満潮の2時間前という絶妙なタイミングで、航路標識のあるウォネダイ水路の入り口を潜った。
外洋のブルーに抜けた海水がゆるやかに流れこみ、透明度は抜群。水深15メートルの海底には航路標識に取り付けてあった梯子が落下しており、Jくんが仔細にそれをチェック中。この梯子にかぎらず、あたりには19世紀からのいろいろな船や構築物の残骸が散在していて、透明度に恵まれれば、生物ウォッチング以外に、それらを探索する楽しみもある。
そして、水温27度の流れに乗ってず~いとそのまま水路に入っていくと、あれれれれ~、
つ~きの~♪
砂漠を~♪
は~るばると~♪
思わずこんな歌を口ずさみたくなるような、不思議な光景が延々と連なりはじめた。とくに今回のような透明度が良いときには、よけいに荒涼とした風景に見えてくるなあ。
ここは1992年に、日本のODAで水路の入り口が掘り広げられた場所なのだ。もともとの水路だったところが幅10mから20mほど、きっちりと水深10mから15mほどに掘りそろえられていて、掘削されたサンゴの礫は水路の深場へと急なスロープを描いて堆積している。
いつ潜っても、このあたりで大きなサカナを見かけることはほとんどないし、いまだにサンゴが成長する兆しもないのだが、小さな礫にへばりつく藻やカイメンにつく小さな生物を観察するには、また別の意味で良い場所ではある。上の写真は礫面についた藻をついばむ(?)
ソメワケヤッコと
ヘラルドヤッコ。
ちょっと遠くて無理かなと思ったけれど、あてずっぽうでシャッター切ったら、なんとか入ってました
ゴシキイトヒキベラちゃん。ヤップではふつうに見られるのだけれど、動きが速くてなかなか良い写真を撮らせてくれないシャイなやつ。
「そんならオイラはどうだい?」と、ポツンとあらわれた
ミナミハコフグくんは、なんだか寂しそうに見えたけど。こんなところでは、食べるものを捜すのも大変じゃない?うっかり迷いこんでしまったのかしら...と、少し心配してあげた。
こんな光景が延々と200mほど続いたあとで、ようやくちらほら魚影が増えてきた。ここまでくれば、フエヤッコダイのカップルも、ゆったりと安心して泳いでいる。ちょっと泳げば、サンゴがたっぷり生きているリーフにたどりつけるもんね。
そして人工的に掘った場所がほぼ終わりかけるころ、突然、わ~っと魚影が濃くなった。まるで「月面からの帰還」、「荒涼から豊潤へ」といった感じの変化だ。
こんな場面を見るにつけ、どんなところでも、生物は環境に正直だなと思う。ニンゲンの恣意的なゴマカシは、自然環境では通用しない。そして不注意な自然破壊のしっぺ返しは、近い将来、かならずニンゲンに還ってくるのだ。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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