白パン・白米食に加えて、インスタント食品やファーストフード、菓子類など柔な食品ばかり氾濫した結果、ここ数十年で、ずいぶん日本人の顔つきが変わってきたそうだ。国内でダイビング用のマスクを作っている会社では、そういう日本人の顔型の変化に合わせて、マスクの型を微妙に変えてきた。
ヤップでも最近、若い世代の芋離れ、ローカルフード離れが取りざたされている。しかし上のようなスナックがポロンと店に並んでいるところを見ると、まだ大丈夫!と思う。中身はブオイ(タイヘイヨウカシグルミ)の実とコプラ。ちゃんと家の手伝いをしながら育ったヤップ人なら、誰でも作れます…というか、本来はそういう作業をしながらつまむ「おやつ」だった。
成長すると20m以上にもなるマメ科のブオイの木。その実は固い殻に覆われているので、強火で1時間くらい炊いたあと、蛮刀でエイヤッと割る。あるとき指をブチ切りそうになって以来、わたしは二度とこの作業には手をだせなくなったが、ヤップでは子供の仕事だ。
もうひとつはコプラ(ココヤシの完熟した実)。これも厚くて固い外殻を剥くには、蛮刀か、そこら辺にある棒をナイフで尖らせて地面に突き立てたものを使う。ヤップでは日常作業で、男子たるもの、テキパキとこれが出来ねば、「オマエはほんとうに男か?」と言われてしまう(笑)。
外殻を剥いたコプラは、これまた固い内殻に覆われているので、またまた蛮刀の登場だ。無ければ石でも割れるけれど、切り口がギザギザして汚くなるし、柔な石では石のほうが負ける。というわけで、今でもヤップの暮らしには、大きな蛮刀、中くらいの蛮刀、小さな切り出しナイフ、この3点セットは必需品だ。どこの家にも、誰の車の中にも(わたしの車にも)、日ごろ持ち歩くバッグの中にも、必ずよく研いだ刃物がそろっている。イザというときに使える刃物を持っていないと、「アンタってば、ほんとうにヤップ人?」とジョークを言われる(笑)。
こうして取り出したブオイやコプラの実も、それからいろんな料理に加工されていくのだけれど、そういう手間隙かける料理は「おひとりさま分」なんかじゃなくて大量に作るから、素材(ブオイやコプラの実)も大量に必要だ。そんなときに、役得で「つまむ」のですね。あるいは「あまり」をおやつにもらう。
もちろん、どこか(ジャングルの中のガーデンとかね)の出先で小腹が空いたときには、落ちているブオイの実を拾って焼き、コプラを割って食べただろうし、嵐で海にも田んぼにも出られず食料が枯渇したときにも、保存が利くブオイやコプラは大活躍だっただろう。
このブオイとコプラのコンビは、伝統的にはそんな位置にあったのだけれど、いまだにローカル・スナックとしての位置を失っていないところが、ヤップ人の強みだ。両方とも固いから、よく噛みしめないと味も出ないし飲み込めない。ヤップ人が欧米製のマスクよりも一昔前の日本製のマスクを好むのは、こういう噛み噛みによって培われたエラの張った顔のせいに違いない。食べ物は大切ですネ!というわけで、いきなりマイ教訓を陳列して今回の記事はオワリです(笑):
1) 噛めば噛むほど味が出る食べ物こそがホンモノ!
2) ホンモノの食べ物を取れば、ホンモノの言葉を持てる!
3) 言葉は言霊、ホンモノの言霊はホンモノの食べ物に宿る!
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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