戦前、日本統治時代に出された絵葉書が、「昔・南洋群島・今」(南洋群島協会1985年第2版)に所蔵されている。そのうちヤップ島とヤップ州離島と思える2点は、いずれも
布施信太郎作だ。当時の人々の暮らしが暖かいタッチで描かれている。
ヤップ島のスケッチより:
布施信太郎の年譜によると、1935年(昭和10年)に「南洋諸島へ1年余旅行」とあるので、上の画はそのときのスケッチを元に描かれたものだろう。古き良き時代のヤップの、典型的な若夫婦の「家」とその家庭風景。奥に見える立派な家は、男の両親の母屋だろうか。当時からすでに平板木材を使った高床式の簡易ハウスが建てられていたのにはびっくり。今見られるものより窓が広くとってあり、家の中も明るくて頑丈そうだ。考えてみたら完全にローカル素材オンリーに徹しない限り、今の家づくりはアメリカ式の4フィート X 8フィートという規格に縛られてしまうせいかもしれない。
ちなみにティーンエイジャーのヤップ男子は、今でもこういう簡易ハウスを同世代のキョウダイや友人の力を借りて自力で「建て」ます。まあ...いつまでも親の家でごろごろしてて独立しない/できない男子も増えてはいるけどね(笑)。
パンの實を焼く:
同じく作者の年譜によると、同様の名前の画が1940年の第3回壁画会展に出展されている。女たちの衣装からヤップ州の離島、あるいはヤップ州離島の住民が多く住みついたサイパン島の風景かと思われる。右端の子がブラウスを着ているところからするとサイパン島である可能性も高い。それであっても彼女らはチャモロの女たちではなく、今はヤップ州となっている離島に出自をもつカロリニアンの女たちである。
現在でもヤップ州離島では同じような風景が続いている。そしてわたしがこの画を見てウ~ンと思ったのは、右下に転がっている蛮刀!今とまんま同じ形...もしかして同じメーカー?(笑) 蛮刀は今も小さい子供のうちから使いこなす島暮らしの生活必需品、わたしだって大小そろえて持ってます。
こうしてみると、70年の月日をもってしても変わらないものは変わっていない暮らしと...たかが2~3世代のうちに切り捨て変わり果ててしまった現代ニホンの暮らし...どっちが安心で豊かなんだろう...って思いませんこと?
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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