天気予報よりもやや早く、ヤップ島の上空をおおっていた厚い雲が西に移動したので、雨は少なくなったけれど、きのうはまだ南西の風が15ノットくらい吹いていた。そんな中で「ぜったいにマンタが見たい!」というゲストを抱えて、はて、どっちの水路にいくべきか...なかなか判断が難しい。
南西の風が吹きぬけているミルチャネル側は、風波が強くてボートもかなり揺れるだろうし(風波だから潜ってしまえば静かだけれど)、透明度もあまり期待できそうにない。したがって海況的にはゴフヌーチャネルのほうが圧倒的に良いのだが、こっちは最近、マンタの出具合が...あまり芳しくない。う~んと迷った末に、マンタの出現率にかけてミルチャネルで潜ることにしたら、2ダイブとも7匹のマンタが切れ目なく出てきてくれて、大正解だった。
マンタよりも頭を低くして、石のごとくじっと動かず、マンタがやってくるのを待ちましょう...なんてブリーフィングしても、写真のように、マンタのほうから目線レベルでアプローチしてきたら...どうしようもない。とくに潜っているダイバーの数よりもマンタのほうが多いときには、いったいどっちが「ウォッチング」しているんだか、されているんだか...最近マンタ界ではニンゲン・ウォッチングが流行っているという(苦笑)。
ところで、マンタの目は大きな口によって左右に離れた頭ヒレの横にちょこんとついているので、顔(?)の真ん中にあるものは、どうやら見えてないらしい。あるとき細いアンカーロープを入れて夜釣りをしていたヤップのおじいさんの小船が、風向きや流れに逆らってぐんぐん動き出したので、びっくりしてアンカーロープを引き上げてみたら、マンタが頭ヒレの間に引っかかったロープをパニクりながら押していたそうだ。
そういうわけだから、マンタのニンゲン・ウォッチングでも、彼らは片目ずつでアプローチしてくるわけだ。そんなマンタの優しげな大きな目に見つめらて、「ぜったいマンタが見たい!」というちっぽけなエゴが、どうか溶け去ってくれますように。
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