腹ペコで家にもどってきて、さあ水浴び(お湯が出ませんので...うち)を先にするか、腹ごしらえが先か、迷っていると、外でわたしを呼ぶ声が...?
いまごろ誰だろうと出てみると、ちょっと一杯ひっかけ気味のLさんが、レモンやバナナやサツマイモがてんこ盛りの大きなバスケットを持って立っていた。
「あれ~、どうしたの?」
「あっ、いや、その...これ、suyapに持ってきた」
(バナナこんなにもらっても困るんだけどなあ)と思いながらも、内心、はは~んとニンマリ。
∞ ∞ ∞ ∞
2ヶ月くらい前のこと、その日もLさんがとつぜん店にあらわれた。
「suyap、20ドル貸してくれんかな?」
以前はときどき仕事を手伝ってもらったこともあったし、なにより、もう亡くなった彼のおとうさんには、ほんとうにお世話になった。わたしがヤップに住み始めてすぐに出会って以来、Lさんとの付き合いも、もう二十ウン年になるのか...。歳が近いせいもあって、彼の兄弟のなかでは、いちばん近しい間柄でもある。
それまでにも貸した道具が長いこと返ってこなかったり、大量にビールを飲まれちゃったり(苦笑)したことはあったけれど、キャッシュを貸してくれと言われたことは、一度もなかった。
「どうしたの?」
「いやな、〇〇の仕事を手伝いにコロニアに来たんだが、まだ支払いがなくて...その、あのさ、村に戻るガソリンが...足りなくて...」
彼はとおくの村に住んでいる。おとうさんが亡くなってから、ここんとこ、わたしもなんとなく足が遠のいていたのだが...。それでもLさんとの間で、キャッシュの貸し借りというのも、なんだかなあ...。
日本のように欧米化した社会以外では、キャッシュに対して違った感覚をもっている人のほうが多い。すなわち、「たくさん持っているなら、(それが誰であろうと)わけてくれてあたりまえでしょ」っていう感じの。それはそれで実に一理あるとは思うけれど...だれもかれもが寄って来られたら、いくらお金があってもたまらない(笑)。しかも貸した金がもどってくるとは限らない(戻らないほうが多い)し、ムリに取り立てれば角が立つ。だからヤップ人同士ですら、こういうローカルの賃貸関係への対応策は、それなりに持って生きているわけだ。ちなみにわたしの場合はこんな感じ:
①よく知っている律儀なプライドのある人(こういう人は必ず何かの形で返してくれる) ≫≫ できるだけの援助をしてあげる。ただし貸借バランスシートは頭の中につけておく。
②知っている人だけど、律儀さやプライドの程度がいまいちな人(返済の意思の程度は不明) ≫≫ ケース・バイ・ケースで援助の内容を決める。もちろん脳内賃貸のバランスシートはしっかりつける。
③あまり(まったく)知らないヤツ・将来もつきあうメリットのないヤツ ≫≫ たとえ1ドルといえども、手持ちのキャッシュが無いフリをして、貸さない。
Lさんの場合、わたし的には①と②の中間にいる人だったけど、20ドルという額も気になったし(suyapならもらい逃げしても許されるも?と思われそうで)、そんな額で後々まで気持の悪さを引きずるよりもと、
「あ~ゴメン、いまキャッシュもってないのよ。4ガロン($21.00相当)だけ、会社のツケで入れてあげるから、それで良い?もちろん返さなくていいよ」と現物支給を申し出た。
※彼への4ガロンのガソリン代分は、将来なんらかの仕事(協力)で返してもらおうという計算も...まあ弱小自営業者だから、こんな判断ができるわけですけど。
その後、一緒に契約のガソリン・スタンドへ行こうと駐車場に出てみると、あれまっ、ピッカピカの四駆の車が...!
「どっどーしたの、この車?買ったの?もしかして
ETGにもらった金?」
「いやいや、その、あの...4年くらい貯めてた金で...」
(Lさんて、貯金できる人じゃないってば-笑)
トンデモなETGのヤップ開発計画の旗振り役が彼の親戚にもいるので、ちょっと半信半疑なわたし...。Lさんの一番上のにいさんは大反対派だけど、兄弟仲はあまりしっくりいってないんだよな、あのふたり...ああ悲しいなあ。
∞ ∞ ∞ ∞
ということがあって、いま彼はわたしの家の戸口に立っているわけだ。しかし、わたしも、彼も、「あのときのこと」は言い出さない。言い出すべきではない...というアウンの呼吸(笑)。
別れぎわ、車に乗りこむLさんに、
「良い車ねえ!」
と声をかけると、照れくさそうに笑ってた。今度、姪っ子さんに会ったら、Lさんが「
どっち派」なのか聞いてみよう。
とまあ、このように世界を股にかけて飛び回っているカネの亡者らに、のどかだったヤップ島も蹂躙されているわけでありますが、ニホンだって、ヤツラのおかげで、もっともっとひどいことになる助走が始まっているような...:
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明日うらしま:アルジェリア人質事件の背景に仏アレバ社の巨大なウラン利権か(第1報)
http://tkajimura.blogspot.de/2013/01/blog-post_17.html
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アルジェリア人質事件の背景に日仏の巨大なウラン利権(第2報)ニジェールのヒバクシャに思いを致そう
http://tkajimura.blogspot.de/2013/01/blog-post_21.html
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本澤二郎の「日本の風景」(1266)<姿消す日揮のドン>
http://blog.livedoor.jp/jlj001/archives/52019352.html
スマホでゲームにはまってる場合じゃないですよ~~~!
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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