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ミクロネシアの小さな島・ヤップより

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トカゲ男の民話パート2

お日様がストレートに真上から照っている時間帯の外歩きはさすがに暑い。そんなときの島内観光では木陰を選んで歩き、風通しの良い集会場では中に入ってちょっと涼をとる。日本でもヤップでも、風土に合った伝統建築は素晴らしく快適に出来ているから、休憩はつい長くなりがちかも(笑)。

きのうもカダイ村の集会場で、そんなまったりな休憩を入れていると、目の前のココヤシの幹に何か動くものあり…あっ、マングローブオオトカゲくんだ!
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ヤップではガルーフ(galuuf)といわれるこの大きなトカゲのことは、以前にも何度かこのブログで取り上げたけど:

トカゲにされた男の話
http://suyap.exblog.jp/5554912/
ガルーフ(マングローブオオトカゲ)の話
http://suyap.exblog.jp/6070675/

みんなに見つめられてすっかり固まっちゃってたガルーフくん(まだティーンエイジャー・サイズです)、木の真下から煽ると、どんどん上に登っていって何かを狙っている様子。いつまで待っても動きそうにないので、もうひとつのガルーフ民話でも。ご紹介しましょうか…
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むかしむかし、ヤップのドゴール村で、どこからともなくやってきた超ハンサムな若い男の噂が、人々の口に上るようになりました。近くの森に住んでいるというこの男を見かけた村の女たちは、みんな一様に、うっとりと心を奪われたようになりました。そのうち、ひとり、ふたりと、村の若い娘の行方がわからなくなり、だんだんに、人々はこの若い男を怪しむようになりました。

そんなある日、ある美しい娘がひとりで道を歩いていると、この若い男がやってきました。男を見た瞬間うっとりしてボーっとなっている美しい娘を、男もひと目で好きになりました。そこで娘を自分の洞窟の住まいに連れてきて、(いつものようにすぐに「処理」しないで)しばらく一緒に過ごすことにしました。

そのうち娘はお腹が空いてきたので、男に何か食べさせてくれとせがみました。そこで男が運んできたのは、強烈な腐臭を放つカニやらカエルやら得体の知れない昆虫やらの死骸でした。そのものすごい臭気に触れて、ようやく娘はこの男の正体に気づいたのでした。

恐怖にかられた娘は洞窟を飛び出し、両親の待つ家を目指して一目散に逃げ戻りました。娘から話を聞いた父親は、この男がやがて娘を捜しにくるだろうと予測して、いろいろと策を練りました。

待つほどもなく、男は恭順な若者を装って父親の前に現れました。そこで父親は目の前のココヤシの木を指差して、喉が渇いたので実を少し取ってきてくれないかと男に頼みました。目をつけた娘の父親に気に入られようと、男はスルスルと木に登っていきました。ところがココヤシの実を取って降りかけたとき、うっかり男の本性が出てしまったのでした。

頭を下にして木から降りてくる姿を見た父親は、ようやく、この男の正体に確信を持ちました。でも準備はしてありましたから心配ありません。先端が輪になった長い棒を手に取った父親は、木から降りてくる男の頭を、タイミングを見極めて引っかけました。そして棒を上のほうにギュッと引き上げ、男を締め殺しました。若い男の身体は地面に落ち、その途端、本来のガルーフの姿に戻っていったということです。
どうもヤップの民話には、見かけだけで男に惚れちゃダメだよっていう話が多いような…(笑)。


最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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by suyap | 2010-09-17 09:09 | ヤップの民話
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