バレンタインデイにチョコレートをプレゼントする風習は、世界広しといえども日本だけだ。そこへまた、日本独自の新しい「記念日」が加わったらしい。名づけて「ふんどしの日」。なんと
日本ふんどし協会というのがあって、そこが
日本記念日協会(これも初耳だ)に申請して、正式に「認められて」いるのだそうだ。
大正生まれのわたしの父は、一生を頑なにふんどしで過ごした人だったが、さすがにもうふんどしを愛用する日本人男性は絶滅したかと思っていたら、ズボンの下でふんどしの誇りを保っている日本男子が、また増えつつあるという。喜ばしいことだ。かつて日本の軍隊では、全員がふんどし着用だったとか。だからヤップ島に送られてきた日本兵たちが、軍服を脱いでふんどし姿になって魚とりや畑仕事に精出しても、当人たちやまわりのヤップ人らに、あまり違和感なく受け入れられたのだろう。なんたってふんどしは、環太平洋の海の男たちの伝統ある衣装だからね。
ちなみに知っている人は知っていることだけれど、
きのこちゃんが薦めているように、
〇
バレンタインには怨念こめて手縫いフンドシ♪
http://kinokokumi.blog13.fc2.com/blog-entry-4062.html
殿方の大切な部分を収納する衣類は、風とおしが良く、なおかつ必要なときに必要な箇所だけキリッと締まってくれることが大切なのだ。通気性が劣るナイロン地や、常時息子さんを締めつけるブリーフのようなものは、オトコの全身の健康に悪影響を及ぼしている。ちなみにオンナの場合はブラブラするものを処理する必要がないので、下はす~かすか風とおしの良いのがベスト、だから「お腰」や「腰みの」の下は、本来なにもつけないのが正当な着こなしなのであ~る!
とはいっても、いくら愛好者が増えているとはいえ、いまどきの日本でふんどしをしめたことのある男衆は、おそらく5%以下だろう。それがヤップ島となるとまったく反対で、人生において全く
ふんどし着用したことのない男は全体の3%もいないだろう。ヤップ州の離島からヤップ島に短期で来ている人はいまだに100%ふんどしだが、ヤップ島人で日常的にふんどしを着用している人は、さすがにもうほとんど見かけなくなった。しかし伝統の踊りやイベントの時には、誰でもさらっとふんどし姿に変身する。現在30代後半(アラフォー?)以上の世代のほとんどは、幼少時にはふんどし一丁で育っているし。
そんなヤップ島のふんどし事情だけれど、大人も子供も布一枚だけでOKな離島と違い、ヤップ島の男たちには、成長段階に応じた着付けのルールが厳然とある。まず10代に入る前の子供時代は、布1枚だけ(一番上の写真)、次に10代に入ると成長に応じて布を一枚ずつ増やして重ね着する(2段目の写真、左の子は2枚重ね、右の子は3枚重ね)。ちなみに日本統治時代以降に木綿の色付生地が入ってくるまでは、ヤップ島でもバナナやオオハマボウの繊維から取った糸で手織りの布を使っていた。
上(3段目)の写真の左は、立っているほうが正装したヤップ島の成人男性で、ふんどしの上にバギィと呼ばれる帯のような布を巻き、オオハマボウの繊維でつくるカフォルという(または素材の名前からガルとも呼ばれる)飾りをつけている。座っているほうが離島の人で、彼はふんどし一丁だ。右の写真はココヤシの繊維でロープを綯(な)っているヤップ島の老人。
ヤップ島では伝統衣装はファッションではなく、その人物の所属や立場を表すものだ。だから好き・嫌いで着るものを選ぶことはできない...というか、TPOをわきまえないと嘲笑されるか、ヘタしたら社会的制裁を受ける。まあ、それを覚悟ならやっても良いけどねって感じ。
上(4段目)の写真左は、現在かなり意味合いが廃れつつあるのだが...赤く染めたカフォルは老人、とくに上位の立場にある男だけがつけるものとされていた。右の後姿のおじさん...ふんどしが太ももにかかるほど長めに着ているけれど、これも現代的な風潮で、かつては日本の六尺ふんどしのように、キリッと割れ目に食いこむように締めていた。パンツに慣れたイマドキの男たちは、どうやら青白い太ももを晒すのが恥ずかしいらしい。以上までの写真は、大成功だった
2011年のヤップデイでのスナップでした^^
さてヤップ島とヤップ州離島の男たちのふんどしの着こなしには多少の違いはあるが、その締め方の基本は、
日本の六尺ふんどしにかなり近い。スタッフのJくんがふんどしの着付けを披露してくれたので、ちょっと紹介してみよう。写真はゲストのKさんに撮影していただいたものです。
まず慎重に布の長さを確認するJくん。左端は、自らは絶対にモデルにはならないけど、あれこれJくんに指示を出しているチョメさん。
ヤール幅のブロード生地は半分に折って使います...。
ちなみに男も女も衣装の着付けはプライベートなものだから、ぜったいに異性の前ではやらない(これは日本でもそうでしょ?)。今回はわたしやG嬢、それに女性ゲストもおられたので、Jくんはパンツの上からの実演です。
もっと広いところに出ておいでよと場所を移動して...前垂れになる部分をあごではさんで、長さを決めてます。
ちょっと写真が前後するけれど、まだカウンターの裏でごそごそやっているとき。前垂れ部分を胸にあてて、最初のひと巻きをまわしているところ。
はい、もうひと巻きくるり。ヤップ式六尺ふんどしでは、最低ふた巻きはするようだ。布が長い場合には、巻き数で垂れの長さを調節するらしい。
Jくんのサイズでは4ヤード(約3.6m)が適切とのことだから、
日本の六尺(約2.3m)よりかなり長いね。
2巻きしたあとで、残り布を後ろで結び...
こんな感じに。
ここまでは年齢層にかかわらず、みな同じ。緩んできたら、うしろに尻尾のように垂れている部分を肩から前に担いで、キュッキュッと締める。
日本のように何重にも結ばないのがヤップ式?
次はカフォルの着付けです。長~いハイビスカスの繊維だから、よれやたんこぶがないように、ていねいにさばいておきます。
さらに足をつかってさばいて...
飾り房を前にあてながら、股下に通し...
もう一度、前にくる部分の長さを確認して、残りを肩に引っかけて...
バギィ(飾り帯)をあてます。
注)ヤップ島の男用バギィは本来。無地もしくは白黒のみ。手元に男用バギィが無かったので、ここでは離島の女性用のバギィを代用しています。どうぞお間違えなきよう!
カフォルをバギィで止めるように巻いて...
バギィの両端を前であわせて、
結んだあと、
カフォルの房を前にもってきて、きれいに見えるように処理します。
もう一度、バギィの結び方をチェックして、
バギィの下にあるふんどしを、チラリと見せる程度に余分なエッジをたくしこんでます。
その上から、長~いカフォルをたくし込み・・・
きれいに見えるようにループを調整し・・・
けっこう細かいところまで気を配るんだなあ...Jくん。これぞヤップ男のおしゃれ!(笑)
はい、着付け終了。
後姿はこのとおり。
ちなみに現在20歳のJくんは、踊りのとき以外はまだふんどし3枚重ねのステータスだそうだ。それでもこれだけちゃんと着付けができるってのは、たいしたもんだ。日本の着物同様、こういうのって、日ごろから着慣れてないと出来はしない。まだまだヤップのふんどしは健在です^^
注)注)ヤップ島の男用バギィは本来。無地もしくは白黒のみ。手元に男用バギィが無かったので、ここでは離島の女性用のバギィを代用しました。どうぞお間違えなきよう!
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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