先週の金曜日、
ヤップ婦人会のマーケットで買ったバスケット一杯の
アビッチ(
Crateva speciosa)、ようやくすべての実が完熟となった。
これから料理する前に、木なっている
アビッチを古い写真でご紹介しよう...
ギョボクの仲間である
アビッチには標準和名がないようだけれどミクロネシアでは一般的な潅木で、ヤップ島でも民家の庭先や田畑の隅、あるいは野原の端などでよく見かける。ちょっと前まではバナナやパパイヤ同様、よく食された果物(というか主食の一種)だったようだ。
台風の高波が押し寄せて陸上の植物が全滅したあと、先を争って生えてくるのが
アビッチと
マガルウェグ(ノニ、和名はヤエヤマアオキ)だ。そういう生命力の強い植物だから、ニンゲンの身体にも良いのだろう。
アビッチも
マガルウェグ(ノニ)同様、さまざまな伝統医療に使われるメディスン・ツリーでもある。
しかし...いろいろな外来食料がいつでも簡単に手に入るようになった現代ヤップ人からは、いつのまにか
アビッチは見向きもされなくなった。「もっと伝統食品をみなおそう!」と病院を中心に掛け声がかかってはいるが、なかなか
アビッチを常食するまでには戻れず、一部の年配者などわずかな愛好者に食されているのみ...というのが現状のようだ。
←さてこれが完熟状態の
アビッチ、緑色から薄茶色に変わり軸をひっぱるとスーッと抵抗なく抜けるようになった。
アビッチは熟れるにつれて、なんともいえない強烈なニオイが発散される。その強烈さは
マガルウェグ(ノニ)のそれに勝るとも劣らず、なんというか...決して「芳香」という表現では表わせない「ニオイ」に、わがキッチンは一週間ちかく占拠されていたわけで...。
今までわたしはここまで熟れるのを待たず、まだ青くて固い実を何時間も何度も水を変えながら煮ていたのだけれど、
先週のヤップ婦人会で「ラック芋を炊くように」という方法を教わったので、今回はそうして炊いてみた。
軸を取りのぞいて洗った
アビッチを大鍋に入れ、かぶるくらいの水を入れて落し蓋をして強火で煮立て、それから中火の強くらいの火を保ちながら、水がほぼ引くくらい。小一時間くらいかかっただろうか。強烈なニオイはいつのまにか消えて、ほのかに甘いニオイが漂ってきた。
覚めてから
アビッチの皮を剥き、ブツ切りにして(かなり柔らかい)、再び鍋へ。
全部では多すぎるので、炊き上がった
アビッチの3/4は冷凍保存として、残りをこれからココナッツ・ミルクで煮るつもり。ブツ切りにしたのは味をよく染みこませるため。
あははココナッツ・ミルクを入れるプロセスを撮り忘れました。これじゃ上とほとんど同じような写真に見えるけど、←はいちおうココナッツ・ミルクで煮付けたあと。
ココナッツ・ミルクの扱いは味噌と同じで、投入後はあまりグラグラ煮ないほうがよろしいようで。
ジャジャ~ン、出来上がり!
火を通した段階であの強烈なニオイはほとんど消えていて、口に含んでもほのかな甘味がなつかしい味かも~♪ なんだけど...カボチャのような淡白な甘味ではなく、やはり強烈な個性です。美味しいんだけど、大量に食べられない、ほんの少しで満足...これって、最高のダイエット食品かも?
ちなみに完熟
アビッチの中には直径1センチくらいの胚芽(?)っぽいものが1個ずつ埋まっている。まわりの果肉は柔らかめのアボカド状で、どこに埋まっているかわからないところからヒョイと出てくるからおもしろい。
そして最後に
アビッチ食後の感想を:
空腹や味覚を満たす食品というより「命の食べ物」という感覚で、1日1個とか少量を大切にいただくのが、よろしようで。
年を取ったら1日に1個の
アビッチと、1個の
マガルウェグと、わずかなイモと青菜だけをとり、わたしは仙女をめざしたい(爆
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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