今日は
主食で食べるバナナ編で書いた「お年賀の篭」に入っていたヤムイモを料理した。ちなみにヤムイモというのは日本のヤマイモの仲間の総称だけれど、すごくたくさんの種類がある。ヤム(Yam)というのは英語、でも語源はきっと環太平洋のどこかから来ていると思う。ヤップ語ではヤムなんて大雑把な呼び方はしないで、種類ごとに違う名前で呼んでいる。写真のイモはドゥオグという種類だ。私の家のタイルは1辺が1フット(約30センチ)なんだけど、それにすっぽりはまる大きさだ。もちろん、これより大きいのも小さいのもある。
ヤップの伝統食では主食とオカズの区別がはっきりしている。日本語の「ご飯とオカズ」に相当する「ラック ンガ ニック」という言い方があって、これはラック芋(水田のタロイモの一種)と魚を意味する。躾をちゃんとする家では、子供たちがオカズばかり食べていると叱られる。主食ー>オカズー>主食という順で交互に食べる食事マナーは、日本と一緒なのだ。そして主食にも色々な種類があって、いまの主食の王様は、先祖代々続いている田んぼで季節に関係なく収穫できるラック芋だけど、10月から12月にかけて収穫するヤムイモのファミリーも、その次くらいの重要な位置にいる。大昔、東南アジアやパプアニューギニア方面から最初にヤップに移住してきた人々がヤムイモを持ってきたらしい。でもヤムイモは焼畑で作付けするので、島の土地がどんどん荒れてきて、みんな困って、そこでラック芋の水田耕作が発達した、という説もあり、私はあたっていると思う。だから、かつて元祖主食だったヤムイモのステイタスは、今でもけっこう高いのだ。
前置きが長くなったけど、さて、ドゥオグの料理法。といっても、主食で食べるときは煮るだけだけど。写真のように皮付きのまま鍋に入る大きさに切り分け、芋の量と火の種類にもよるが、7分目位の水をはって強火にかける。皮をむいて煮ると料理時間が短くてすむが、私は皮付きで煮る派だ。
煮たったら少し火を落として、ひたすら煮る。そして茹で上がったものが、これ。今回は約40分かかった。箸を通してみて、スーッと通ったら出来上がり。芋の上の葉っぱは、落し蓋のかわりだ。何かを煮るとき材料の上に鍋の中に納まる小さなふたを置くのを落し蓋といって、このひと工夫で熱の対流が抜群に良くなり、物が美味しく早く炊ける。ヤップではふつうラック芋の葉を使うけど、今日は近くになかったので、リッチという葉で代用した。
芋が冷めてから、皮をむいて適当な大きさに切り分ける。ホクホクして、ほんのり甘みのある飽きない味だ。やはり主食になる食物はあまり目立った味ではないほうがいいのだなあ。
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