数日前の早朝、桟橋の前の大きなゴムの木の前で、チョメさんがしきりに上のほうを見上げていた。
「なに見とるん?」
「あの白い鳥が見えるか?」
「えっ、どこどこ?」
そこへJくんもやってきて、
「あっ、いたいた、あれは
マチイチだ!」
10m以上はありそうな高い梢の上にちょこんと座っている白い鳥を、わたしの目が捕捉するまでにはけっこうな時間がかかったけれど、チョメさんとJくんにあきれられながらも、なんとか見つけることができた。いったん場所がわかって目が慣れてくれば、それ以降は難なく見つけることができる。それにしてもチョメさんて、なんでこんなに
野鳥を見つけるのが上手いのだろう?
ヤップ語では
マチイチ(Mächiich)と呼ばれるこの鳥は
シロアジサシ(
Gygis alba)で、日本でもたまに迷鳥として見られるらしいが、本来はミクロネシアを含む太平洋の島々のまわりに生息する海鳥だ。
「身体は白いのに肉は黒いんだよね」とJくん。
「
ガプルエンリグール(クロアジサシ/ヒメクロアジサシ)のほうは、身体は黒いのに肉は白い」とチョメさん。
「ちょっとちょっと、あんたたち、いったい何の話をしてるのよ。この鳥を食べたら許さないからねっ」...
Jくんのバスケットの中に入っていたパチンコのことを思い出して、すごく心配になったわたし(笑)。
それ以来、ここを通るたびにシロアジサシの無事を確認しつつ、ときどき写真も撮るのが日課になった。しかしカメラ機材は手持ちのポケデジしかないし...野鳥撮影にはトンデモなくプアな環境なのだけれど。
あるとき、番(つがい)のもう片方がフワリと飛来した。
「腹が減ったんじゃないか?そろそろ代わってあげよう」
「あたしはまだ大丈夫よ、suyapがウザイほど見上げているから、交代はまたあとにしましょうよ」
どうやら子育ての最中らしい。それにしても近くにもっと太い枝があるのに、なんでまた、こんな細い梢を選んで卵を産んだのだろうね。
真っ白な全身に、黒い目だけが異様に大きく見えるのは、目のまわりの毛だけが黒いのだそうだ。一度に産まれる卵は一個だけ、孵化には数週間かかるという。この美しい鳥たちを、もうしばらくの間、眺めることができるかも。
このところ、このゴムの木の樹勢が衰えていて、あれほど濃い緑の葉に覆われていたのが、ついに空が透けて見えるほどになってしまった。だから鳥たちも以前ほどには
巣をかけなくなったのではないかと心配していたら、今まで来たことのなかった
シロアジサシがやってきた。この現象をもたらした原因が、彼らがいつも産卵していた別の場所の木々が、なんらかの事情で破壊されたせいでないことを祈る。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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