強まった貿易風に吹き寄せられたのか、赤道からヤップのすぐ近くにかけて雲がかたまっている。おかげでときおり雨がパラつく風の強い日が続いていて、海上も時化模様だ。
そんなわけだから、きのうの朝ヤップに入港する予定だったドイツのクルーズ会社
Hapag-Lloydが運航する3万トンの豪華客船
MS COLUMBUS 2のことも、前日から「たぶん入港できないよね」と予測はしていたけれど、やはり気になるので、早朝から様子を見に行った。
午前8時に接岸ということだったので7時過ぎにマリーナに行ってみると、もう船はリーフの外に着いていて、風上に舳先を向けて待機中の様子。3キロ以上も離れているのにさすがにデカイ(笑)。やがてヤップのパイロットを乗せたボートが出て行って、しばらく後に、
MS COLUMBUS 2は南にむかって後進をかけ始めたかに見えた。「どうするんだろうね」と、マリーナの駐車場で待機していた税関職員らに声をかけると、「Mなら絶対に入れて見せるさ」と、パイロットMさんの親戚の係官が、ムッとした顔で答えた。
その後、船は水路の入り口に向けて前進して
取舵を切ろうとしているかに見えたけれど、すぐにまた後進、それを何度か繰り返していた。「この風じゃ、まわせないよな...」
すると、わたしと一緒に熱心に見物していたJくんまで、「いや大丈夫だよ、ヤップのパイロットの腕は船のキャプテンよりも良いはずだから」って、「オイオイ、Jくんよ、チョメさんみたいになりたいのなら、もっと水路の形や風向きを研究せなあかんで。あの船な、水路入り口の幅よりも長いんぞ。今くらいの風に腹見せたとたんに、どうなるか、想像してみ。海の仕事は気合じゃない、冷静な判断力の勝負や。結果、『こりゃ、あかんわ』とちゃんと言えるのもスキルやぞ」と、とんだところで操船法のレクチャー(笑)。
案の上、午前8時ちょっと前に、税関係員の車がいきなりバーッと発進していなくなった。やはり
MS COLUMBUS 2のヤップ入港はキャンセルされて、船は
次の寄港地パラオに向かったようだ。しかしパプア・ニューギニアから時化た海を2昼夜半かけて渡っていらっした乗客にはお気の毒なことだけれど、パラオへの入港も、いくら急いでも翌朝になるだろう(サンゴ礁の海では、アホでない限り夜間の出入港はしないから)。ま、こういう船って、船上に娯楽がなんでもあるから、寄港地のキャンセルなんて小さいもんなのかもしれない。たいへんなのは、振り回される現地のほうだ。
この船には700人近い客が乗っており、午前8時入港から午後2時の出航までの間に、どっと大人数が島に上陸してくることが予想された。船内のツアー・デスクから今回契約を受けた、あるヤップのオペレーターがさばける人数は200人まで。それだから、「あとの客は、他のオペレーターやら個人やらで、好き勝手に稼いでくれ~」と、前もってお触れがまわっていた。これではコロニアを傍若無人に歩きまわる人があふれるばかりで、たとえツアーを申し込む人がいても、値切られたりして楽しい仕事にはならないことは経験済み。クルーズ船に乗っている人で、行き先について深い興味や思い入れを持っている人はほとんどいない。もしいたとしたら、そういう人はあらかじめ入港時間を伝えて予約してくださるものだ。
〇
大型クルーズ船入港
http://suyap.exblog.jp/6902443/
というわけで、今回の大型クルーズ船入港がキャンセルになって、わたしとしては人知れずホッとしたのであった。やはり、ヤップにクルーズ船は似合わない。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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