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ミクロネシアの小さな島・ヤップより

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新しいツーリズムの提案...「原発に消された村」めぐりをどうぞ

ダイバーの間では、ヤップといえばマンタでしょ、というイメージが定着しているけれど、なんたって自由魚のマンタのこと...人前に出たくない気分のときもあるし、体調悪いときもあるし、だいたい、海の住人でもない奴らにドカドカ縄張り荒らされて、オモシロイわけがないし。
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それに潮まわりによって透明度や流れにも雲泥の差があるし、外海が時化りゃ水路の中だって状態は悪くなるというように、海のコンディションだって日々刻々の変化がある。

んだもんだから、マンタ100%見せます!なんてこと、わたしは口が裂けても言わない。それでもマンタぜったい見れますよね?とすがるってくるゲストには、さあね、相手は自然の生き物なんだから、幸運を祈りましょうね...と言って、ゆるく突き放す。

ちょっと前まで、ガイドのそんな態度にムッとするゲストも多かったけれど、テレビ、雑誌、新聞が大々的にいってることはスポンサーの金次第。あいつら平気でヤラセ・デタラメ・大嘘を流してるんだってことが、ようやく世間的ジョーシキとして認識されるようになるにつれて、わたしの言い分にも少しだけ耳を傾けてくれる人が増えたかな...という気がする今日この頃。やれやれ、マンタも少しはホッとしてるだろう^^

何かと出会う前から、「見たいもの」を限定してしまうなんて、すごくもったいない。いつでも、どこでも、どんなものとでも、新鮮に驚く出会いができるように、常に五感+アルファを全開にして生きたいものだと思う。そうすれば、たとえ台風直下のヤップ島でさえ、きっと何かの発見がある。

さて同じくステレオタイプなヤップの宣伝文句に、いまだに石の「貨幣」が使われる原始の島...なんてのがある。こういうのを本気で信じちゃうひとがいるのも、なんだかな~なんだけど。
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グアムからジェットでひとっ飛び、1時間ちょいで来られる島で、しかも人口の1割強がアメリカで暮らしてるような場所で、果たしてそんなプリミティブ(いやな語感だね)な生活が、存続できましょうや?そこに暮らす人々の世界観、とくに息子や娘が異国の軍隊でドンパチの前線に送られているような人たちは、ひょっとしたら並のニホンジンより、よほどシャープでワイドな視野を持っているかもしれませんぜ。

それに、たったの66年まえにゃ、この場所でも異国の軍隊同士がドンパチやっておったわけだし、当時の人々は、空からドコドコ落とされる爆弾や、ビュンビュン降って来る機銃の弾に怯えながら、腹を空かせた暮らしを強いられていた。もちろん、それで大怪我したり、命を落とした者もいた。
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せっかくヤップまでやって来ていながら、マンタだけを見に来たんだから!とか、「素朴な人々の原始生活」を見に来たんだから!(ヤップの人々は動物園の動物か?)とか言ってるひとは、木を見て森を見ず...どころか、ひょっとしたら実存するホンモノの木すら見ないで、堕落したテレビや新聞のスポンサーの思惑どおり、金の力で洗脳された幻想を追いかけているだけかも。そんなエコエセ・ツーリズムに金を払うの、もう止めにしませんか?...というか、もう、そんな「観光」は成り立たない時代が来ていると思う。

せっかく「森」に入るなら、健康な木も、弱っている木も、小動物や苔や菌の暮らしも、ぜ~んぶ感じて受け入れないと、「森」の過去や現在も、そして未来も見えてこない。「森」の木すら見ない闖入者がいくら増えても、「森」の負担が増えるばかりだ。これからは現地の負の現実も受け入れるツーリズム、そんな流れが、もう日本でも始まっている。

福島県川内村(30キロ圏内)で住み続ける覚悟をしたたくきよしみつ(鐸木能光)さんの提案は、決して皮肉や冗談なんかではない:

阿武隈(原発30km圏内生活)裏日記:勘違いもはなはだしい
http://gabasaku.asablo.jp/blog/2011/05/30/5889994
飯舘村は、今後しばらくの間、「原発に消された村」として観光地にすればよい。
福島をどうしろと議論したい人は、一度は訪れて、何かを感じ取ってほしい。
ツアー参加者には線量計を持たせて、ガイドさんが村のあちこちを案内する。
「このコーヒーショップは自家焙煎が自慢で、オーナー夫妻はおいしい珈琲をいれるために東京に修業に行き、その後20年、苦労して、福島市内からまで通うリピーターのいる名物店になりました。2011年は開店20周年の記念すべき年でしたが、放射能によってすべてが終わりました」
「この牛舎には500頭の牛がいました。飯舘牛は日本有数のブランドになりましたが、そこに育て上げるまでは苦労の連続で……」
美しい風景の中、ツアー客一行以外人影はない。線量計の警告音だけがピーピーと鳴り響く。
ついでに津島のホットスポット経由で檜山高原、滝根小白井にも移動して、ウィンドファーム見学もぜひ。
「この尾根筋にずらっと並んだ巨大風車は2000kwが23基と14基で合計37基。合計7万4000kw/時の発電能力ということになっていますが、もちろんそれは最適な風が吹いたときの話ですから、実際には風が吹いたときだけ不安定に発電するわけです。それで、原発事故以後は、ご覧のように風に関係なく、止まったままで1Wも発電しておりません。さて、なぜだと思われますか?」
……ぜひ、やるべきですね。啓蒙ツアー。
そしてわたしは、この「原発に消された村」ツアーへの参加を、国家公務員全員、独立行政法人全職員(とくにJICA、青年海外協力隊員、シニア、専門家も!)、国会議員全員に義務付けることを提案したい。費用は国費でまかなうが、参加することによって生じる「直ちに健康に影響はないけれど、将来に支障が出る恐れ」というリスクは、それぞれ個人で負ってもらうと一筆を取る。公職に従事する者、それくらいの覚悟は持っていただきたい。


最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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ヤップのマンタ:
http://yaplog.jp/mantas/
ヤップ島あれこれ:
http://yaplog.jp/suyap/
ヤップ島の旅案内:
http://www.naturesway.fm/index2.html
by suyap | 2011-06-05 22:07 | No Nukes!
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