ヤップ島ではきのうが日本的に言うと事実上の「御用納め」で、きょうから年末年始大連休第二段に突入している。本来は土日と火曜日の元旦だけが休みなのだが、州政府も議会も早々「月曜も休みにするよ!」と宣言し、おかげで島唯一の公共交通であるバスも休みなので、バス通勤のG嬢もあおりでお休みということになった。やれやれ...
さて今回は、島内観光中にダメ元で訪れた空港内のエアポート・レスキュー消防隊の施設に、「ジャパニーズ・ファイヤーファイターが見学したいと言っている」と申し入れたら、思いがけずスンナリと入れてもらえたので、その写真を公開しよう。週に2日、しかも深夜から日が昇る前の時間帯のみに、上りと下りの2便ずつ、トータルでも週にたったの4便しか航空機が離発着しない空港施設内に、普段は関係者以外が立ち入ることはできない。
ところでこの施設、2006年に米軍が太平洋地域の新戦略を出して以降に、急遽、
米連邦航空局(FAA)がミクロネシアの各島に建てたものだ。施主はFAAだけれど、日本円にして8億円近くかかった建設費は、「米軍から出てるんだよ...」と、ヤップ島内では囁かれている。
戦後60年以上も、空港消防施設もない場所に米国民間機を離発着させておいて、米本国が金欠病にあえぐこのご時世になって何をいまさら...という疑問は、太平洋のフロントを朝鮮半島-沖縄-台湾-フィリピンから、マリアナ(サイパン・テニアン・グアム)-ヤップ-パラオまで引く...という米軍の新戦略から見れば、すんなりと理解できる。ミクロネシア各島に、有事にいつでも米軍機を降ろせる準備というわけだろうね。
やれ普天間の代替施設が必要だの、辺野古移転が進まないと普天間はいつまでも存続するだの、これ、み~んな嘘。米軍は沖縄を米軍兵の「リゾート地」として持っていたいだけで、戦略的にはすでに米軍はミクロネシア・ラインに引いてます。あとは、いかに日本から金を搾り取るか、それだけが目的よん。
さてヤップのこの施設、いまだにFAA+米軍の管轄下の施設だろうと思っていたら、オペレーションはヤップ州に移管されていて、スタッフもみな州の職員とのことだった。だから、わりとイージーに入れてもらえたのだろう(笑)。
週2日の飛行機が下りる時間帯(深夜から早朝)以外の、月曜から金曜までの日中、7人のスタッフが機器の整備、自己研修(米本国のFAAのみならず世界中とビデオ会議できる会議室もあった)、フィジカル・フィットネス(館内には半端なフィットネス・クラブ顔負けのような設備があった)にいそしんでいるというけれど、実際にスタッフさんを見た感じでは、と~ってもリラックスしてくつろいでおられるような...(笑)。
それでも、まわりには日本のホンモノの消防士さんが「日本や世界の空港レスキューと同じです」と言われた化学消防車(?)が3台もあった!運転席にはすんごい機器がたくさん積んであって、どこに「人間」(黒こげになってても)がいるかも、モニターでわかるのだそうだ。
フロアに乱雑に消防靴(?)が転がっていたので邪魔だなあと思っていたら、これは、いつでも出動できるようにわざと「置いてある」のだとか(↓写真左)。
その傍のコンテナの中も開けて見せてくれた(↑写真右)。中にはレスキュー用の資材がぎっしり、こちらも「日本の空港にあるのと同じです」と、日本の消防士さん。
よほど退屈していたのか、日本とヤップの消防士さん同士で意気投合したのか、チーフみずから館内設備をひととおりまわって見せてくれた。で、思わず笑ってしまったのが、↓この↓降下棒(って言うんでしたっけ?)、昔の日本の消防署にも必ずあって、ときどき寝ぼけた消防士さんが落下したものだそうだけれど、さすがに今の日本の消防署からはほとんど姿を消したとか。ヤップの「最新消防施設」にこんなものがあろうとは...と、日本の消防士さん。
上写真の右側が、諸々の施設のある事務所棟で、2階の滑走路に面した部分が、離発着モニタリング室になっている。この施設が出来るまでは、まったく見通しの利かない航空会社の事務所の無線機で、航空会社の職員が離発着するパイロットと交信していたのだが(わたしもそれを目撃するチャンスが何度かあった)、この施設ができてからは、とりあえずモダン機器に囲まれた見晴らしの良いモニター室から、パイロットと交信できるようになった。しかし、ここはまだ「管制塔」ではないそうだ。
あまりにフレンドリーな若いエアポート・レスキュー&ファイアーのチーフに、日本の消防士さんは最後のお願いをされた。「消防車を外に出してみていただけますか?」
聞いていたわたしのほうが、「そこまでは...」と驚いたけれど、チーフ氏、なんの躊躇もなくスタッフに出動準備を命じた。
人っ子ひとりいない滑走路の傍に、デ~ンとたたずむヤップの化学消防車。「わ~い、きょうは青空の下に出動できて、うれしいな~」とつぶやいていたような...(笑)。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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