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ミクロネシアの小さな島・ヤップより

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マキ村の踊り

先週末とその前の週末、G嬢のマキ村で、「踊りの検分式」と「踊り上げ」があった。その間にはガギルデイという「踊りの本番」があったのだが、あいにく、わたしは他のツアーが入っていた見にいけなかった。だから、ここではDVDに撮った「検分式」と「踊り上げ」の様子を、並べて掲載しておくことにする。

まずは口開けの踊り、ティヨール(Täyoer)からスタート。これは「催し」のはじめに女たちが(ヤップの)神々に催しへの「加護」を、主催者側に「物」を、おねだりする踊りだ。
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今回の「物」的おねだりは、ココナッツ・シロップとキャンディ、ソーダ、ビスケット、コーンビーフ、大きなボトル入りのコカコーラ。「本番」では、女たちがこれらをおねだりしている最中に、それぞれ名指しされた提供者は、要求されたものを持って登場したはず(笑)、でも「検分式」や「踊り上げ」ではそれはない。

「検分式」では4歳になるG嬢の姪っ子のCちゃんも1フレーズを歌い、最後には列の先頭となって退場する役をもらっていたのだが、大勢の人を前にしてすっかり固まってしまい(写真上)、「本番」と「踊り上げ」(写真下)ではお役ご免となりポジションも交代されていた。、Cちゃんにはまだちょっと早すぎる役だったのかもね。
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みんなの前で踊るときには緊張してしまうCちゃんだけど、きれいなヤップの「着物」を着せてもらうのは大好きで、だから踊りの練習も嫌がらずに出ているとか。こうして小さいときから踊りに加わっているうちに、自然に仕草が身につくのだろうね。

さて次はシシヨール(Sisyoer)という父と息子の悲劇を題材にした、マキ村に古くから伝わる女の座り踊りで、これは2年前のヤップデイでも踊られたもの。その年のヤップデイの後、踊りは一度「上げられ」、今回のために、また数ヶ月前に「降ろされ」て練習が繰り返され、それが「検分」されて(写真上)、「本番」を迎えることになる。ヤップの伝統踊りは、この一連のプロセスを必ず経て踊られる事は、何度もこのブログで書いてきたとおりだ。
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今回、このシシヨールともうひとつの座り踊りには、G嬢と彼女の一番下の妹も加わっている。それでも前回に比べて、年配女性の数がやけに少ないのは...村内のいろんな事情があるようで、今回の踊りに加わらなかった村の女性たちからは、こういうセレモニーのときにパンや飲み物の「お詫び」が提供されていた。
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そして「踊り上げ」では、お決まりの「鳥の餌」提供が踊りの前に行われる(写真上)。こうして再び「上げて」しまった踊りは、次の機会に「降ろされる」までは踊られることはない。

最後の踊りはウリヤン(Wulyaeng)という女の座り踊りで、上のシシヨールの悲劇が起きた地に建てられた、アメリカ沿岸警備隊のロランタワーにまつわるストーリーだ。
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シシヨールが非業の最期を遂げた地(そのシシヨールの物語はヤップの民話として近いうちに書きます)で今は無人のライ(Laey)村に、太平洋戦争後に入ってきたアメリカが巨大なタワー(ウリヤン)を建て始めた。マキ村やソル村など近隣に住む人々は、その工事の騒音を恐ろしく感じ、「きっとシシヨールの怨念が祟るに違いない」と思っていた。その後何年も経ってから、ついにウリヤンは倒され(注:ヤップのロラン基地が廃止されたので)、シシヨールの地に再び平穏が戻ってきた...。
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このウリヤンは「本番」で披露する予定はなかったのだが、村の若い女たちにこの踊りを継承する目的で、今回、シシヨールと一緒に「降ろされ」て練習されていた。それが「本番」を経ずして、とりあえずまた一緒に「上げられた」わけ(写真上)。こうして村の踊りが続いていくのは素晴らしいことだけど、若い彼女たちにとっては、毎夕数時間も続く練習に出るのは、かなりしんどいことでもあるようだ。昔とは生活様式も変わってきているからね。

G嬢の下の妹は物怖じせず声も良いので、今回、若い女の子ばかりになったウリヤンでは真ん中を務めていた。でもG嬢母が残念そうに言うには、「Gちゃんのほうがよほど踊りは上手いのよ。でもあの娘は性格が控えめだから、とても真ん中で声出して踊りを率いるなんて出来やしないし...」

なるほど、こうして姉妹を並べて見ると、仕草や目線、首の動きの優雅さではG嬢抜群、「うわ~、上手くなったなあ...」と、おもわず、わたしもうっとりとG嬢に見とれてしまった。


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by suyap | 2011-08-03 00:33 | ヤップの伝統文化
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