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ミクロネシアの小さな島・ヤップより

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大統領との会見

小さな雲のかたまりがヤップ上空を通過中のため、朝から照ったり、降ったり、曇ったりというお天気の一日だった。最近、本業のほうはちーっとも忙しくなくて(苦笑)、お天気もあまり気にならないのだけれど、例の中国資本のヤップ開発計画の件で、わたし自身はけっこう忙しく過ごしている。

さてこの件はどうやら「国家レベルのプロジェクト」化しているようで(ヘタしたら陰でアメリカも絡む?)、先の日・月・火曜日には、ついにミクロネシア大統領が駐中国大使を連れて、わざわざヤップ島までお出ましになった。ヤップ島の自然や人々の暮らしに、取り返しのつかない大きなダメージを与えるこの開発計画に、キリッと「反対」を表明している草の根グループ(Concerned Citizens Group)にも大統領執務室からコンタクトがあり、大統領滞在最終日の22日の午後、コロニアにあるカソリック教会内の聖パウロ会堂で会見が持たれたので、わたしもG嬢と一緒に参加してきた。
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もともと大統領のヤップ島訪問はその1週間前に予定されていて、先週の日曜日にセットされていた会見のために、わたしたちのグループはたくさんの生花のレイやフルーツを用意して集まったところ、悪天候で首都のポンペイに飛行機が降りず、一週間伸びてしまった。新たにセットアップされた会見の日は21日(月)夕とのことだったので、再び大勢で集まって待っていたら、州/連邦スタッフの連絡行き違いとかで、すっぽかされてしまった。そうしてようやく翌日の午後、この会見が実現したのであった。職場を抜けられない人も多いので、日中の会見は避けてもらいたかったのだが、仕方がない。それでも50人近くのメンバーが駆けつけた。元々こちらから申し込んだ会見ではなかったし、何度もすっぽかされるたびにウエルカム・ギフトは減っていき(笑)、かろうじて数点のレイを頭と首にかけてもらえたモリ大統領(右)とミクロネシア連邦駐中国大使(左)。
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このグループのミーティングには「村の集まり」の延長のような雰囲気があって、男と女、年長者の若者、それぞれの格や序列を、アウンの呼吸で察して座り分ける。あまり数のない椅子には年長の男たちが座り、女たちや若いのは、床の上にダンボールの空き箱を座布団代わりに着座する。しかし発言の機会はすべての参加者に平等に与えられており、床にちんまりと座りこんだおばあちゃんでも、一座を震撼とさせる名スピーチをしたりする。

いつもはほぼヤップ語だけで行われるミーティングだが、今回はチューク人の大統領とポンペイ人(?)の駐中国大使のために、100%英語で行われた。年配者といえどもすでに戦後の教育を受けた世代なので、英語だって誰もちっとも困らないし、わたしにとってはわかりやすくて助かったし(笑)。

実は大統領との会見を受けるかどうかの話し合いが持たれたとき、多少の反対意見や心配もあった。もし実現したらヤップ島とそこに住む人々の暮らしを根底から変えてしまうであろうこの開発計画は、一部の関係者以外、経緯をまったくウヤムヤにしたままで受け入れがどんどん進められてきた。去年の8月、ようやくヤップ州議会が、州知事を含む州執行部との公開ヒヤリングを持ってくれて、州知事以下ヤップ州の執行部が密かに進めていたETG(中国の開発屋)との協力投資合意(Cooperative Investment Agreement)案に、かなりの改定を加えるように注文を出した。そして改定を加えた案は、再び州議会のチェックを受けることになっていたはずなのに、そのプロセスがウヤムヤのうちに、8月11日、おりしもプライベート・ジェットで訪島していたETGの大ボス、鄧鴻(Deng Hong)氏にせっつかれてか、ヤップ州知事は、ヤップ州の人々にとって不利になる落とし穴だらけの合意書に署名してしまった(pdfはここここで読めます)。そういうヤップ州政府の不透明な動きが、そもそもConcerned Citizens Groupが立ち上がるきっかけだった。
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8月末に再び開かれた州議会での公開ヒヤリングでは、州知事のリコール運動をするぞ!という発言者も出て、それに州政府側がおびえたのか、このヒヤリングのラジオ再放送が中止されるという騒ぎも起きた。しかし...権力を持つ側の意向に反対するあらゆる運動に見られることだが、「モノゴトをあまり考えない連中」や「ほんとうの情報に疎いものたち」を、権力側は甘い言葉で釣り上げて、「中道派」グループを作らせる。そして、それから繰り広げられるのは、「キリッと反対派」への人物破壊(キャラクター・アサシネーション)プロパガンダと、メディア操作(「中道派=実はETGウエルカム派」は公共ラジオ放送使用が許されるのに、「キリッと反対派」は完全に締め出し)による、人心のかく乱だ。そうして家庭内も、コミュニティの中も、職場も学校現場も、人心が分断されて、人々は疑心暗鬼で暮らさざるを得なくなった。

この日、大統領との会見は延々と3時間以上にも及んだが、人々の話を根気良く聞くポーズを取りながらも、大統領の口からは、「またすぐに感情的になって...」とか、「好き嫌いで国や州の将来を決めてはいけない」とか、「いったい、あなた方の何人が、実際に合意書を読んで理解してるの?」とか、ポロポロとお決まりの人物破壊プロパガンダのフレーズが繰り返し出てくる。あちこちの村から駆けつけた大勢のおばあちゃんやおっちゃんたちが、弁護士の解説を受けながら19ページにも及ぶ「合意書」を読みこなしていることを、大統領は知らない。

しかし、そのような大統領発言のうちにも、逆説的に利用させていただけるものが少しはあった。いわく「もちろんマジョリティの意向に従うつもりだ」とか、いわく「登記されていない土地の賃貸契約は成立しない」とか。は~いはい、それじゃ、わたしたちがマジョリティになって見せましょ!、土地登記のための測量を見張りましょ!ちなみにヤップ島では、測量されて登記済みの土地は1割にも満たない。

大統領のほうから時間の延長を希望され了承されたものの、上記のような応報の繰り返しで大方の人があきれて飽きまくったころ(笑)、ようやく前もって用意されていたレターが手渡され、3時間以上に及んだ会見はお開きとなった。

その夜、友人を見送りに空港に行ったわたしの目の前に、大統領と駐中国大使を乗せた車がやってきた。大統領の搭乗手続きは護衛警官がするが、外交官の駐中国大使は自分でチェックインに並ばなければならない。荷物やパスポートを警官に手渡した大統領は、すぐにまた車の中に「お隠れ」になった。駐中国大使のほうは、同日の午後に3時間以上も一緒に過ごした(反対派の)人々が何人もまわりにいたのに会釈をするでもなく、ETGウエルカム派の人たちとだけ、にこやかに談笑なさっておられた。ずいぶんとわかりやすい人だなあ...(笑)。ところで大領領のほうは...とうとう搭乗ゲートに入る時間がくるまで、ずっと車の中に「お隠れ」になったままだった。ヤップ空港にはVIPルームなんてないしね。

というわけで、大統領のお言葉に沿うべく、ヤップのサイレント・マジョリティの底力を結集するために、今後も草の根トークを続けていこう!と、グループの面々はあらためて心をひとつにしたのであった。大統領へ手渡したラブレターには、そういうヤップ人の心意気がよくあらわれているから、ぜひ読んでみてね。

ヤップの草の根運動をお手伝いしながら、わたしの心はいつも、日本の将来を少しでも良くしようと何かをしている人たちのことを思っている。そしてヤップの小さな活動を通して、やはりネットや口先だけでは、ぜったいに何事も変えられないんだなという思いも強まった。インターネットは情報を得たり拡散する場であって、あとは外に出て、行動を通して、思いを同じくする人々とつながっていかなきゃ...。そうすると、きっと変わってくるよ、自分もまわりも!You must change to remain the same!


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最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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by suyap | 2013-01-24 22:35 | ヤップの開発問題(ETG)
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