5月の最終週から6月の第一週にかけて、ヤップの幼・小(中)・高の各校では、卒業式が盛大に行われる。現在ヤップ島にある高校は3つになったが、2年前に出来たばかりのカソリック・ハイスクールにはまだ卒業生がいないから、卒業式を行ったのは
セブンスデイ・アドベンチスト教団経営のSDA高校と、
公立のヤップ・ハイスクールの2校だった。
その誕生の直後から身近に成長を見ている2人の男の子が、今年それぞれの高校を卒業するので、わたしもチラッと彼らの卒業式に参列してみた。
6月7日の木曜日はまずSDA高校の番。こちらは月々80ドル以上も学費がかかる私立校なので、今年の卒業生は男子5人と女子7人の計12人と生徒数は少なかったが、それでも会場のコロニアのコミュニティ・センターには、父兄や近縁・遠縁、それにわたしのような友人関係も合わせて、500人くらいは集まっていたように思う。
この日のミーティングよりも断然多かったことは確かだ(笑)。
教会経営の学校なのでお祈りの場面もあったし、また2001年の9.11以降、アメリカの影響を受けてかヤップでも式典に「国家斉唱」が取り入れられる場面が多くなり、ここでもそれが行われたが、わたしを含めて参列者の半数は起立するわけでもなし、胸に手を当てるわけでもなし、またそれを咎められるわけでもなし(笑)。そういうところが、まだヤップはのどかで素晴らしい!
人数が少ないせいもあり、この学校では毎年ひとりひとりの卒業生が父兄に感謝の言葉を述べる時間を設けているが、今年のそれで最初に立った女の子が、何故か大泣きのスピーチをしてしまった。するとその後、なんと7人の女子全員が、壇上で涙のスピーチを繰り広げるという事態が起きて、つられて多くの参列者もおもわず涙ホロホロ状態に(笑)。男の子たちはさすがにそこまではいかず、サラッと済ませてしまう者が多かったけれど。
8年生までこの学校で過ごしたG嬢に聞いてみたら、「That's unusual!...ありえないわ~、きっと最初の子がナーバスになり過ぎて、みんな引きずられちゃったんでしょ...あたしの卒業式のときなんか、暑くて眠くて...居眠りばかりしてたわよ」だって。まあこのシーンのお陰で、高校でも、そのあとの学校でも、卒業式なんかクソ喰らえ~と身勝手にトンズラして、親の恩を省みもしなかったわが身を、ちらと反省させていただきましたです(笑)。
ところでG嬢の「暑くて...」という感想、確かに...。この日のために、数十ドルもするガウンと
スクエアー・キャップをオーダーで取り寄せて着るのが、イマドキの高校卒業式の流行でありまして...(アメリカの真似デスネ)。2時間近くに及んだ式典中、ひな壇に並んだ卒業生たちもほんとうに暑そうだった。それでも、ひとりひとりディプロマ(卒業資格)を手渡され、
キャップのタッセルをかけかえてもらうと嬉しそうで、壇上での記念撮影のあとは、
ヤップ高校の卒業式同様、親族友人関係者一同から、盛大にレイをかけてもらう儀式が延々と続いていた。少数精鋭のこの私立校の卒業生のほとんどは、島外のカレッジに進学する予定だ。
その翌日の6月8日(金)は、公立のヤップ高校の卒業式だった。こちらの卒業生は140人近くいるので、前日と同じコミュニティ・センターの会場は、内も外も人であふれ返っていた。
州立の学校であるこちらは、州知事などエライさんのスピーチが前半に延々と続くのがわかっていたので、式次第の2/3くらいが終わったであろう頃合を見計らって会場に行ってみると、ちょうど生徒ひとりひとりが壇上に上がってディプロマをもらった振り(笑)をした直後だった。G嬢いわく、卒業資格を取れる点数には至らないけれど出席数を満たしていればもらえる「終了証」の子も混じっているから、ホンモノの証書は式が終わってから受け取るのだそうだ。
どおりで...タッセルが右だったり左だったりちゃらんぽらん...どころか、キャップの位置が後ろすぎて四角面が垂直に立ってる子も多く...あれっ、男子のほとんどはキャップもガウンも着用していないのはどうして?
あとでわかったことに、採寸までしてオーダーしたキャップとガウンが期日までに届かなかった子が半数近くもいたのだと。「生徒からお金を預かって注文したフィリピン人の先生のせいよ!」「だいたいフィリピンの安物を注文するからこんなことになるんだわ」「うちの子のは届いてないのよ。絶対にお金を返してもらうわよ」...と、卒業式が始まる前の会場は父兄の小言で紛糾し、なんと開会が1時間近くもずれ込んでいたらしい。そこで窮余の一策として、受け取れなかった女子に男子は衣装を譲り、女子全員がガウンとキャップを着用、残りをわずかな男子で分け合う...ということで落ち着いたらしい。なるほど、それで男子の中にはガウンだけやキャップだけの不思議な出で立ちの子がいたわけだ。可哀想だったのは、ガウンを羽織るつもりで下の服装を色物の普段着で来てしまっていた男子...ちょっとイジケルよね。ま、卒業式なんて、ただの行事だからドント・マインド!
ひとつ感心したのは、手話通訳の先生(矢印)が配置されていたことだ。ヤップ・ハイスクールには選択科目として手話の授業があり、また聾唖者の生徒も受け入れている。彼らのほとんどは読唇術をマスターしているが、こういう大きな会場では、手話通訳の助けが必要だ。
そしてヤップ高校の卒業式の締めは、もちろん盛大なレイかけ儀式。生徒も参列者もとてつもない人数がごったかえす中、卒業生たちの顔はどんどんレイで埋もれていくし、身近な身内ですら、うちの息子はどこ?わたしのイトコはどこ?と、あちこちで聞きあう声が飛び交っていた。
そんななかで、わが愛しのFくん、ボクここにいるからね~と、ちゃっかり飾りつけの風船をゲットして立っていた。キミは「ガッコウ」のお勉強を続ける気持は今のところないようだけど、そのユニークさを大切にすれば、きっと素敵な将来を切り開いていけると、オバサンは信じているよ!
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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