ブログトップ | ログイン

ミクロネシアの小さな島・ヤップより

suyap.exblog.jp

夕顔物語

あるローカル産物の店先に、長さ50センチもあろうかと思われるトウガンがズラリと並んで、まわりに圧倒的な貫禄を見せていた。
夕顔物語_a0043520_14551490.jpg

サルルス(thalruus)というヤップ語の名前があるにもかかわらず、なぜか今では日本語由来の「トウガン」のほうが通じやすい不思議な作物、トウガン。いったいどういう変遷をたどってヤップに定着したのだろう?ヤップでは家の庭先にごく普通に植えられており、スープの具やデザートとして、日常的によく食べられる。そんなトウガン・レシピのひとつを、↓過去記事からどうぞ↓:

クール・トウガン
http://suyap.exblog.jp/9524128/

それにしても、もらったり買ったりするのも丸ごと一個このサイズだから、大家族でもいない限り入手にはちょっと気合が必要で...^^
夕顔物語_a0043520_15104589.jpg

この日はなにかウリ科系の野菜が欲しくて立ち寄ったのだけれど、トウガンに手を出すまでの覚悟は少し足りず、カボチャは最近よく食べ続けていたので、無難なところでユウガオにした。上写真の左端に見えるのがユウガオ、真ん中の白い粉をまぶしたように見えるのはやや小さめなトウガンの一品種で、右端はもちろんカボチャです。

ところでヤップではユウガオのことはユガワと呼ばれており、これは明らかにユウガオからきた日本語由来で、他にヤップ語系の名前は無いので、おそらく日本時代に持ち込まれた作物なのだろう。そんなユウガオには実の丸い品種と長い品種があるけれど、もちろんヤップでは干瓢に加工するわけでなく、両方とも同じように料理して食べている。丸いのも長いのも、トウガンよりも実がしっかりしていて煮崩れないので、いろんなレシピが楽しめる。

夕顔物語_a0043520_1456313.jpgそれで今回はこのユウガオを、まだたっぷりと冷凍ストックのあるタカセ貝と炒め煮にしてみることにした。

まず長いユウガオを横に三つに割って...う~ん、固い!(笑)

普通の台所包丁では手におえず、蛮刀を取り出してエイヤッ。さすがに、ユウガオがヒョウタンと同一種(Lagenaria siceraria)というのも、この皮の硬さなら納得できるなあ。それにしてもこの実、熟らせ過ぎだよぉ(笑)。

夕顔物語_a0043520_14565086.jpg夕顔物語_a0043520_1457667.jpg
もうかなり熟しかけていたので、種と皮を取りのぞくと歩留まりがけっこう悪かったけれど、それでもしっかりと果肉を確保、解凍したタカセ貝も同じ大きさのぶつ切りにして...。

鍋にやや多めの油を熱して、ショウガのみじん切り少々とタカセ貝をまず炒め、そこにユウガオも加えてざっくり炒めたあと...。

夕顔物語_a0043520_14572490.jpg...わたしの料理は、作っている最中に、よく思いつきで変更されまして...今回もはじめは順当にしょうゆ味をと思っていたのだけれど、材料を炒めているうちに、突如、そうだ、アレを使おう!とひらめいて...。

そしてアレとは、わがお手製の(しょうゆの実)もろみ味噌!日本へ行ったとき買いこんできたしょうゆの実こうじを、ちびりちびりと作り置いて楽しんでいる。なんたって発酵生活驀進中ですから(笑)。

それで、あらかた火の通った材料の上に、お手製の(しょうゆの実)もろみ味噌をちょこんと乗せて蓋をして、火を弱火の強くらいにして...。

夕顔物語_a0043520_1458138.jpg約15分後、わくわくしながら蓋を開けて混ぜ合わせてみると...う~ん、たまらなく良い匂い、お味も大成功!!!

実はタカセ貝と、(しょうゆの実)もろみ味噌の相性の良さは、すでにバナナの花との炒め物でも実証済みで、今回はそれがユウガオとでも成功したというわけで、まずはめでたしめでたし、日本ならトコブシとかアワビとでも、きっと合うと思います(笑)。

ところでユウガオを食べて中毒するケースが、ごくわずかだけれどあるとか。原因はウリ科植物に特有のククルビタシンという苦味成分らしく、それはゴーヤの苦味成分でもあるのに、どうしてゴーヤは大丈夫で苦くもないユウガオで中毒が出るのか、わたしには理解できないけれど、とにかく「苦い」と感じたユウガオは食べないほうが良いそうだ。

幸い今までヤップのユウガオに苦味を感じたことはなく、誰かが中毒したという話を聞いたこともない。


最後までお読みいただき、ありがとうございました。
よろしかったら人気ブログランキング地域情報 & にほんブログ村海外生活ブログにクリックをお願いします。


ヤップのマンタ:
http://yaplog.jp/mantas/
ヤップ島あれこれ:
http://yaplog.jp/suyap/
ヤップ島の旅案内:
http://www.naturesway.fm/index2.html
by suyap | 2011-10-01 14:52 | ヤップの伝統食
<< 今の世の中、右も左も真っ暗闇じ... 晴れ間も束の間... >>