一昨日から書きかけては途切れていた記事を、今夜こそ仕上げなきゃ...
7月30日土曜日、まだときおりパラつく雨の中、15歳のアメリカ人「戦跡オタク」少年とその家族を、ヤップの戦跡ツアーに案内した。バラバラになった残骸を嬉々として仔細に吟味する姿は、どこの国の「オタク」な人々も、みな同じですね(笑)。彼の母は小さいときに家族と一緒にアメリカに渡ったベトナム移民で、唯一、彼女だけが渋々息子についてきているって感じだったけど、白人の父親や17歳の姉も、けっこう熱心に眺めていた。
アメリカ人とベトナム移民の家族を、アメリカと日本が戦った果ての残骸に案内する日本人...シリアスに考えればかなりシュールな画だけど、ガイドのわたしにも、ゲストの側にも、これらの戦争のどちらかの側に立って残骸を眺める意識はない。目の前に転がっている年月を経た残骸とその裏にある多くの死に、淡々と思いを馳せながら、素晴らしいオタク的知識を開陳してくれる15歳君を暖かく見守るだけだ。それよりもオトナたちの関心は、直近に迫ったアメリカの運命の日=8月2日のほうに向かいがちで...まあ今日のニュースでは、オバマ政権と米国議会は、また欺瞞的赤字削減策で合意して、破綻の先延ばしをしたようだけど。
それはともかく、もうひとつの話題は、とうぜん「フクシマ」のこと。実はこの家族、この旅行中に日本への滞在も考えていたのだけれど、10代の子供たちのことを考えるとやはり放射能が心配なので、成田乗り継ぎのとき、数時間だけ東京見物をするにとどめたのだとか。テプコ東電や日本政府の原発事故への対応を外国から眺めていると、「まだまだ安心して日本へ行ける状態じゃないな...」と思うのは当然のこと。これは風評被害とかの問題じゃなくて、現実に政府も東電も、信頼できない、アブナイ対応しかしていないのだから仕方がない。
ほんとうに日本に来てもアブナクないよと言いたいのなら、空疎な言葉を繰り返すのではなく、土地も、空気も、水も、食べ物も、ひとつひとつ細かく計測して隠さず発表し、アブナイもの(地域)から、人々の暮らしを、しっかり遮断する対策を実行して見せなくては駄目。臭いものに蓋をせず本気でやろうと思えば、これらはすべて今の日本の技術で出来ることらしいのに。
それなのに国民大衆は羊のように黙りこくり、あるいは危険を見て見ぬふりをし、国会議員にも問題意識を持っているのはごくわずか。そこで
児玉龍彦東京大学アイソトープ総合センター長の、国会議員を前にした熱血発表が広く話題になっている。
一緒にこちらの資料もダウンロードして読むと、もっと分かりやすくなります:
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児玉龍彦国会発表概要
http://www.slideshare.net/ecru0606/ss-8725299
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児玉龍彦国会発表詳細
http://www.slideshare.net/ecru0606/ss-8725343
また、上のYouTubeのリンクが切れたり消されたりしても、
こちらに全発言を書き起こしをしてくださっているので安心。持ち時間の制限を気にしてか、児玉先生はすごく早口なので、書き起こしも合わせて読むと完璧です:
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明日に向けて(208)放射線の健康への影響について(児玉龍彦教授国会発言)
http://blog.goo.ne.jp/tomorrow_2011/e/8f7f0d5f9d925ebfe7c57aa544efd862
東電だか経済産業省だか政府だかの邪魔で、
児玉龍彦の国会発表を載せたYouTubeがどんどん削除されているそうなので、念のため
カナダde日本語の美爾依さんが紹介されたこっちのリンク(英訳付)もご紹介:
http://dotsub.com/view/970ac7d2-c282-4d67-a7c6-e8fb978ba12f
そして質疑応答にも、たいへん重要な情報が:
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FAMASAKI.COM:児玉龍彦さん発言まとめ(質疑部分)
http://famasaki.com/japan/20110729105723/
以上、わたしはすべて「原発関連保存資料」としてファイルした。
もうひとつの注目は、「ふくいち」現場の「最高幹部」を取材した週刊朝日のスクープ。ふくいち現場の責任者が現実を語っています。以下、
立ち読み週刊朝日「談」より、部分コピペ:
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福島第一原発の最高幹部がついに語った【フクシマの真実:前編】
独占スクープ!!(週刊朝日2011年7月22日号配信)
http://www.wa-dan.com/article/2011/07/post-135.php
いま玄海原発の再稼働問題が取りざたされていますが、フクイチ(福島第一原発)の事故を経験した私に言わせれば、そんなバカなことはやめたほうがいい。玄海原発1号機の操業開始は1975年で、老朽化が心配。それに、現地はフクイチよりも地盤がやわらかいようです。正直、再稼働して大丈夫なのかと感じる。
◇◇◇
本当にとんでもないことになっていた。本社に電源車を頼んでいるような悠長なことではとても無理。自分たちで何でもやれることはやらなきゃ、もう爆発だと覚悟しました。すぐに車のバッテリーなど、原発内でとにかく使えそうなものを探させました。
◇◇◇
このあたりから「最悪のケースもありうる。海水も早い時期に決断せねば」と覚悟しました。メルトダウン(炉心溶融)も、ありうると思っていた。
◇◇◇
そもそも、あの時点で注水を中断するなどという選択肢はなかった。原子炉を冷やし続けなければ、爆発は時間の問題。私たちや作業員はもとより、周辺住民も被曝(ひばく)するかもしれない。「死」につながることになるかもしれない。原子力を少しでも学んでいる人間ならば、誰でもわかることです。そんなバカなことをするわけがありません。
当時、現場の意思は、「『総理が了承していない』なんて言っている場合じゃない。こっちは生きるか死ぬかだ。なりふり構っていられない」ということでした。
◇◇◇
「建屋カバー」は、なんとか台風の時期の前には設置したかったが、ちょっと難しい。作業は天候に大きく左右される。大きなクレーンで設置するので、少しの風でも作業に支障をきたしてしまうのです。それに、かぶせると言っても、爆発で建屋は左右対称ではなくなっているので、技術的にもなかなか難しい。
ちなみに、このカバー設置も本社の主導でした。ある幹部曰(いわ)く、「覆いをすれば、グーグルなどで原発の衛星写真が世界中に広がるのを隠せる」ということで、この案に政府も同意したそうです。カバー設置で放射線量の数値が劇的に下がることはないと思います。
◇◇◇
恐らく今後、年内に安定化できるかどうかが焦点になるだろうが、それは正直、厳しい。クリスマス、大晦日(おおみそか)、正月、ずっとフクイチで過ごす覚悟でいる。私は最後の最後まで、事故が収束するまで、ここを離れない決意です。作業員や協力会社の方々にも申し訳ないが、ご協力を頂きたい。
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福島第一原発の最高幹部が語る「フクシマの真実」後編
新工程表はデタラメ (週刊朝日2011年7月29日号配信)
http://www.wa-dan.com/article/2011/07/post-138.php
工程表には、細かい工事内容も書かれていますが、実際には予定されていたよりも1・5~2倍の時間がかかっている。「循環システム」設置だって、予定の1・5倍の時間がかかりました。本社の作った工程表は、あくまでも理想で、現実性は乏しい。
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さらに今後、この暑さの中で作業は困難になります。作業員たちの健康のため、いま工事は朝6時ごろから始め、午後2時ごろには終わらせている。こんな環境の中で、工程表どおりに実現させるのは難しい。それに、1~4号機はそれぞれ状況が違うので、予想できない事態もあり得ます。
19日に発表される新工程表でも、期日の修正はあまりないようです。というのも、期日については政府の意向が強く、政治的な責任問題が発生するとかで、なかなかいじれないらしい。結局、理想論を前提に、結論ありきでスケジュールをはめ込んでいるだけ。現場としては、国民に本当のことを知らせるべきだと思っています。
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また、4号機が危ない、1号機がダメらしい--などといろいろ言われますが、私から言わせれば、どれも危ない。工程表では汚染水の流出源についても、詳しく触れられていません。
たとえば、1号機は格納容器から漏れているようです。しかし、その場所が特定できない。穴の大きさもわからない。つまり、何もできない。安易にどれくらいで収束すると断言できないのです。
3号機では、1、2号機に続いて水素爆発を防ぐための窒素注入がようやく始まった。しかし、地下に大量の汚染水がたまって苦しい状況には変わりない。建屋内に入ることはできましたが、内部は飛散した瓦礫で埋もれていて、燃料プールの確認も大変な状況です。
3号機、4号機に共通していえるのは、建屋の強度に不安があることです。かなり崩れていて、作業中に上からコンクリート片が落ちてくることもあり、作業員も怖がっている。
特に4号機の燃料プールは、早急に手だてを講じないと危ない。4月の最大余震の際は「倒壊を覚悟した」と言う作業員もいたほど。すでに建屋の補強工事に着手し、作業は順調に進んでいますが、本格的な台風の季節の前に何とか対応したいところです。
2号機も、ひどい状況です。作業の間、汚染水があふれたり、漏れたりしないかとヒヤヒヤの連続でした。ただ、少なくとも配管などは爆発でやられていないので、1号機、3号機とはちょっと状況が違いますね。とりあえずは最悪の危機は脱出したと考えています。
最近でも、1~4号機の映像を中継している「ふくいちライブカメラ」を見て、「白い煙」が出ているとの指摘がありますが、あれは燃料プールの使用済み燃料が熱を持っているため、湯気みたいなものが出てそう見えるのです。プールから水が漏れているので十分に冷やせず、熱が下がらない。それで水蒸気が出る。もっとも、その「湯気」には放射性物質も含まれています。
◇◇◇
1号機が水素爆発を起こしたときは、もう目の前が真っ暗でした。ベントをしたのに、いきなりの爆発でしょう。最悪の事態です。免震棟内もパニック状態で、「帰らせてくれ」と言う作業員、社員も出てきました。私たちには、それをとめることはできません。とにかく残った人間でやるしかない。もうフクイチで被曝(ひばく)して死んでゆくのか、これまで原発で過ごしてきた何年もの日々が一瞬、頭をよぎりました。
当時は知らなかったのですが、政府は震災当日の11日午後9時23分に、原発から「半径3キロ圏内」の住民に避難指示を出し、その後、翌12日午前5時44分に「10キロ圏内」、午後6時25分に「20キロ圏内」--と次第に範囲を拡大していった。
でも、現場ではもっと広い範囲、少なくとも半径50キロは避難していると思った。なんといっても、あれだけの爆発だったんですから。結局、避難範囲が半径3キロ圏内と聞いたときも、「大丈夫か?」と思ったのが正直な印象ですね。
米政府は当時、半径50マイル(約80キロ)圏内の自国民に対して避難勧告を出しました。チェルノブイリ事故では、国際原子力機関(IAEA)の報告によると、旧ソ連の汚染地域は約14万5千平方キロメートルで、約300キロ離れた地域でも高いレベルの汚染があったことがわかっている。爆発が相次ぐ中、当時は私自身、半径30キロどころか、青森から関東まで住めなくなるのではないかと思ったほどです。
本社と政府の話し合いで決まったんだろうけど、余震の危険性などを考えれば、最低でも半径50キロ、できれば半径70キロ、万全を期すならば半径100キロでも不思議はなかった。最初は広範囲にして、それから「SPEEDI(緊急時迅速放射能影響予測システム)」の予測などをもとに狭めていけばよかったのではないでしょうか。
いま原発は何とか安定していますが、放射性物質がかなり飛散しているのが実態です。避難地域の見直しが必要だと思います。実際、もう半径20キロ圏内は戻れないと、そろそろ発表してもいいんじゃないか。子どもたちが学校に通うのは無理です。最初からもっと広範囲で避難させていればと悔やまれます。
◇◇◇
東電本社も経産省の言うがままで、こんなにノンビリでいいのかと思うほど意思決定が遅い。この状況を喜んでいるのは、経産省をはじめとする官僚たちです。
現場と本社には、明らかに認識のズレがあります。フクイチから本社には毎日、膨大な量の情報が上がりますが、いま国民に公表されているのはその10%、いや1%くらいかもしれません。実際、現場は当初から「メルトダウン、メルトスルーの可能性がある」と報告していますが、本社は発表しませんでした。
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今回の事故は我々の責任が重大で、おわびするしかありません。いま、フクイチには日本、いや世界の存亡がかかっている--私たち現場の人間はそういう覚悟でやっています。でも、残念ながらこれが、いまの本社の状況なのです。
というわけで、いまだに「ふくいち」から水蒸気に混じって放射能ダダ漏れ、表向きの行程表どおりに事はまったく進んでいないってこと、それなのに情報をひた隠し、国民を放射能から守る手立てをなんら打たない行政に対して、あなたはまだ羊でおれますか?
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
よろしかったら
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