ヤップ島の女性の伝統衣装は「腰みの」だ。現在では日常的に腰みのを着ている女性はいないが、踊りなどの伝統行事には必ず腰みの姿となり、そのほか改まった場面でも腰みのがもっともフォーマルな装いとされる。ちょうど日本人にとっての「着物」のような位置づけかもしれない。
わたしも「腰みの」を着るのが好きで、何着か持っているけれど、毎年、
ヤップデイにあわせて新調、あるいは仕立て直しをしてもらっている。「今年も新しいのを作ってあげるわよ」と、G嬢ママがすでに材料の準備をしてくれているのだが、去年と一昨年のものもあるし(写真上)、それらをどうしようかと考えた結果、G嬢の助けを借りて、自分の手で「仕立て直し」に挑戦してみることにした。
オオハマボウの繊維をカラフルに染めて作る若い女の子用の「晴れ着」から、普段着・よそ行き用として年代に関係なく着ることのできるココヤシの葉製のもの、軽いバナナの葉だけで作る年配の女性用など、「腰みの」にはいろんな種類があるけれど、今回仕立て直しをするのは、ココヤシの葉製のものだ。
G嬢の薦めに従って、ココヤシの葉などの材料を房ごとに束ねるバナナの葉(↑左)と、腰の部分を膨らませるために入れるバナナの葉を細かく割いたもの(↑右)は、新しいものに変えることに。それらの材料の調達と作製もG嬢頼みで、数日前から彼女は準備してきてくれた。
ふっくらと膨らんだ腰飾りのココヤシの葉(↑左)と、スカート本体となるココヤシの葉(↑右)は、ほどいたものをそのまま使う。
他人が仕立てるのを見たことしかなかったので、まずG嬢に見本を示してもらわなきゃ何も始められない。ところが、編み始めのヤシ紐の結び方から、もう混乱...(汗)。
紐の片方の端を足指にひっかけ、反対側の端を左手で引っ張りながら、わっかにした編み始めの上に、スカート本体を1束ずつ、それぞれ反対側に置いて、その上にバナナの葉2束とココヤシ葉製の腰飾りを、長さを調整しながら配置して、
両端をきゅっきゅと締めながら束の上で交差させ、反対側に置いた本体部分を前に折り返し、表側と裏側を整えていく...文字で書けばこれだけのことなのだけど、かなり熟練が要求されそう。
G嬢もわたしの腕をまったく信用していないようで、編みかけたものをなかなか手渡してくれず、どんどこ、どんどこ編み上げていくから、わたしは次々と彼女に材料を手渡すだけの人になってしまった(笑)。
「本体を両端に配置するやり方だと、裾が割れないのよ」とか、「ひとつ、ひとつの房を配置するとき、前は短めで後ろは長めになるように、丈をそろえていくのを忘れないようにね」とか、「くくる紐は両腕を広げた長さの二倍+アルファね」とか、あるいは家族の話題とか...いろいろおしゃべりしているうちに、あら、もうほとんど出来上がりじゃない?
最後の房だけは、すべての材料を2倍にして、前の合わせ目が割れないようにする。どうなることかと心配していたけれど、結局わたしには手も出せず、2着の「腰みの」の仕立て直し作業が、たったの2時間で終わってしまった。
「はじめは小さい子供用の、ビンロウの葉で編む腰みのから練習するといいよ」とG嬢。そうだねえ、基礎練習もせず、いきなり自分のを仕立て直すのは、やっぱり無謀だったわね...。
明治生まれの祖母が若かった頃には、一家中の着物と布団をひとりで縫っていたという。その孫のわたしときたら、なんとか縫いあがった着物は浴衣2枚だけ、もうその仕立て方さえ忘れてしまった。
ヤップでも、1960年代生まれの女性は、ほぼ腰みの生活を経験しているので、腰みの作りもひととおりは出来る。しかし70年代生まれではそれがおぼつかなくなり、80年代以降生まれのG嬢の世代では、本人が覚えようとしなければ全く出来ないのが普通になってしまった。そこら辺の変遷も、なんだか日本人と着物の関係に似ている。
今年の
ヤップデイでは、
ヤップ人は必ず伝統衣装を着用のこと!というお触れが出ている。伝統衣装を着てこなかったら罰金があるとか、会場に入れないとか、いろんな噂が流れているけれど、はてさて、どうなりますことやら!
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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