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ミクロネシアの小さな島・ヤップより

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踊りデビュー

先月のウェロイ地区につづいて、7月30日にはガギルで地区イベントが行われた。

現在ヤップ島にある10の「地区」はドイツ統治時代に作られたもので、村同士の歴史的なつながりや文化圏をまったく無視して線引きされたため、地区としてのくくりに違和感を感じたり、他の地区の村に顔を立てなければならない境界の地もある。日本で明治初めの廃藩置県によってひとつの県となっても、大昔から続いた郡や藩ごとの言葉や食べ物の違いがいまだに残っているのと似ているかもしれないけれど、ヤップの「地区」は行政区ですらないので、かなり中途半端な存在だ。最近このようなイベントが行われるようになったのは、そんなあいまいな「地区」住民に、もっと一体感を持たせようというつもりなのだろうか? それはさておき...
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去年まで3年続けてヤップデイが使われたマキ村のイベント会場が、この日の催しにも使われた。従ってマキ村の女たちもしかたなく踊りを出すことになり、G嬢の3歳になったばかりの姪っ子Cちゃんも、ヤップの踊りデビューすることになった。上の写真は、きれいな晴れ着の着付けが終わって、おばあちゃんから口紅を引いてもらっているところ。
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今回の踊り手は、16歳、15歳、14歳の女の子3人を中心に、8歳と7歳ひとりずつ、そして両端が4歳の子と3歳のCちゃんという構成だった。踊りはティヨールという、エライさんからモノをおねだりするときに踊られるもの。小さい子もいるせいか、踊りが始まる前に、すでにお菓子などが踊り手の前に盛られていった。配られるお菓子をじっと見ているCちゃん(写真上)。
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さあ、踊りが始まった。両端の小さい子以外の5人には、ひとりずつセリフを朗誦するパートがあり、それに続いてみんなで合唱しながら踊っていく。

G嬢からビデオ係を頼まれていたのに、わたしはうっかりCちゃんとは反対側の端に座ってしまったので、ここに掲載しているCちゃん側からのスチル写真7枚は、すべてG嬢が撮ったもの。おばちゃんの愛情が写真に出てますね^^ 
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Cちゃんは一番小さい踊り手なのに、彼女の声はよく通り、反対側のわたしのところまでしっかり響いてきた。G嬢によると、20分くらいもある踊りの謡の文句を、Cちゃんはすべて暗誦できるという。3ヶ月も前から毎日続いた踊りの練習も大好きで、将来この子は良い踊り手になるだろうねえ...と、まわりのみんなは目を細めている。
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子供がどんなに小さくても、まだ振りが上手く出来なくても、その子が踊りに興味を示して嫌がらない限り、本番の踊りに加えるのがヤップの踊りの教え方だ。だから、動きがゆっくりな座り踊りの場合、ときどき踊りの途中で寝てしまう子がでることも(笑)。
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隣のおねえちゃんの動きを見ながら、一生懸命、それに合わせようとしているCちゃん。こうして優雅な手の振りや、間の取り方、身体の動きなどを、小さいうちから身につけていくんだなあ...
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この日に出されたもうひとつの踊りは、レン村の女の座り踊りだった。6年前にヤップを襲ったスーパー台風スーダルの体験を踊りにしたもので、その名もスーダル。東側に面したレン村は、この台風による高潮で道や家が流され、相当な被害を蒙った。(下の2枚はわたしの撮った動画からキャプチャーしたもの)
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ヤップの踊りは、暮らしの上で起きた大きな出来事や教訓を、村ごとに語り継いでいく手段でもある。太平洋戦争の悲惨でつらい体験を語り継ぐ踊りも多く作られたが、台風スーダルを語り継ぐ踊りも、すでにあちこちの村で作られている。
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こういう踊りの大きな柱は、その謡の内容(ストーリー)と、それに合わせてつけられる振りだ。謡は時を経ても変わることはないが、振りは少しずつ時代とともに変わっていく。座り踊りの最後に立ち踊りを入れるのが、どうやら最近の流行のようだ。


最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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by suyap | 2010-08-02 20:08 | ヤップの伝統文化
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