしてコロニアに帰り、恒例のヤップ観光局主催のレセプションに行ってみた。ヤップデイでたっぷり踊りを見てる観光客に、なんで同じ踊りをまた見せなきゃならないのか、観光局の見栄と金の無駄遣い(観光局もちで軽食が振舞われて、踊りにも金が支払われる)としか思えないのだけど、今夜のは、マアプのソボウ以外は、ヤップデイに出さなかったギルマン地区の男の座り踊りと立踊りで、しかも立踊りは40年ぶりに復活されたというものだ。

2006年ヤップデイ・2日目_a0043520_1115395.jpg会場はうちの店の先にあるコミュニティセンターだったのだけど、だんだんものすごいことになっっていった。まずYCAストア~マリーナ~YFAあたりまで、どんどん車でふさがっていく。マリーナの駐車場に入れていたわたしの車なんか、完全に缶詰だ。コミュニティセンターの中は踊りを踊る場所以外は椅子席のお客と地べたに座ったわれわれローカルでパンパンに膨れ上がり、それを外から取り囲む連中、そのまた外の暗がりでたむろする連中を入れると、島の人口の約1/4、2000人弱はいたような気がする。

2006年ヤップデイ・2日目_a0043520_113578.jpg例によって予定は遅れに遅れて、またまた延々と続くスピーチを経て、最初の踊りが始まったのは9時を回っていた。写真は、入場を待つギルマン地区の男の座り踊り。

2006年ヤップデイ・2日目_a0043520_1134378.jpgこのあと、また延々と待ち時間があり、マアプのソボウがつつがなく終わり、いよいよお待ちかねのギルマンの男の立踊り、アッティルゴウの登場だ。アッティルゴウというのは茶色の小さなトカゲのことで、それの動きを真似したXXXRの踊りだそうだ。だから夜も遅いのにこれだけの人が期待して待っているわけ。

2006年ヤップデイ・2日目_a0043520_114173.jpg確かに振りはソボウよりも強烈だった(笑)。そして、踊り手の中にも半分あっちに行っちゃってそうなのもいて、動きも激しいし、終わったときには失神して倒れるんじゃないかってのもいた。

今年はヤップデイを最後のほうで垣間見ただけだけど、ずいぶんマジメにやってるなあ、と感心した。コミュニティセンターでも、長丁場で喉が渇いたわたしは、外の暗がりで誰かがビールの闇販売でもしてないかと探し回ったのだけど、見つからなかった。これは今までのことを考えると驚異的なことだ。それに見るからに酔っ払ってるぞって人はほとんどいなかった。まあ、みんなどこかで多少のビールはひっかけてきてるだろうけど。そういう、ほとんどシラフに近い頭で、数十年ぶりに復活したよその村の踊りを見に、これだけの人が押しかけるってのは、ヤップもまだ捨てたものじゃないかなって、希望が湧いた。

ヤップの踊りは、村同士の血を見る抗争を踊りに昇華して競ったものが本来の姿だったとわたしは思う。わたしの前に座ってたトミールの少年たちが、真剣にギルマンの珍しい踊りを見入っているのを見て、ほんとうに嬉しくなったのだった。「今度は自分たちもアレに負けないようなチュル(踊り)をしてみせるぞ」っていうのが、ヤップの踊り=ヤップの文化の質を高めていくと思うから。それがアイデンティティの自覚と良い意味のプライドにつながっていけば、外で高い教育受けても島に帰ってアル中になるか首くくるしかなかった繊細な才能の将来も明るいというもの。台風マネーで飲み呆け、欲呆けしてるだけじゃなかったんだ、ターニングポイントきたかなって、いう気がした一夜だった。



ヤップの旅の情報はこちらでどうぞ。
http://www.naturesway.fm/index2.html
by suyap | 2006-03-02 23:15 | ヤップの伝統文化
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