ヤップから南西へ130キロくらいのところに、
ングルーという環礁がある。環礁はヤップ島より大きいが、現在そこに住んでいる人は数人程度で、島民のほとんどはヤップ島で暮らしている。ングルーからさらに330キロほど南西に進むとパラオだ。
そんなングルーで、ワニが見つかったという連絡が入った。
えええ~~!
パラオにはワニがいるけれど、ヤップ州内でワニが見つかったことは今までなかった。ヤップ州政府もさっそく動植物検疫官をワニの捕獲と調査に派遣したが、ワニ発見の話は瞬く間に島中に伝わった。それにしても、いったいワニ君はどうやって(あるいはなぜ)海を渡ったのだろう?
終業時間はとっくに過ぎた夕方に近い時間なのに、店の前の人通り/車通りがやけに多いなと思って外に出ていると、
もうワニを見に行ったの?と声をかけられた。どうやら噂のワニ捕獲チームが戻って来たらしい。
これはわたしもデジカメ持参で駆けつけなければ!と急いでYFA(漁業公社)に行ってみると、なるほど、船のまわりに時ならぬ人だかりができていた。
ングルー環礁まで、YFAの漁船なら一晩で着く。検疫官が所属するヤップ州農業部のチャーターで、今回は行ってきたようだ。せっかく良い漁場でもあるングルーまで行ったのに、ワニの捕獲だけで帰ってきたりはしないだろうとは思うけれど、最近は漁業権の問題もいろいろあるようだし...。
日本もJICA/OFCFを通してYFAには長年たくさんの漁船や備品の援助をつぎ込んでいる。今回ングルーに行った漁船も、それらの援助でもらったものだ。こんなところにもOFCFがひっそり宣伝していたなんて、知らなかったけど(笑)。
ところで、ワニ君はどこ?
集まっているところまで行ってキョロキョロしたけれど、それらしい影も見当たらないし...。
すると、誰かがピックアップの後ろの荷台に乗っているアイスボックスを指差した。えっ、あの中?ということは、もう死んじゃってるの?
恐る恐る開けて氷をかき分けて見ると...
きゃっ、手が出た。ワニって、ウロコがあるの知らなかったよ。でも、これ以上、氷をほじくって全体を見る勇気は...ないな...
すると突然、ブルルルとピックアップのエンジンがかかったので、ええ~~っと思って運転席に行き、写真を撮らせて?とお願いすると、
助手席のオニイサンがわざわざ降りてきて、氷の中に手を突っ込んでワニを引っ張り出してくれた。
まだ子供だぜ、とワニをつかんでいるオニイサン、なるほど、小さな両手に比べてなんと頭のでっかいこと!
なんで殺しちゃったんだ?とか、
きっとあいつら、このワニを食ってしまうんだろう...とか、ヒソヒソ声も聞こえてくる中、農業部の公用車は、アイスボックスのワニ君を連れて走り去っていった。その後もニュースを聞いた人が続々と集まってきたけれど、もうワニ君は去ったあと。わたしはワニ君に会えた最後のラッキーな野次馬だったようだ。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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